第37話 間事件の資料
人が大量に行きかうところというのは、非常に息苦しい
いつもは誰かと一緒にいるのが僕、空閑形真という人間なのだが、今は僕1人でこの息苦しい駅前に立っている
夕方ということもあり、地平線は綺麗な橙色になっている…というのは目の前に広がるビル群で見えないので、僕の想像に過ぎない
だが少しずつ橙に染まっていっているのは事実で、空には薄っすらと月が浮かんでいるのが見える
今の僕はこの駅前で、小澤翔也さんという人のことを待っている
一応まだ待ち始めて5分程度しか経っていないが、翔也さんが来る気配はない
それもそのはずで、僕は本来の集合時間の10分くらい前に到着したからである。特に誇ることでもないが、そういうことである
翔也さんは間事件という、今回の宝石店の強盗事件の実行犯の誰かが、関わっていると臆されている事件の情報を持ってきてくれる
SNSの連絡で出来ないか、と尋ねはしたが事案が事案ということもあってか、書類の現物を見たほうが早い…とのことらしい
行く前に不破形司、通称形兄に「着いていこうか?」と言われはした
しかし、直前に鍵山正吾さんから正式な許可の下りていない協力者はダメだと話したばかりだった
なので、一応形兄にもバレたくはないので丁寧に断った
「肌寒いな……」
夕方ということもあって帰宅ラッシュなのか、車の行き交いが多い。それを適当に眺めていると、一台の原付が目に入った
その原付は法的速度を守って駅に入ってくると、少しずつ速度を落として僕の前の路上でで止まった
運転している人は被っているヘルメットを外しながら降りて、僕の方に近づいてくる。予想通り、その人は小澤翔也さんだった
「4日ぶりくらいだ……おい、何だその…憐れむような目は?」
「あ、いや…原付…なんだなって……」
「悪かったな原付で…まぁ立ち話で済むような話じゃない。とりあえずこれ被って乗ってくれ」
翔也さんはそう言いながらどこから出したのか、僕にヘルメットを1つ手渡してきた。立ち話で済まないということは、結構情報量が多いということなのだろうか
ひとまず素直にヘルメットを被り、翔也さんに続いて目の前の原付の後ろに座る。そうして原付はどこかへ出発した
移動中、何も話さないのは少し気まずく感じて、今の状況で聞けそうなことを翔也さんに聞いてみる
「あの…間事件の情報って、どれくらい手に入ったんですか…?」
「どのくらいか。そうだな、今警察側が握ってるピンからキリくらいの情報は手に入ったはずだ」
「ピンキリ…?凄いですね。そんな大量に……」
「いや、大半は島田刑事が所持してる資料を拝借しただけだ。俺自身が調べたのは…良くて1割くらいか」
島田刑事といえば、あの例の宝石店強盗の捜査本部を指揮していたらしい刑事の人だ。翔也さんから、間事件を担当したことのある刑事ということを聞いている
「大半って…なんでそんな──」
「島田刑事は、まだ間事件を追ってる数少ない刑事の1人だ。事件当時から、未解決事件となった時でも諦めずにな」
「どうしてそんな…その…島田刑事は熱心に…?」
僕がそう聞くと、翔也さんは少し言葉を詰まらせた。そして「言っていいかは分からないが…」と一言置いて話し出す
「あの事件は、日本中の誰もが知る平成後期における大きな事件。当然、被害者やその遺族も多い。特に警官は…」
警官の被害者ということは、テレビや動画サイトなどでよく間事件の話題になった際に出てくる、警官の殉職があったという都市伝説は事実なのかもしれない
「殉職した警官には…島田刑事の当時の同僚もいたらしい。あと、そういうことが分かった理由が…地面から出てた指の指紋だったそうだ」
指から出ていた指…今回の強盗事件、その被害にあった宝石店の目の前の歩道からも指が生えるように数本出ていた。以前の話で間事件でもそういうことが起きたことは聞いた
だが、それがもし自身の知り合いであったと考えると、島田刑事の気持ちが分かる気がする
そうこうしていると、片端に小さな堤防がある河川に着いた。翔也さんはそこで原付を止め、降りるように促してきた
僕と翔也さんは堤防に寄り、その堤防の上で翔也さんは資料らしきものをいくつか広げだした
