彼女と始めてのデート(セシル視点)
街中で始めてのデートをするためにカナリアさんとある噴水がある広場で待ち伏せすることになった。
すると、向こう側から、カナリアさんが手を振り、走りながらやって来た。
「ごめんなさい。セシルさん。ちょっと遅れちゃったね」
「ううん。僕は大丈夫だよ。さっき、来たばかりだから。それより、カナリアさん、凄く素敵な格好だね」
「そ、そうかな。全然そんなことないんだけど」
「ほ、本当だよ。カナリアさん、凄く可愛いし、素敵だし。何着ても似合うよね」
「あ、ありがとう。セシルさん」
カナリアさんが照れている。そこも凄く可愛いらしい。そんな彼女を見ていると、僕はとても心が癒される。
「じゃあ、行きましょうか?」
「う、うん」
僕は緊張しながらも、カナリアさんと手を繋ぐ。心がドキドキ、ドキドキする。カナリアさんとこうして、二人きりでデート、凄く嬉しいし、僕は何より楽しい。
「ねえ、セシルさん。あそこに、美味しい食べ物屋があるよ」
みると、何処か見覚えのある看板が。僕が昔、食べたことのある食堂だ。僕は子息ながらも、意外と庶民の味は好きだ。だから、このお店は良く食べにくる。
このお店はお年寄りのおばあさんが経営しているお店だ。僕が幼い頃、良く食べにいき、店主である、おばあさんにも良く可愛がられたな。七、八年前の事だから、あの、おばあさん、僕のこと、覚えているかな?
「この店、入ってみる?」
「はい、セシルさんがそう言うなら…」
お店の扉を開けた。ガラガラガラ。古びた、扉の懐かしい音がした。
そしてお店の中の様子や雰囲気は相変わらず、あのままだ。若い女性がお茶を出して接客してくれている。でもこの…女性、何処かで…会ったような気が。
「もしかして、セシル君、セシル君よね!?」
「えっ。何で僕のこと?」
「セシルさん、お知り合いですか?」
「えっ、いや?」
「セシル君、忘れた、私のこと? 良く遊んだよね?」
「あっ、確か、ミナトさん?」
「そう。思い出してくれた? 嬉しい、セシル君! 私のこと、思い出してくれて!」
「まぁ一応、うる覚えですが。思い出しました」
「あれ? なんでこの女性がセシルさんのこと、ご存じなのですか?」
「ああ…。僕達、イシュターナル家はこのお店の常連で幼い頃から行っていた。だから、良く知っている。ミナトさんは言われてみたら、店主の孫だ」
「そ、そうなんだ。じゃあ、セシルさんは庶民の食べ物って好きなの?」
「そうだね、貴族の食べ物よりかは、庶民的な味の方が好きだね」
「セシルさんって素敵ですね」
「嫌、そんなことないよ」
そう言って僕はお茶を飲む。
「おやおや、おー、久しぶり、セシルちゃん…もしかして彼女かい?」
おばあさんがキッチンから出てきて、僕をからかってきた。すると、彼女が…。
「はい、おばあさん、その通りです! でもね…」
「?」
「最近、私の危機の時、謎の騎士様が助けに来てくれるのです。何故、この私を助けに来てくれるのか、全然分からなくて」
「ほう…では背はどれくらいあった?」
「そうですね…。背はセシルさんくらいあったと思います」
ブーッ!!
僕が思いっきり、飲んでいるお茶を口からこぼしてしまった。バレてんじゃん、これ。僕がおばあさんやミナトさんの方をチラ見すると、ニヤリと口の笑みをしている。
こりゃ…バレてんな。ヤバいかも…?
「セシルさん、大丈夫ですか!? 気分が悪くなりましたか?」
ううん、なんにもない、なんにもない。僕はお茶をすすりながら、自分に言い聞かせ、首を横に振る。
「ねえ、あなたの名前は?」
「わ、私はカナリアです」
「カナリアちゃん、もし、あなたがピンチになったら、隣にいる白馬の王子様に助けて貰うと良いわね」
「白馬の王子様?…。セシルさんが?」
なんだよ、ミナトさん。冗談交じりでカナリアさんにそんなこと言っちゃって。もし、カナリアさんに正体バレたらどうするんだよ。
それに、おばあさん、ミナトさんまで、カナリアさんにウィンクしやがって。
まっ、幼い頃からおばあさんとミナトさんは、僕のこと結構知ってるからな。だから、勘付かれてしまったかも知れない。
何か気まずい。逆に来るんじゃなかったかも。でもカナリアさんは凄く楽しそうにしている。だから来て良かったのかも知れない。そうして、お店でメニューを頼み、ゆっくりして過ごすと、お店を出た。
「セシルさん、凄く美味しかったですね」
「そうだね、やっぱり、昔ながらの味だったね」
「セシルさん、私と、何処かで良い広場で踊らない?」
「そうだね、何処かで踊ろう」
すると、少し遠くから人に紛れて集団で座っている奴らがいた。
なんだ…あいつら。ならず者か? 奴らはカナリアさんをじっとみてニヤニヤしている。コイツら、もしかしてカナリアさんのこと…狙っているのか?
