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第2話:異世界転移、そして絶望

放課後――。


チャイムが鳴り響き、解放された生徒たちの声が廊下に溢れた。


ミナトはリナの隣を歩きながら、大きなあくびを噛み殺す。


「……眠そうね」


リナがくすっと笑う。


「また夜更かし?」


「仕方ないだろ……バイトが遅いんだよ」


ミナトは目をこすりながら答える。


「でも今日は休みだ。店のメンテらしい」


その瞬間――


リナの表情が明るくなった。


「本当!? じゃあ――どこか行こうよ」


ミナトの手をぎゅっと掴む。


「最近、全然遊んでないし」


ミナトは少しだけ彼女を見る。


そして、小さく笑った。


「……いいよ」


「おやおやぁ?」


背後から声。


振り向くと、リュウがニヤニヤしていた。


「俺を置いてデートの約束か?」


「混ぜてくれてもいいんだぜ?」


ミナトは即答する。


「寝言は寝て言え」


リュウは笑ったが――


ふと、ミナトの胸元を見る。


「それさ」


ペンダント。


鈍い光を放つ黒い石。


「売らないのか?」


ミナトの動きが止まる。


静かに、それを握る。


「……無理だ」


「なんで?」


少しの沈黙。


「……これしかないからだ」


ミナトは視線を落とす。


「親の顔も知らない」


「俺が何者かも分からない」


「分かってるのは――」


小さく息を吐く。


「孤児院に捨てられてたってことと」


「この名前と……これだけだ」


リナが、そっと手を握る。


リュウも黙った。


――その時。


悲鳴。


一つじゃない。


何人も。


廊下に響く。


「……何?」


リナの声が震える。


次の瞬間――


赤い光。


廊下の奥から溢れ出す。


脈打つような、不気味な光。


そして――


一人の生徒に触れた。


――消えた。


何も残さず。


最初から存在しなかったかのように。


「走れ!!」


ミナトが叫ぶ。


三人は走る。


悲鳴。

混乱。

衝突。


地獄のような光景。


背後から光が迫る。


「ふざけんなよ……!」


リュウが叫ぶ。


その瞬間――


足を滑らせた。


転倒。


「リュウ!!」


手を伸ばす。


だが――遅い。


「ミナト――!!」


光が彼を飲み込む。


消えた。


リナの声が震える。


「……リュウ?」


止まる暇はない。


光が迫る。


行き止まり。


「嘘……」


リナが後ずさる。


逃げ場はない。


ミナトは手を握る。


強く。


「離すな」


リナは目を閉じる。


ミナトも。


そして――


光が、二人を包んだ。



静寂。


ミナトは目を開ける。


森。


見知らぬ空気。


「……どこだ」


身体が重い。


「リナ! リュウ!」


返事はない。


その時――


「……助けて」


声。


ミナトは走る。


草をかき分ける。


そして――止まる。


そこには。


一人の生徒。


全身に蜘蛛。


無数。


肉を喰っている。


いや――


体内に入り込んでいる。


悲鳴。


そして――沈黙。


蜘蛛たちの動きが止まる。


ゆっくりと。


全ての目が――


ミナトを見る。

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