それぞれクリップで止められていて、1つ1つの資料は数センチの厚みがある。しかも書かれている文字が細かい。それが3つくらい
そしてUSBらしきものが5つくらい置かれた。デジタル系となると、多分防犯カメラの映像とかだろうか
「これが間事件関係の資料……全部島田刑事の…」
「あぁ。ここにあるもの全部が、島田刑事が集めた。または管理をしている資料だ。使いたいって言ったら、快く貸して頂いた。本当に…島田刑事には感謝しかない」
翔也さんはクリップされている紙束の1つ、その中の数枚を外して並べた。見たところ、防犯カメラ映像の切り抜き写真のようだ
移動中に完全に日が落ちたので、僕はスマホのライトを付けてその紙を見る
2枚ずつで画像を比較するように写真が並べられており、全ての前者の方の写真にはある同一の人物に対して赤い丸が大きく付けられていた
フードが深く被られていて顔は見えないが、体格的に男に見える
一方で、全ての後者の方の写真には赤い丸が書かれていない。前者の写真らに映っていたその男がいなくなっているということだろうか
「翔也さん…これが何か…あるってことですか?」
「何かと言ったって…この写真の意味することが、今出せる今回の事件の結論だ」
翔也さんは1つの写真の組、その両方の写真の右下の部分を指差す
そこには、写真…というより防犯カメラ映像が撮られた日時。その詳細が書かれてあった
当たり前だが年月日全て同じだし、時間から分、秒に至るまで一緒だった
「…あれ?全部一緒…?」
「分かったみたいだな。俺も初めて見た時は驚いたよ」
秒まで同じというのは、流石におかしいのにも程がある
他の写真の組も確認してみたが、全て同じような感じで、良くて1秒違いと言ったところだった
意味が分からないが、この前者の方で赤丸に囲まれている男は、最長1秒でその場から消えたことになる
ふと、紙1枚の下に手書きらしき字が目に入った。そこにはある能力の名称が書かれている。多分、島田刑事のメモだろう
「瞬間移動…」
瞬間移動とは、文字通り瞬間的な速さで任意の場所へ移動するという、実に単純かつ強力な能力
能力として使えるとしたら何を使いたいか、というアンケートがあったら、涼しい顔して上位に食い込んでくるような能力だ
「そう、瞬間移動…間事件のこの現在も逃走中の犯人の足取りが掴めないのは、これが理由だと島田刑事は考えている」
「能力が理由…交通機関を無視したってことですか?」
「まさにだ。普通であればどんな犯人であろうと、逃走の際は基本的に交通機関を頼ることになる。大体はまだ事件が広まっていない、直後とかにだな」
「瞬間移動でそういうのをスキップできるし…圧倒的に神出鬼没過ぎて足取りが……ってわけですか」
「あぁ…それで、これらの写真がその証拠。全て、島田刑事が見つけたものだ。一応、島田刑事は他にも似たような映像があると睨んでる。だが、能力のクールタイムによっては、捜索すべき範囲は日本全土…いや、世界全土すら成り得る」
捕まっていないというだけあって、流石に捜索は難しいだろうなと思ってはいたが、世界全土に至るというのは聞いてない
しかし日本全土が捜索範囲になるというのも覚悟をしていなかった。何というか、能力者関係の事件がOWAの任務になっている理由が、なんとなく分かった気がした
ふと、数時間前に鍵山正吾さんと一緒に見たあの遠目の映像と、以前翔也さん達と話したことを思い出した
「そういえば…今回の強盗事件って、今逃げてるのは2人でしたよね…?」
「ん?そうだな、2人……ふた…2人!?」
どうやら翔也さんも気付いたようで、目を大きく見開き、すぐに紙に載っている写真をそれぞれ凝視し始めた
「1人…1人…これも1人…これも、1人……全部1人だ。そうだ、現在逃走中の実行犯達は2人…ということは間事件の逃走中の犯人は、瞬間移動と人を埋める能力を持ってる?じゃあ、あと1人は──」
その瞬間、視界の外でとてつもなく大きな金属の衝突音が響いた
確か、あそこは翔也さんの原付を止めていた辺りだったはずだ。僕と翔也さんは驚いて同時にその方へ顔を向ける
