帝都までの道
クリフたちは荷物を最小限にして行動することにした。馬車に物資を積んでの移動は楽ではあるが、移動速度を遅らせ、また邪魔が入る可能性を増やす。必要なのは機動力だ。
オリヴィエにも比較的小柄な馬を用意させている。食料や寝具は馬に括りつけている。これで、移動速度も多少は増すだろう。
「あの、私は?」
ヴィルマはおいていくことにした。
「ここよりの旅路は淑女には険しいものとなる。騎士たるもの、婦女子に過酷な旅はさせられぬ」
騎士も方便、体のいい言い訳だった。
宿で体を休めたクリフたちは颯爽と馬を駆り、街道を進む。
「どちらに向かうんで?」
「帝都の前を通る」
辺境であるから、軍務卿や宰相の私兵が自由に動いてポコスカ殴り合いができるのだ。帝都近郊であれば、私兵であれど、兵を勝手に動かすのは皇帝への反逆と捉えられかねない。だから、重装歩兵や宰相の私兵もおらず、邪魔も余計な手助けもないだろうというのがクリフの予想だった。
幸い、道行には時間がかかったが、帝都までの距離はあと数日と言った所だ。
そして、帝都そばの街道を通れば、二日か三日でコンフォード男爵領に到着する。
クリフたちは颯爽を馬を走らせ、街道を駆け抜けようとする。だが──
「お待ちください閣下!」
「ここを抜けたければ、我らを倒していただきましょう!」
クリフ達から離反していたクロイスとアロイスの二人がクリフの行動を読んでいたかのように道の真ん中に立ちはだかっていた。
「押し通る! 道をあけよ!」
クロイスとアロイスが槍を構え突進してくる。
対して、クリフは宝剣と聖剣の二本の剣を抜き放ち。馬の手綱から手を離し、ユニコーンを走らせる。
勝負は一瞬だった。繰り出された二本の槍を二本の剣でそれぞれ弾き飛ばし。
すれ違いざまに剣の腹で、二人を殴り倒し、落馬させたのだ。
クリフの圧倒的な勝利である。だが、クリフは行動をやめず、馬上から足を上げて蹴りを放つ。それは物陰からクリフを狙ったアーヴィンを叩き落すためのものであり、一撃を受けてアーヴィンも倒れ伏す。
「ぐぅ、閣下の軍で一生閣下に仕えたかったのに……」
「早とちりしおって、俺が故郷へ戻ったからと言って簡単に家督が告げるわけが無かろう」
「うぅ……、それを本気で言っているなら貴方は自分の功績に理解が無さすぎる」
クロイスとアロイス、アーヴィンはダメージに耐えかねたのか気絶する。
クリフたちは思う所はあったもののかつての旅の仲間たちをそこに置き去りにし、帝都までの道を急ぐのだった。
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