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一期一会  作者: 雪奈
第13章 冬、異国の地で
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152/213

閑話 クリスマス会 後編


2つ目の謎解きを終え、次の目的地である学食に向かっている途中で圭は既に疲れていた。

主にツッコミのせいで。


珍回答をしたり、怖がってなかなか前に進まなかったり、はたまた別の方向に行こうとしたり。

突っ込んで、止めて、を繰り返しているうちに圭のメンタルは疲れていった。


「圭くん大丈夫……??ごめんね、あんまり役に立てなくて……。」

「いや、由美ちゃんはいてくれるだけでもういいよ……由美ちゃんいなかったら俺のメンタル多分死んでた……。」


まともな人が1人でもいるだけで違う、と実感した。


今もどこで聞こえた悲鳴に沙世、美愛、悠がそれに呼応するように短く悲鳴を上げている。


「もうやだ、絶対秀人のこと恨む…………なんで暗がりに設定したの……!!!」

「まぁまぁ……。」


半泣きになりながら文句を言う沙世を真は宥める。

恐らく吊り橋効果を狙ったのだろうというのは真も気付いていた。

そしてこの班の状況やすれ違う班の様子を見るに、一定の効果は出ているように見える。


「もう嫌や、帰りたいぃぃぃ」


美愛も叫び疲れて沙世と同じく半泣きになっている。

悠は怖いしびっくりするしでやや疲れてはいるものの、泣く程ではない、苦手ではあるが。


普段は見ることが滅多に出来ない美愛の表情を見て、不謹慎ながらかわいいと思ってしまう。

そんな事を言ったら叩かれるのがわかっているので言わないが。


「あーもう、悠と美愛、そっちだと遠回りだから!学食こっち!」


怖くて早く終わらせたいのもあり先頭を進んで行ってしまう二人を圭は止めようとする。

が、階段の方に曲がって行った二人はちょうど階段から降りてきたグループに出くわして大きな声を上げる。


「びっくりしたー……なんだ、悠たちか。」

「なんだよ町田かよ……びっくりさせんなよ……。」

「そりゃこっちのセリフ。」


町田や友代含むC組のクラスメイトたちだった。


「どこ向かってんの?何ヶ所目?」

「俺らは……3ヶ所で……学食だっけ?」

「わからないのに先に進まないでくれよ…………。」


町田に聞かれた悠がそう言い、圭はぐったりと呟く。


「ルート違うんだな、俺らも3ヶ所目だけど大講堂なんだよな。」


やっぱり複数ルートあったのか、どうりで出くわすグループの数が少ないはずだ、と圭は思う。


「まぁ、お二人とも仲良く頑張ってね〜?」


友代は手を繋ぐ美愛と悠を見てちょっとニマニマしながら言う。

クラスメイトたちは皆似たような表情をしている。


「ほっとけ!」

「仕方ないやろ!」


ケラケラ笑いながら町田チームは階段を更に降りて行った。

圭たちも気を取り直して学食へと向かった。



------------


亮たちは第3問目も終え、最終問題のある図書館棟へと向かっていた。


「もうムリ〜〜歩けない〜。」

「あと1ヶ所行ったら戻れるから頑張れ。」


ずるずると翔太と亮に引っ張られながら直樹は進んでいた。


「もう図書館棟着くよーなおちゃんあともうひと踏ん張りー。」


奈津もそう声を掛けつつ後ろから押す。

どの問題も一瞬で亮が解いてしまうのでほぼほぼ移動時間となっているため、休む暇はなかった。

体力皆無の直樹は途中からへばって使い物にならなくなっていた。


図書館棟に着き、入口から示されている矢印に沿って行くと、1つのテーブルに1枚、紙が貼られていた。


『〇〇〇〇〇のある場所へ行け


〇〇〇〇〇に入るのは以下


26 5 14 2 21 14 15 11 15 20 1 5 』