原付が止めてあったであろう場所には、黒い軽自動車があった。車体の前方は少し歪んでいる
そしてその車の正面の数メートル先には、黒い煙が少し立ち上っている、結構な歪み方をしている原付の残骸が転がっていた
「お、おぉぉぉ俺のっ…俺の原付ぃぃぃぃ!!??」
翔也さんは、見たことないくらい額に汗を流してそう叫ぶ。そうして翔也さんはさらに叫んで車の方へ歩き始める
「てめぇぇっ!!人生初めて買った原付なんだぞ…初任給でっ、免許っ…法なんて知らねぇ!!」
そう叫ぶ翔也さんを、羽交い締めをして全力で止める。ものすごい剣幕で、止めるのが少し怖い
「ちょ、止まって…分かります!分かりますけど…まず一旦、落ち着いて──」
その時、運転席の窓ガラスが開けられた。翔也さんは足掻くのを止め、それを呆然と見つめる
もう夜というだけあって、運転手の顔やら車内の様子まではよく見えない。見えたのは、恐らく運転手であろう人がゴソゴソと何かをしているのだけだった
一瞬、雲に隙間ができたのか、運転席に月の光が一本差し込んだ。差し込んだ光に反射してその人の顔が見えた。だがそれだけじゃない
その人は何かを両手で持って、僕らの方に向けて構えてくる。光が丁度良く反射し、それが何かは、一瞬ではあるが分かった
拳銃だ
僕はとっさに、羽交い絞めしている翔也さんを左に投げ捨てる。それと同時に銃声が鳴り響き、僕の右肩を貫通するような感覚が襲ってきた
余りの痛みに、僕は貫かれた右肩を抑えながら膝をついてしまう
翔也さんが僕の両肩を掴んで何かを叫んできているが、痛みで耳に入ってこない
再び銃声が聞こえる。それと同時に翔也さんは僕の腕を掴んで引っ張った。急に引っ張られたので、立ちはしたがよろめいてしまう
そうしてそのまま翔也さんに引きずられ、堤防にある階段を数段降りた
「ここなら死角か。右肩は大丈夫…じゃないか、撃たれてるもんな」
翔也さんは僕の右肩を見る。僕も見てみるが、貫通されたであろう少し大きな穴から血が止まらないということだけが分かった
心臓の鼓動がとてつもなく大きく、そして早く感じられる。したくないのに肩で息をしてしまい、更に肩の痛みを感じる
頭痛がしてきて、焦点が定まらずに目の前がぼやけてきている
「──形真!」
翔也さんが僕の名前を叫んだ瞬間、一気に意識が現実に引き戻された
その瞬間、再び銃声が鳴り、僕は翔也さんに肩を掴まれながら更にしゃがまされる
目の前の石段が何かに削られ、その破片が僕の左頬をかすめる
削られた場所的に、僕が翔也さんにしゃがまされていなければ、腹部に直撃していただろう。ゾッとする
「…能力で、銃弾作れたりはするか?」
僕は翔也さんの言葉に、自分の耳を一瞬疑った。翔也さんの右手を見てみると、ハンドガンが握られていた
「作れますけど、まさか…やり合う…?」
「残念ながらな。原付に追突したのも、この感じだと故意的か…恐らく、逃がす気もないだろう。立ち向かうしか…道は無さそうだ」
翔也さんの横顔を見ていると、一滴の冷や汗が額が流れているのが見えた
少し乗り気ではないが、ひとまずゴム弾を5つ作って手渡す。ゴム弾だということは言っていない
翔也さんは受け取るとすぐにカートリッジに移し、それを拳銃に差し込んだ
「君は…さっさと逃げてくれ。その肩じゃやりたいこともしにくいだろう?」
「いやでも──!」
「2度も言わせるな!俺の人生の半分くらいしか生きてない子供が、銃持ちに向って体張らなきゃいけない義務なんてない……そっちの規則がどうなのかは知らないが、汚れ役は大人で十分だ」
次の瞬間、また向こうの方から発砲音がし、石段を少し削る
翔也さんは舌打ちをし、一瞬顔を石段から覗かせて発砲。車のボディに当たったような金属音がする
翔也さんの身の心配があるが、僕が今の状況で足手まといなのも事実
言葉に甘えるというのは適切じゃないが、今この場は翔也さんに任せるしかない
翔也さんに「すいません」と一言断って、右肩を抑えながら石段を降りて、僕は河原を走りながらこの場を離れた
──────────────────
そうして離れていく形真くんの背中を一瞬見送ると、俺は石段に隠れながら車の方を静かに観察する