僕は睨んだ表情で奴らを見る。彼女に気付かれないようにして。
とりあえず、遠くに離れよう。
「ど、どうしたのですか? セシルさん」
早歩きで、彼女を引っ張って行く。僕は鋭い目で奴らを見た。すると、奴らも動き始めている。
「ちょっと、急ごう!」
「何故、急ぐ必要があるのですか? セシルさん!」
「いや、それは…」
ドンッ。
「わっ!」
僕と彼女は尻もちを付いてしまった。
「おいおい、気をつけろよな」
目の前にいたのは、先ほどの奴ら。
くっ…囲まれてしまった。
「この女、可愛らしいな」
奴らが、カナリアさんの腕を掴む。
「ちょっと、やめてください! 何をするのですか?」
「お嬢ちゃん、こんなボウズなんかほっといて、俺達と色々と遊ばないかい?」
「やめて、やめて!」
「やめられねえな、こんな可愛いお嬢ちゃん見てたら俺等、ほっとけねえんだよなぁ」
「そうだな、ゲヘヘ」
「やめろ! カナリアさんを離せ!」
「なんだ! お前、ボコボコにしてやる!」
「わああああ、やめて、やめて!」
「ガハハハハハハッ。何て、女女っちい奴だ」
「セシルさん、セシルさん!」
「お嬢ちゃん、あんな弱っちい奴はほっといて俺達のところにいこう」
そうして、僕はやられたまま、ならず者達は、遠く、遠くに立ち去って行ってしまった。
カナリアさん、今すぐに助けに行くからね。僕はプレートアーマーを装着し、高速スピードで駆け回る。高い、高い木の上まで高く飛んだ僕は周りを見渡す。
すると、カナリアさんと奴らを見つけた。ならず者達が彼女を上乗りになっている。男が女を犯すような感じで。あいつら、この僕の大事なカナリアさんを傷つけておいて、絶対に許さない!
シュタッ
地面に素早く降りた僕は剣を持って奴らに近付く。
「ゲヘヘ、ちょっとくらい良いだろう。お嬢ちゃん?」
「やめて! やめて!」
「何をしている?」
「き、騎士様!?」
「何だ、テメェ。お前等、やっちまえ!」
「行くぞ! オラ!!」
「お前等なんか余裕だ。彼女に手を出したこと、後悔させてやる」
本気になった僕は複数人をすぐさまボコボコにした。
「コイツ、強えぇーっ。何だこの騎士は!?」
「彼女を守る、正義のヒーローだ」
「ふざけるな!! お前等、やっちまえ!!」
「言ったろ、お前等なんか余裕だって」
複数人の奴らをボコボコにして立ち上がれないくらいにした。
「き、貴様…。フフフッ。この女の命が欲しければ、この俺の指示に従え! おい、チビの騎士、この俺の仲間になれ!」
最後のならず者がカナリアさんを人質に取る。
「き、騎士様…」
「卑怯者め…お前なんぞの仲間になんか絶対にならん!」
僕は歩いて奴に近付く。
「お、おい。この俺に近付くと、本気でこの女の命はないぞ!!」
奴らがカナリアさんを人質に取っているが、すぐさま、彼女を奪い取ることが出来た。
「な、何だ!? 今のは!?」
「くたばれ!」
バチーン!
「ぐわああああああああーっ」
奴は完全に気絶した。これでカナリアさんを救えた。
「騎士様…本当にありがとうございます」
「な、何だこの騎士!! お前等、すぐに撤退だ!!」
ならず者達はすぐにその場から逃げて行った。
「フン、弱っちい奴等め。それより大丈夫か?」
「はい、全然、大丈夫です」
「良かった…」
「騎士様、あなたはいったい誰なんですか?」
「それは…言えない」
「どうしてですか?」
「申し訳ないが、それは極秘事項だ」
「そ、そうなの?」
「それより、君の彼氏がある広場で待ってるとのことだ。行ってあげると良い」
「もしかして…セシルさん?」
「ああ…君の彼氏に知らされて、ここにきた。もし、君の彼氏がいなかったら、私もここにはいない。君の彼氏に感謝して欲しい」
「セシルさん、本当にありがとう。騎士様も本当にありがとう」
「うん、彼氏のところに行ってあげなさい」
「はい」
そう言って、カナリアさんは走って森の中を抜けて行った。僕はと言うと、急いで公園に向かっていく。
プレートアーマーを急いで脱ぎ、掌に出した魔法の渦巻きの中にプレートアーマーを隠した。
暫く待っていると、手を振って走ってきた、カナリアさんがやって来た。
「ごめん、待たせたね」
「ううん、そんなことないよ」
「あなただったのね…」
僕は一瞬、ドキッとした。もしかして…正体バレた?
「騎士様に知らせてくれたのは。そのおかげで私、とても助かったわ。本当にありがとう」
カナリアさんは僕を抱きしめてくれた。
良かった…バレてなかった。ホッ。
「あなたにたくさんダンス教えてあげる。だから、私と一緒に踊りましょう」
彼女と一緒に踊れる。これ以上、嬉しいことはない。こうして、僕は彼女とダンスをすることが出来た。
そして、彼女にダンスを教えられたこの一日は最高の一日になった。