その下には、『ヒントは教師が持っている。欲しければ探し出せ。』と書いてある。


「これは…………なんだろ、なんか意味ある数字だよね。」

「何かが数字に置き換わってるんだろうな。」


奈津が首を捻ると亮はそう言う。

流石の亮も少し考えている。


「アルファベットじゃない?26文字。わかんないけど……。」


座り込みつつ、机にしがみついて紙を見ていた直樹が言う。


「なるほどな。直樹、でかした。多分それで合っている。

……ZENBUNOKOTAE……全部の答え、だな。」

「どういうこと?」

「数字はアルファベットの順番を指し示している。1ならA、2ならBだ。」


亮は解けた様子で翔太たちにそう解説する。


「ということは、『全部の答えのある場所へ行け』ってことね。全部の答えって、要は今までに出た答え、ってこと?」

「あぁ、そうだ。イルミネーション、プレゼント、吉崎香緒里、その全てが揃うのは……」

「第一体育館、だな。」

「そういうことだ。行くぞ。」


サクッとこちらもクリアし、また直樹を引き摺りながら4人は図書館棟を後にした。



-------------


「お、亮たちが終わったな。こっち来るぞ。」

「え、はっや!もう来るの?」


パソコンを引き続き見ていた秀人が言い、時行が驚く。

大方予想通りである。


「会場準備が終わってよかったよ。次は俺らの準備だな!」

「あとなんかあったっけ???」

「あるある、大事なやつ〜秀人はそのまま見ておいてー。」


そう言って時行は生徒会メンバーをステージの袖へ連れて行く。


「じゃーん!みんなでこれを着ます!」

「あ、こないだ言ってたやつですね〜。」


そこにあったのは袋に入ったトナカイやサンタの服。


「おい待て、この間の話だと着るのはお前と日向だけのはずだろ!?」

「いやーせっかくだからみんなで着た方が楽しいじゃん?って思って。」

「楽しくないわよ!!!」


時行に対して一輝と柚希が突っ込む。

香緒里と颯斗は溜息をついた。


「えーでも会長も柚希先輩も似合いますよ〜着ましょうよ〜。」


可愛い後輩の押しに香緒里と柚希は顔を見合わせる。


「イベントだもんね……仕方ないか……。」

「会長が着るのに私が着ない訳にもいかない……。」


一輝と颯斗も同じ思いである。

仕方なく、4人も着替えることにした。


「じゃーん見てみて〜。」


秀人がパソコンから顔を上げると、トナカイの着ぐるみを着た時行がいた。

ご丁寧に赤鼻までつけている。

その隣には同じく鼻なしではあるもののトナカイの着ぐるみの一輝と、サンタの服を着た颯斗。


「お前ら…………楽しそうだな……。」

「おい秀人、その生温かい目やめろ。好きで着てんじゃねぇんだよ。」

「秀人も着たい?」

「ぜってーやだ。」


トナカイよりマシなはずのサンタの服を着る颯斗も一輝と同じく心底嫌そうな顔をしている。


「俺こういうの着るタイプじゃないんですけど。」

「えー女子にキャーキャー言われるよ?」

「それも含めてめんどくさいんですよ!」

「これだからイケメンは!」


時行が颯斗に絡み邪険にされ、秀人が面白がって一輝にスマホのカメラを向けていると、女子組も着替え終えて出てくる。


「新谷先輩見てください!会長めっちゃかわいいですよぉ!」


ミニスカサンタ服を着た里華が前に押し出して来たのは同じ格好をした香緒里。

ちなみに柚希も同様の格好をしている。

袖なしのワンピースにケープを羽織っており、そのスカート丈は制服より短い。


香緒里を見て、秀人は一時停止をする。

その数秒後、時行を見る。

その視線は極寒である。


「おい時行。まさかこのまま全校生徒の前に出させるつもりじゃないな?」

「え?そのつもりだよ?かわいーでしょ?」


その圧にも動ぜずケロリと時行は言う。

メンタル強すぎだろ、と一輝と颯斗は思う。


「変……かな?やめておいた方がいい?」

