若者の衝動
「ルドルフの犬め! 成敗してやる」
「何を! 貴様らはクリフの豚だろうが!」
サルトゥーラの町の中、若者たちが角材やら何やらを持って、自分と主義主張の違う相手と戦っていた。
「完全に抗争。そして暴動だ」
サルトゥーラの町の若者たちとビアンキ村の若者たちは何が気に食わないのか怒りを露に戦っていた。もっとも、それは素人目線での話であって。クリフたちのようなプロからすればお遊戯のようなものだ。
「全軍突撃」
クリフはサルトゥーラの町の大通りを占拠する彼らに対し、騎兵突撃を敢行した。
もっとも騎兵は武器を持たず、馬の足音をわざと多きく響かせ、速度もゆっくりだ。
それでも、軍馬が迫ってくる恐怖に勝てず若者たちは散り散りに逃げて行った。その背中を騎兵たちはむんずと掴み、馬で引きずりながら転ばせていく。
素人の若者たちは受け身も取れず石畳の上を転がり、全身を打ったりすりむいたりして泣きべそをかき始める。
数分で状況は解決し、クリフは若者たちに問う。
「首謀者は?」
誰も手をあげない。
クリフは肩を竦め、再度問う。
「理由は?」
「サルトゥーラの町の連中が調子に乗ってるから」
「ビアンキ村の連中が喧嘩を売ってきたから」
「もっと具体的に」
「サルトゥーラの連中、自分たちにはクリフ様がついているからって言ってました」
「ビアンキ村の連中はルドルフ様派で、クリフ様が跡を継ぐことはないってバカにしてきました」
クリフはまたもや頭を抱えたくなった。
だから! その話はまだ何も決まっていないのだ! 叫びだしたかった、そういうわけにもいかない。
「騎兵隊長。彼らは元気が有り余っているようだ。少し帝国兵の訓練に混ぜてあげてはどうだろうか」
「よい考えかと思います」
クリフは騎兵隊長に後を任せ、自分のテントに帰ることにした。
騎兵たちが若者たちを小突きながら、サルトゥーラの町のそばにある本陣まで連行していく。
テントに戻ったクリフは余計なことを考えないようにしようと思い。さっさとベッドに横になることにした。
──そして、翌日。
「コンフォード男爵領の各地で、クリフ派の若者とルドルフ派の若者が揉めているらしい。一部では武器を使った抗争になっているとか」
軍師アレクからそんな報告を朝一番に受けたクリフはすぐさま指示を出す。
「大怪我しない程度に痛い目に合わせろ。でもって、終わったら帝国兵の訓練に混ぜろ。血反吐を吐く思いをすれば、若さゆえの衝動も収まるだろう」
もはや、ここまでかとクリフは自分が甘かったことを理解した。
領内はクリフ派とルドルフ派で二分され、争いとなっている。
治安維持や魔物退治、食糧援助などをしている場合ではなかった。
「俺はコントリウムの町へ向かう。もはや一刻の猶予もならん。この旅に決着をつけねばならんのだ」
そう言うなり、クリフは周りの止める声も聞かず、一人ユニコーンに飛び乗り、駆け出した。
本人の安全は問題ない。だが、問題があるとすれば、このままクリフが実家に戻ってそれで全てが解決するかどうかだった。




