3、大阪観光
新大阪駅に到着した一行は、一先ず観光をすることにし、道頓堀までやってきた。
駅で荷物を預けた後に、「お腹空いた」という約2名のために、とりあえず食べ歩きをすることになった。
「なんかこう、大阪来た!!て気分になるね。」
「まぁここはようテレビでも映るからなぁ。」
グリコの看板を見上げて香緒里が言うと美愛が笑いながら答える。
とりあえず各々写真を撮ったり撮りあったりする中、直樹はフラフラと食べ物に釣られてどこかに行きそうになるのを美愛が首根っこ捕まえて抑える。
「あんたは絶対迷子になるから一人で動かんとき!!」
「お腹空いたんだもん〜。」
「子供か!」
美愛おすすめのたこ焼き屋に行ったり、たこせんを食べたりしながらブラブラと巡る。
「あっつ!けどめっちゃ美味し〜たこせん考えた人、神では???」
「火傷しないように落ち着いて食べろよー。」
沙世への対応が若干保護者化してるな、と真を見ながら香緒里は思う。
「ここ、有名なとこだよねー肉まんが美味しいとこ。」
「昔、父さんが出張かなんかの時に買ってきたことあったよな。」
「あーそういえばあったなー。よく覚えてるな。」
「絶対食べ物の事だからやろ?」
「……否定出来ないところが悲しい。」
雪音が某有名な蓬莱店の店舗を指して言うと、悠が
言い、圭も思い出し感心し、美愛が突っ込んだ。
「これテレビで見た時から食べてみたかったんだよねー。」
大きな10円の形をしたパンが売られてるお店を見て奈津が言う。
「でも、たこ焼きも食べたしこれも全部食べたら絶対夕飯入らなくなる気がする……。」
「……半分食べる。」
「ほんと!?わーいありがとう!」
悩む奈津に亮はちょっと苦笑いしながら言う。
相変わらず奈津には甘い。
これが悠や圭相手なら「知らん、我慢しろ。」と言うはずである。
道頓堀や難波の辺りはとにかく人が多い。
そのため、
「あれ?須賀さんいなくない?」
「あ、あっちに流されてる!由美ちゃーーん!」
翔太が先程まですぐ後ろにいたはずの由美を見失い、一番背が高く目立つ圭が回収に行ったり。
ふらっとお店に入ってお土産を見に行く香緒里を秀人が追い掛けたりと次第に散り散りになって行く。
いつもはしっかりしているはずの香緒里も、旅行にあまり行ったことがないためか若干羽目が外れている。
「どっか場所決めて合流した方が良さそうやなぁ。」
地元民である美愛はもう既にいくつかのグループに分かれてしまったのを見て呟く。
「どっか分かりやすいとこあるか?」
「んーーあんまり人多すぎても待ってる間に変なのに絡まれて面倒やからなぁ……あ、ド〇キ前ならいいか。」
「んじゃ、グループメッセに送っとくわ。」
悠は今日は大体美愛の傍にいる。
色々と気を使って傍にいてくれているのだろうということは、美愛にも分かる。
ちなみに直樹はというと、今も背負っているリュックを美愛に掴まれている。
「ミメイ〜この間テレビで見たあのおじさんのケーキ食べたいんだけど。」
「待ち合わせ場所近いから寄るわ!大人しくしとき!」
従姉弟じゃなくて母と子だなこれ……と悠は二人のやり取りを見て思う。
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無事に合流出来た香緒里達は預けていた荷物を受け取り、美愛の実家である旅館に向かう。
電車に乗って20分くらい、最寄り駅からは7、8分くらい歩いた場所に、その旅館はあった。
「うわー素敵ー!!」
木造4階建ての所謂老舗旅館らしい出で立ち。
全部で27部屋ある、と美愛が事前に言っていた。
引き戸から入るとすぐにフロントがあり、美愛を見て仲居さんが出てくる。
「お嬢様!おかえりなさいませ。今女将さんと旦那様を呼んで来ますね。」
和かにそう言った50代くらいの仲居さんはフロントの奥の暖簾の向こうへと消えていく。