「いや、そうじゃない、めっちゃかわいい。かわいいから困ってる。」


不安そうな顔をする香緒里の言葉を秒で否定する。

そういうことではないのだ。

かわいいと言われた香緒里は少し顔を赤くする。


ここで着替えさせるのも香緒里の頑張って着た気持ちを無碍にすることになる。

考えた秀人は着ていたブレザーを脱ぎ、香緒里に渡す。


「とりあえず、着てくれ。」

「?わかった。」


大人しくそのブレザーを羽織る。

自分のもあるのになぁと多分香緒里は思っている。


生徒会メンバーはそれを見て「あーー………。」と生温かい目を向けた。

彼女持ちの一輝はミニスカサンタの彼女を他の人に見せたくないという気持ちが分かるため、何も突っ込むことは出来なかった。

全ては時行が悪い。


「ていうか、私完全に会長と里華の引き立て役じゃない。」

「大丈夫大丈夫、ユズもちゃんとかわいいよ?」

「あんたに言われても嬉しくないんだけど。」

「褒めたのに!」


そうこうしているうちに、亮たちが到着した。


「お、到着だねー!優勝おめでとーーー!!!」


トナカイの格好をしたまま、時行は5人の元に駆けて行く。


「なんでそんな浮かれた格好してるんだ。」

「え?クリスマスだからだよ?みんなの分のトナカイカチューシャとかサンタ帽もあるよ、亮もやる?」

「やるわけないだろ。」


直樹は床に倒れ込んでいる。

しばらく立てないだろう。


やっぱり一番だったねーと雪音たちは話しながらステージの方を見る。


「なにあれかわいい。」

「かわいいけど、あれは…………。」

「秀人…………。」


ミニスカサンタでブレザーを羽織る香緒里を見て、一瞬で察する雪音と翔太。


「ほんと、相変わらずだなお前…………。」


近寄って来た秀人に翔太は呆れ顔で言う。


「仕方ないだろ?お前らも雪音や上原が同じ格好してたらそのままでいいのか?」

「無理だな。」

「…………まぁ、それを言われるとちょっと困るけど……。」


亮は即答する。

翔太は雪音を引き合いに出されると何も言えない。


「でも香緒里かわいいねー。」

「後で写真撮らせてもらおうかな。」


彼女組はこちらに駆けてくる香緒里を見てそう言う。




-------------


一方その頃、圭のチームは図書館棟に向かっていた。

わちゃわちゃしながらもなんとか最終問題に辿り着けそうで圭はホッとしている。


体力は圭含め余っているメンバーは多い。

日頃から運動しているだけある。

一方で、文化部の由美は体力がなくなってきたようで歩くペースが遅くなっている。

先行する悠たちとは少し距離が出来てしまった。


「由美ちゃん、大丈夫?」

「さすがにちょっと疲れたかも…………でも、もう少しだから頑張る。」


悠たちのペースが早いので若干小走りで進んでいるため、息が上がっている。

少し圭は考えた後、由美に言う。


「由美ちゃん……手繋いでも大丈夫?」

「え?」

「いや、引っ張ってあげたほうがちょっとは楽かな、と思って。」

「でも迷惑じゃない……?」

「美愛たちに追い付きたいでしょ?」

「それは、まぁ。」

「じゃあ、はい。」


圭は手を差し出し、由美はおずおずとその手を取る。

異性と手を繋いだのなんて恐らく幼稚園が最後だ、と由美は思う。

圭は由美の手を握るとそのまま引っ張って前の4人の方へ向かっていった。



--------------


『ゴールおめでとうございまーす、第18位でーす。』


そうして圭たちは無事にゴールをした。

明かりのある場所に戻って来られて沙世、美愛、悠は「ばんざーい!」と喜んでいる。


「任せっきりでほんとごめん。」

「いや、ある程度は予想してたけど……してたけど……さすがに疲れた……。」


申し訳なさそうにする真に圭は否定しようと思ったが出来なかった。

あれだけ右往左往していたのに約100グループ中、20位以内に入れたのは大健闘だろう。

