70.変化2
うーーーーーーーん、最近視線を感じる。。
気のせいかな…………気のせいならいいんだけど………絡みつくような視線で怖いのもあるけどずっと見られてる感じがして嫌だな。。。
「………様、リーゼ様!?聞いてましたか?」
やばっ!!視線が気になってナージュ様や他のご令嬢とまったりとお茶をしながら過ごしていることを忘れていた。
「あははっ。ごめんなさい。少しぼーとしておりました。」
「もう、リーゼ様ったらみんな聞きたいのですよ~この前からサムウィル様と………親密じゃないですかぁ~。」
にやにや顔でナージュ様が言うと周りの令嬢達も頷いている。
………確かにサムウィル様この前から様子が変わったんだよね。
いつもの通り優しいし礼儀正しいんだけど………なんというか甘い雰囲気の時があって………今まで思ったことなかったのに少し恥ずかしいと思ってしまう。
が、こんな話を正直に話すとややこしくなりそうだからここはスルーしよう!!
「そうですか?頼りがいがあって今までと変わりないと思いますよ。」
「何をおっしゃいますか!サムウィル様を見ているとどう見てもリーゼ様の事をお慕い………「ふふふ。リーゼ様は気づかれてないのね。皆さんここは私達が言うことではございませんわ。」
一人の令嬢が興奮ぎみに大声を出して言ってきたがナージュ様が途中で遮った。
ん?どういう意味だったんだろ?あんなに興奮して……遮られてわからなかったな。
「ふふふ。わからないって顔をしておりますわね、リーゼ様。今は悩んでしっかりと気づくといいのですが…………あら?カシリスお兄様リーゼ様のお迎えですか?」
ナージュ様が声を掛けられた方へ振り向くとカシリス様が私の所に歩いて向かってきていた。
「ああ。リーゼ様そろそろかなと思って迎えにきたよ。」
言いながら私の頭をポンポンと優しく撫でるカシリス様。
カシリス様はよく頭を撫でてくれる。たぶんナージュ様にもしてる癖なんだろうな~。私を妹のように思ってくれてるんだろう。
「カシリス様、わざわざありがとうございます。」
私はカシリス様ににっこり笑顔で言うと、カシリス様はくすりと笑って私の口元に手を伸ばしてきた。
「リーゼ様、口元にクリームがついてる。」
えーーー?今まで話してた時もずっとついてたの?
とても恥ずかしいじゃないですか!!!!
私の口元についているクリームを拭ってカシリス様は自分の口にもっていってペロッと舐めた。
………舐めた。
……………………今、舐めましたよね?私の口元………ほぼ唇についてたクリームを舐めましたね?
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
しかも色っぽく舐めるカシリス様がこれまた絵になります!!
周りの令嬢達は本人目の前にきゃぁぁぁーーーーとみんな顔を赤らめて興奮しております。
ナージュ様は目を開いてみていたがそれに突っ込む余裕がなく、私も動揺して目を見開いてカシリス様を見ているとくすりと笑ってカシリス様が言った。
「美味しいな。」
たっ確かにこのクリームは美味しかったです。
でも何故か周りの令嬢達がカシリス様の言葉にさらに黄色い声をあげている。
凄いです!!食べた感想を述べただけでカシリス様は騒がれるお方なのですね。
「そうなのです。このクリーム美味しいんです~。お恥ずかしいですがついつい食べ過ぎちゃいました。あははっ。」
「………そういう意味じゃないでしょう。」
ナージュ様がそういうと周りの令嬢達も首をこくこくと頷いてみんなが思った。『カシリス様は本気なのだろう。リーゼ様は鈍感だ。』と。
そして………………数日後には『皆の前でリーゼ・ウォレットの唇についていたクリームをカシリス様が舐めとった。』ととんでもない尾ひれがついて噂は拡散していった。
そんなことするわけないじゃない。
恋人同士でも人の前で舐めとるなんてなかなかできないでしょ!
どうして…………どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
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どうしてうまくいかないのかしら!!
観察しては階段から突き落とそうとしてもリーゼ・ウォレットの側にはあの三人の誰かがいて実行ができないじゃない!
はぁ…………突き落とすのは無理ね。
……………どうしようかしら~私の手を汚さずにするのが一番だけど……。
あっ、いいこと思い付いたわ。
「先生、私も運ぶのお手伝いさせてください。」
「あら、カヴァル令嬢ありがとう。一緒に運びましょう。」
「今日は先生の授業楽しみにしてますわ。素敵な女性になるために必要な授業だと思いますの。」
「まあ、いい心掛けですわ。皆さんにそう思ってもらえるように今日は素敵な授業にしましょう。」
ふふふ。これからリーゼ・ウォレットには私から素敵なプレゼントをあげるわ。