外伝・出来損ないの魔人カロとロカの旅LXⅣ 夜からダンジョンへ
外伝・出来損ないの魔人カロとロカの旅LXⅣ 夜からダンジョンへ
「みんな…ごめん、明日の朝からダンジョンに行こうと思ったんだけど…今から行く」
「はーい」
『……』
朝から他の冒険者達とダンジョンを進む事を考えると比較的冒険者が少ない夜に向かい、冒険者が来ない階層まで進むのが良いとカロは判断した。
ロカは良い返事をし、キュロ達も異論は無い様だ、そのまま馬車でダンジョン手前まで向かう事にした。
金になるダンジョンがある国は夜は栄えている、ダンジョンや依頼帰りの冒険者達が酒場や娼館で楽しむ賑やかな声が聞こえ御者台に乗っているロカは面白そうに周囲をキョロキョロ見ていた。
暫く進み看板が分かり易くダンジョンの場所を教えてくれる、ダンジョンで成り立つ街にはありがちだ。
依頼もダンジョンに関係した物が多く、街の経済はダンジョンを主体に回っている、カロには馴染みの雰囲気だった。
ダンジョンの入り口は岩づくりのしっかりとした造りで見張りもいない、暗い洞窟の様な入り口は真っ黒な闇だった。
「僕が先に下層に向かいから皆テントで休んでいて、カロをお願い」
『……』
もううとうとしているロカにテントの中で休む様言いキュロだけはやる気のようでカロは頷き、後は全員テントの中で休むよう言い、キュロはどうやら同行すると言いカロの隣に並んだ。
「キュロ、僕が必要な石は下層…そして明け方から冒険者が来て絡まれると面倒だから一気に行く」
『……』
カロが収納空間から魔斧を出し息を吐き走り出す、キュロも駆け出す…が魔物の気配は然程ないキュロの気配に怯えているのだろう手間が省けるとすぐにボス部屋へ到着し開けるとボレーの言う通り石の5頭の犬が待ち構えていた。
「いっきに行く」
キュロが氷結魔法で犬達の足元を氷漬けにしカロが魔斧を横に投げブーメランの様に回転させ頭を砕いていく、それで終わり石の犬は粉々に砕け宝箱に変わった。
中を開けると5個の魔石、質は1階層目らしい物で先にある下に続く階段を降りた。
2階層目は鉱物の鳥と地を這う蟲、蟲は地面を這ってくるがキュロが前足で歩くついでに砕く、鳥はやはり来ない、ドロップ品はキュロが回収してくれるのでそのまま走りさっさとボスへ到達し扉を開けた。
ボスは巨大な石の鳥、早速カロとキュロに向かって火魔法を放つがそんな物が効く訳がなくカロが跳躍し頭から斧を振り翳し鳥を真っ二つにし粉々になり宝箱へと変わる。
「うん、これいい」
宝箱には黒いハンマーと魔石でこダンジョンにはちょうど良いと喜び魔斧とハンマーを手に次の階層へ向かった。
3階層はボレーの言う通り目の前には扉がありそれを開ければ翼が生えた飛ぶ石の犬、此方に向かって咆哮し威嚇するがキュロがつまらなさそうに風刃を放ち翼を裂いて首もついでに落とし砕けて宝箱へ変わった。
中身を見れば鉱石が置かれ収納にしまい、物足りなさそうにしているキュロの為に次の階層に向かいそこで休む事にした。
第4階層は巨大な岩が転がってくる…いくつも転がって来るのでカロとキュロは岩に乗り岩から岩へジャンプし進んでいく、しかし岩も魔物なのだろうカロとキュロが乗る岩を囲むように軌道を変え体当たりを行い止めてしまう。
「地面に降りようか」
『……』
カロは走って進もうと提案し、キュロも頷き地面に降りて走り出す岩は前からも転がり後ろの岩も追いかけてくる。
「砕かないと増えていく…ボス部屋は…あそこ」
カロが先にある扉を見つけ走る、砕いても良いが数が多くて面倒なのでさっさとボス部屋に行く事にした。
「岩…」
扉を開けると巨大な岩が待ち構えている、岩は微動だにしない攻撃も仕掛けてこない。
「そう、これを砕かないと下に行けないみたい。キュロ少し下がっていて」
カロはこの部屋の攻略法を見つけキュロを下がらせ岩に飛び乗り右手にハンマーを左手に魔斧を持ち同時に岩に向かって撃ち付ける、大岩は中心からヒビが入り真っ二つに割れて粉々に砕け宝箱へと変わる。
「鉱物…船にいいかも…キュロ、今日はここで休もう」
『……』
岩はただ在るだけのボスのようなのでテントを大きくしてもらい、今夜は此処までにし中へと入る。
ロトと一緒のベッドで眠るロカに笑みを浮かべ、ウナとイロがお茶を出してくれロナとナトは石像の側で寝ている。
『……』
「ありがと」
干した果物と煎った木の実も出してくれカロとキュロはそれを齧る、明日の食事の支度や洗濯に服等もウナとイロが作ってくれていた。
『……』
「これ、僕に?」
『……』
イロがもじもじしながらカロに用意した寝間着を渡しカロが礼を言って、せっかくだからと水浴びをし身体を洗って袖を通す、着心地が良く大きさも丁度良くカロは喜んだ。
「ありがとう、イロ。良い着心地、みんなも少しねよ」
『……』
イロはもじもじながら頷く、明日の為に少し寝ようかとカロの隣にキュロが入りカロはウナ達と一緒にベッドに入る、明日は更に下の階層に向かう、もっと船の材料を集めようとゆっくりカロは目を閉じた…。