特に何か賞品があるわけではないが。


「あ、帰ってきてるーお疲れー。」


奈津が手を振ってこちらに来る。

その後ろには亮や雪音たちもいる。


「亮たちはやっぱり1位……?」

「うん、私たちが優勝。」

「だよな〜…………。」


肩を落とす圭を励ますように奈津は笑ってその肩を叩く。


「まぁ、お前だけでやったら俺とそんなに順位変わらないだろうな。」

「やっぱり班構成どうにかした方がよかった気がする……。」




その後次々と皆ゴールして体育館へ入って来る。

最終問題で手が詰まったグループには先生方がヒントを渡しているため、ゴール出来ない人はいない見込みである。


体育館に入って来た秀かおファンクラブの面々は、香緒里の姿を見て合掌した。


「吉崎先輩のサンタコスありがたい……助かる……。」

「しかも着てるブレザー、大きさからいって新谷先輩のだよね……!?」

「所有宣言助かります……!!!」


ブレザーを羽織っている香緒里とその近くにいるブレザーを着ていない秀人。

誰が見ても明らかである。

効果はあったようで、里華にカメラを向けて写真を撮る男子(里華はしっかりポーズを決めている)はいるものの、香緒里を撮る男子はいなかった。

女子はいたが。



全員がゴールしたことを確認した後、香緒里は体育館の照明を落とした。

真っ暗闇になったため、何人か叫び声が聞こえたような気もするが気にしないことにする。


『皆さん謎解きお疲れ様でした!宝探しなのに結局宝なくね???って思ってるでしょ?本日のお宝はこちらです!』


時行の言葉に颯斗がパソコンを一つクリックすると、クリスマスツリーや壁にある電飾が一斉に灯る。


『ハッピーメリークリスマス!!!』

「「「メリークリスマス!」」」


時行に続き香緒里たちも声を上げる。


突然の光の海に皆、目をチカチカさせながらも感嘆の声を漏らす。

亮たちが大量に電飾を貸し出してくれたため、その光だけでもかなり明るく、クリスマスの幻想さを出すには充分だった。


『では皆様、夕食のビュッフェを楽しみながらのビンゴでーす!!』


ここからは香緒里たちの仕事はそんなにない。

時行がMC、颯斗がパソコンを操作してプロジェクターにビンゴの映像を映し出し、里華が景品を渡す。

『先輩方は休んでてください、佐倉先輩にはしっかり働いてもらいますが。』という颯斗の言葉に甘えて、香緒里、一輝、柚希はステージ脇の方へ行く。


「あ、私雪音たちに優勝商品のケーキ渡して来るね。」

「一人で平気か?」

「そんなに大きくないし大丈夫。」


香緒里はそう言ってステージ裏に置いてあったケーキの乗ったトレイを持ち雪音たちの元へ行ってしまった。


「私も友達のとこ行ってくる。」

「おー好きにしろ。」


柚希もステージを降りて人混みに紛れていく。

ビンゴは順調に進んでいる。

予算をなんとか捻出したのと、校長が特別予算を出してくれたため、それなりに景品を用意することが出来た。

きっと盛り上がってくれるだろう。


「かーずき!」


ステージ脇でビンゴを眺めていると、彼女である藤村七恵がやって来た。


「なな、どうした?」

「一輝のトナカイ姿を写真に撮ろうと思って。」

「…………撮んな。」


ニコニコ笑いながらスマホのカメラを向ける七恵に眉を顰める。


「えーかわいいのにー。」

「でかい男捕まえてかわいいとかないだろ……」

「んーじゃあ私もこれ付けるからさ?」


七恵は会場に置いてあるトナカイのカチューシャを持っており、それを頭につけた。


「そういう問題じゃねぇんだけど。」

「かわいい?」

「…………かわいい。」


一輝の言葉に七恵はにっこり満足そうに笑う。

結局押し切られてツーショットを撮ることになった。




「サンタコス似合うー!」

「かわいい!」


沙世たちに褒められて香緒里はちょっと恥ずかしそうに笑う。