お嬢様……という視線を皆から向けられた美愛は苦笑いをする。
「お嬢様っていう柄じゃないのは承知やけど……まぁ、なんか呼び名みたいなもんや。」
「それ言ったら私もそんな柄じゃないよ?」
「いや奈津はなんやかんやぽいやん?」
と話していると、ドタドタと駆けて来る音が聞こえ、暖簾の向こうから大学生くらいの男子が飛び出してきた。
「愛しの妹の美愛ちゃーーーん!!待ってたでー!!」
抱きつく勢いで飛んできたその男子の頭を、美愛は玄関に置いてあったスリッパを素早く取って叩いた。
「騒がしいわ!」
「久しぶりのお兄ちゃんなのに対応ひどない????」
叩かれた頭を抑えながら言う兄を見て溜息をつく。
「えーと、うちの兄貴の雅樹や。」
紹介され、皆頭を下げる。
美愛によく似たつり目に綺麗な黒髪で背もすらりと高い美男。
さすが美愛の兄。
「マサキー!ひさしぶり〜。」
「おー直樹も久しぶりやなぁ、元気しとったか?」
「まぁなんとか?」
前に出てきた直樹の頭をぽんぽんと軽く叩いた後、その後ろにいる香緒里達を見る。
「久しぶりに帰ってきたと思たら大勢やなぁ。いや、女の子はええねんで?別嬪さん揃いやし。……男も多ない?」
そこで雅樹は言葉を区切り、腕組みをして男子6人をじーーっと眺める。
「………誰が美愛の彼氏や??」
「大体彼女持ちやし、みんな友達や。」
兄の言動に呆れた様に美愛は言った後、小さな声で「まだ」と言ったのを前にいた香緒里達女子組は聞き逃さなかった。
まだ、って言った!???
思わず5人で顔を見合わせる。
これは後で女子会を開く必要がある気がする。
「まぁええわ、とりあえずみんな上がり。ようこそ、当旅館へ。」
組んでた腕をといて、雅樹は旅館の息子らしく促した。
香緒里達が靴を脱いでいると、また暖簾の奥から男女が出てきた。
男性の方は雅樹に、女性の方は美愛にどことなく似ている。
「おかえり、美愛。直樹くんも。」
「久しぶりやね、元気しとった?」
「ん、まぁボチボチ。……ただいま。」
二人に声を掛けられ、少し照れ臭そうに美愛は言う。
「おじさんおばさん久しぶり〜パパは奥?」
「あぁ、今ちょっと手が離せないみたいだよ。後で来ると思う。」
「お友達の皆さんもいらっしゃい、いつも美愛がお世話になっとるみたいで。」
再び全員で頭を下げる。
「こちらこそ、こんな繁忙期に泊まらせて頂いてありがとうございます。」
香緒里がそう言うと、「ええのよー」と美愛の母は言う。
「娘が帰ってきて、しかもお友達も連れてなんて、嬉しいやないの。むしろ来てくれてありがとうやわ。」
そう言って笑った顔は美愛にそっくりだった。
出ていった経緯を思えば心配するのも当たり前だよな、と悠は思う。
だからこそ、大勢で帰る流れにしてよかったとも。
「もうすぐ今日チェックインのお客様もいらっしゃるから、今のうちに部屋に荷物置いてお風呂入った方がいいよ?」
美愛の父はそう言って、それじゃあまた、と仕事の方へ戻って行った。
現在時刻は14時半過ぎ。
チェックインは15時からのはずなので、確かにそろそろこのフロントも混み合う時間だ。
「部屋は6人部屋2つと2人部屋1つ、4階の角のあそこやから、適当にしてな。あと宴会場は泊まってる間は好きに使ってええよ、空けといてあるから。ご飯もそこに運ぶわ。」
「了解、ありがとな〜。」
美愛の母もバタバタと仕事へ戻って行き、雅樹も連れて行かれる。
「ほな、部屋に案内するわ。おとんも言うとったけど、混む前に風呂入った方がええと思うで。直樹、風呂と宴会場の場所分かるやろ?」
「うん、その辺は大丈夫〜。」
「んじゃ、部屋まで行ったらあとは18時の夕飯まで自由行動でええかな?」
美愛の言葉に皆、「はーい。」と返事をした。
旅行はまだまだこれからである。




