圧倒的強者
シズカは疾風のごとく駆けた。
次の瞬間には、すでに剣を抜き放ち――ミナトへと致命の一撃を振り下ろしていた。
だが――
ミナトは躊躇しない。
瞬時に剣を構え、その一撃を受け止める。
金属が激しくぶつかり合い、衝撃が空間を震わせた。
――だが。
次の瞬間、ミナトの膝が砕けるように地面へ沈む。
「ぐっ……!」
圧倒的な重圧。
その一撃は、人間のものではなかった。
息を整える暇すら与えられず――
シズカの蹴りが、ミナトの胸を捉える。
「ッ――!!」
身体が宙を舞い、壁へと叩きつけられる。
石壁が砕け散り、瓦礫が舞った。
ミナトは地に崩れ落ち、荒い呼吸を繰り返す。
血を拭いながら、低く呟いた。
「……強いな……」
細められた瞳。
「……しかも、容赦がない」
◆
一方――
シンは戦いを眺めていた。
口元に、いつもの笑みを浮かべながら。
だがその時――
四人の特殊部隊が現れ、彼を取り囲む。
「動くな!」
鋭い声。
だがシンは動かない。
ただ、楽しげに笑った。
「やめてくれよ……」
視線はミナトとシズカへ向いたまま。
「せっかくの見世物なんだ」
一人の兵士が耐えきれず、突撃する。
その瞬間――
――爆ぜた。
頭部が、跡形もなく吹き飛ぶ。
沈黙。
そして――
連鎖するように。
二つ目。
三つ目。
四つ目。
全ての頭部が、一瞬で爆散した。
血が宙を舞う。
シンはため息をついた。
「だから言っただろ」
冷めた声で。
「邪魔するなって」
◆
戦いは続く。
ミナトは再び立ち上がり、全力でシズカへと斬りかかる。
だが――
その一撃は、あまりにも容易く止められた。
まるで子供の剣のように。
シズカは冷ややかに言う。
「……扱えていないわね」
次の瞬間、再び蹴りが放たれる。
ミナトは後退するが、今度は倒れない。
踏みとどまる。
「……まだ終わってない」
剣を強く握る。
その瞬間――
蒼い光が、刃から溢れ出した。
激しく揺らめく魔力。
空気を震わせる。
シズカは微かに笑う。
「いいじゃない」
そして――消えた。
次の瞬間には、空中。
そのまま、一直線に突撃する。
――激突。
剣と剣がぶつかり合い、爆発が起きた。
地面が揺れ、空気が裂ける。
土煙がすべてを覆い隠す。
◆
やがて――静寂。
煙が晴れる。
そこに立っていたのは――ミナト。
だが。
その瞳が、わずかに見開かれる。
理解できない現実。
彼の剣は――折れていた。
そして。
シズカの剣が――その胸を貫いている。
「……な……」
呼吸が乱れる。
予想すらしていなかった結末。
シズカは一歩近づき、淡々と告げた。
「最後に言い残すことは?」
血が、地面へと滴る。
沈黙――
その時。
「――失礼、お嬢さん」
静かな声が、空気を裂いた。
シズカの視線が動く。
そこには――シン。
変わらぬ笑み。
何事もなかったかのように立っている。
「そいつは困るな」
ミナトを見やりながら。
「俺はそいつを、生きたまま欲しいんだ」
シズカの瞳が鋭く細まる。
「……誰?」
短い問い。
シンは、わずかに肩をすくめた。
「ただの通りすがりさ」
そして――
静かに笑う。
「力を求めてる、ただの人間だよ」
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