「明後日のクリスマス会でみんなでコスプレするのも楽しそうじゃない?」

「いいかも!用意しとく!」


明後日、25日はいつものメンバーで鮎川家でクリスマスパーティをする予定となっている。

沙世の言葉に奈津が張り切る。

彼氏組は固まった。


「え、着るの?サンタコスを?」

「着るよー翔ちゃんも着るでしょ?サンタとトナカイどっちがいい?それとも雪だるま?」

「うーんそういうことじゃないんだけど……。」


奈津にぐいぐい来られた翔太はチラリと亮を見る。


「諦めろ、奈津は決めたら強行するぞ。……仲間内ならまぁ、許容範囲内だ。」

「そういうことです。翔ちゃんだって雪ちゃんのサンタ見たいでしょ?」

「そりゃ、まぁ……。」


見たくないわけはない。

少々目のやり場に困るだけで。


「美愛はスタイルいいから絶対ミニスカ似合うよねー。ねぇ悠?」

「俺に振るのかよ!」

「え、悠以外に振る人いなくない?きっとサンタかわいいよね?」

「いやまぁ、そうだけど…………。そりゃ、かわいいだろ、渡辺だし。」

「……!またあんたはすぐそういうことを……!」


真顔でそう言う悠に美愛は顔を赤くする。

沙世は確信犯である。


「悠って結構ストレートに美愛のこと褒めるよね。」

「根が素直だからね、ツンがなければあぁなんじゃない?」

「美愛もちゃんと悠に言われた時だけ照れるあたり、ちゃんと好きなんだねぇ。」

「他の男子が褒めても意に返さない感じなのにね。」


香緒里と雪音はその様子を見て小声で話す。

お互い相手の言葉にだけ弱いところがこのカップルのかわいいところである。


しばらく雑談をした後、香緒里はステージの方へ戻ろうとする。

それに対して秀人は「俺も行く。」と立ち上がった。


「ビンゴはいいの?途中だよ?」

「んーまぁ、いいかな。圭やるよ。もし当たったら貰っていいぞ。」

「え?まぁ、じゃあ貰うけど…………。」


圭にビンゴカードを手渡して秀人は香緒里について行く。


「なんか、どちらかと言えば護衛っぽいね、あれ。」

「姫と騎士的な?」

「そうそう。」

「え?呼んだ?」

「お前まだ姫キャラ引き摺ってんのかよ。」


沙世と奈津が話していると直樹が間に入り、悠に突っ込まれている。

平和なクリスマスである。



--------------


ステージ裏まで戻った香緒里は階段に腰掛ける。

一輝や柚希はどこかへ行ってしまったようで見当たらない。

ステージでは引き続き時行たちがビンゴを行っている。


「香緒里、夕飯食べたか?」

「そういえばまだ食べてないや。」

「そしたら取って来ようか?」

「うーん…………それより、もうちょっと一緒にいたいなぁ、なんて。」


秀人は立っているので必然的に上目遣いになる角度、そして今の格好に、その言葉。

揺れる理性を必死に保ちながら、今はまずい、と秀人は心の中で唱える。


とりあえず香緒里の隣に座った。


「ほんっと香緒里はずるい……。」

「えぇぇ……?」

「その格好でそんな事言われたら、キスしたくなるだろ。」

「…………!」

「……しないけどな、誰が来るかわからないし。」


赤くなる香緒里の頬を撫でるだけに留めるも、視線は外さない。


「本当は、その格好可愛すぎるから誰にも見せたくない…………って俺が思ってるのだけは覚えておいて。」

「わ、わかった……。」

「かわいいよ。」


少し声を落として秀人は囁く。

香緒里は更に赤くなる。


ある意味、こういう人目が近くにある場所でよかったのかもしれない。

なんて、秀人は思いながら香緒里の髪を優しく梳いた。





「え、秀人から貰ったカード当たったんだけど!?」

「圭が豪運なのか、秀人が豪運なのか……。」

「苦労が報われてよかったな。」

「亮、そう言うならもう少し感情込めてくれるかな!?」

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