第6章 エピローグ
花火をする、いつもの賑やかなメンバーを、香緒里はニコニコしながら見守っていた。
大好きな人達と過ごせる時間は、本当に嬉しい。
こんなに幸せな気持ちになるなんて、3年前の自分に言っても、信じてもらえなかっただろう。
「香緒里はもう花火やらないのか?」
いつの間にか戻ってきた秀人が香緒里の隣に並ぶ。
「あ、秀人。おかえり。うん、みんな見てるとなんか楽しくて。」
「そっか。まぁ、あれは確かにな……」
ワーワー賑やかに騒いでるメンバーを見て、秀人も笑う。
「何か景品もらったの??」
「好きな学食無料券だってよ。この学校、学食無料券配り過ぎじゃないか?」
「結構な確率でそうだよね。」
まぁ嬉しいは嬉しいけどさ、と秀人は言う。
「ねぇ、秀人。」
改まった顔で香緒里は秀人を見た。
ん?どうした?と優しい表情を向けてくれるのを見て、少し頬を緩め、続ける。
「私ね、冬休みに実の母親に会ってみようと思うの。」
「そうか。」
「夏に色々グダグダごたごたしちゃって、迷惑ばっかりかけちゃったけど、ようやくそう思えたんだ。」
「全然、迷惑じゃねぇよ。香緒里が前を向けてきたのなら、それは何よりだ。」
ありがとう、と香緒里は呟く。
「前にさ、『血の繋がりだけが全てじゃない』って私に言ってくれたでしょう?」
「あぁ、中学の時に言ったな。」
「昨日とか今日、奈津や悠たちを見て思ったんだ。血が繋がっていなくたって、過ごした時間、重ねた時間が家族のような繋がりになるんだって。」
「うん。」
「私にとって、秀人や雪音たちは家族のようなものなのかなぁって、そう思えたら、ちょっと勇気が湧いてきたの。本当のことを知る勇気。」
「友達だって、恋人だって、家族に負けないくらい大事な存在にはなるよな。俺もそれを実感することが出来たのはここ数年のことだけど。」
秀人も、長い間家族以外に親しい人はいなかった。
それでもあの時、あの言葉を伝えてくれたのは、香緒里を想ってのことだったのだろう。
「それでね、会いに行く時は……秀人たちにもついてきて欲しいんだ。……いいかな?」
「いいに決まってるだろ?雪音たちも絶対同じように言う。」
「ありがとう、とっても心強い。」
安心したようにニッコリ笑った香緒里の頭を秀人は優しく撫でる。
賑やかだった文化祭も終わりを迎え、もう少ししたら冬がやってくる。
今年の冬は寒いだろうか?