形真くんから貰った銃弾は5発。1発はすでに車の方に発砲してしまっているので、残りは4発だ
「心許ねぇ…いやだが、こんな時こそポジティブにだ」
空いている運転席側の窓から、腕と共に熟考が伸びてくる
俺は咄嗟に顔を引っ込めて、放たれた銃弾を回避する。まずは冷静に、犯人像を推察してみる
恐らく、狡猾な性格とみて間違いない
車のナンバーは偽造だったし、俺の原付に追突したのは、今考えると逃走手段を無くすため
中々出てこないのも、こちらの抵抗手段が無くなるのを待っているからだろう
「だとしたら目的は何なのか、か…」
考えられるのは、俺または形真くんの殺害だろう。しかし、逃げた形真くんの後を追おうとしないのをみる限りは、俺なのだろう
だが俺が一発、あっちの方が5発くらい撃ち、膠着状態と化している。俺が目的にしては攻撃してこなさすぎる…更に分からなくなる
「…振り出しか」
次の瞬間、車のドアが開く音が聞こえたと同時に、地に足が着く音も小さいながらも聞こえた
「動き出した…今!?このタイミングで?」
俺は石段から顔を覗かせてその様子を見ようとしたが、俺の方に銃口が向いているのに気付き、瞬時に頭を引っ込める
反応が遅れたのか、頭に銃弾が掠るような感覚がし、俺は顔をしかめる。頭から生暖かいものが微量ではあるが、流れて左瞼まで垂れてくる
「血…かすり傷程度っぽいのが救いか」
垂れてきたそれを左腕で拭い、最低限音だけは拾おうと耳を澄ませる。その時、カートリッジの着脱音がする
今がチャンスだと思い、大きく身を乗り出して拳銃を構える。恐らくあっちの方は銃弾の予備が豊富、ということは外に出ていて装填している今が隙だ
運転していたであろう謎の人物の両腕に向って、それぞれ一発ずつ発砲する
血が垂れてきていて左目を少し閉じているので、遠近感覚が優れないのも相まって、どちらも腕に命中することはなくあっさりと右に避けられた
しかし一発がその人物の右腕を掠り、服が少し赤くにじむのが見えた。謎の人物は、少し離れていても分かるような舌打ちをして、突如俺から見て右の方に走り出した
「おい!?待て……」
俺はその人物の方に走り出したが、すぐに足を止めてしまった。逃げる先がおかしいのだ
謎の人物が運転していた黒い軽自動車は、俺から見て左方向にある。だが目の前の人物が走り出したのは右、堤防がそびえる方だ
逃げる気であれば方向が明らかに間逆……一瞬、思考が停止してしまう
「──!そうだ、あそこにはあの資料が…!」
目の前の人物が向かう先の堤防の上には、間事件の資料が置いてあったはずだ。身の安全第一過ぎて、完全に思考の外だった
あいつの目的は、形真くんや俺の命ではなく、資料だったのだ
あの資料がコピーであれど、全く見知らぬ誰かに奪われるというのはまずい…いやマズいの限度を超えている
「くっ、あれに近づくんじゃねぇっ!」
俺は発砲するが、焦って残りの2発全てを撃ってしまう。しかも焦ってしまって、銃弾は結構明後日の方向に飛んでいった
その隙にその人物は資料が手に届く距離に行き着き、瞬時に資料をまとめて筒状にして持った
銃弾は撃ち尽くした。まだ己の肉体が残ってはいるが、拳銃を持っている相手に生身で突っ込んで行く勇気は俺にはない
そう俺が唇を噛んでいると、謎の人物が俺の方を向いてきた。フードを深く被っていて顔の全容が見えないが、月の光に反射する目が一瞬見えた
「そういえば…お前は見てるんだもんな」
目の前の人物はそうポツリと呟くと、何か黒い小物を懐から出してこっちに勢いよく投げてきた
投げてきた瞬間、月明かりに照らされて何が向ってきているかが見えた。手榴弾だ
「おいおい!?資料だけじゃ満足できずに全取りですってか!?」
手榴弾を撃ち落とそうと拳銃を構え、引き金を引くが空撃ち。やはり焦りすぎて忘れていた
後方に避けようとして足を動かしてももう遅かった。手榴弾は眼前、距離的にも投げ返している時間はない
「くっそ──」
死を覚悟したその瞬間、視界の端、下から木刀のようなものが振り上げられるのが見えた。爆発寸前の手榴弾はその木刀に当てられ、上空へ飛んでいき、爆発した
爆風で俺は尻もちをついてしまう
慌てて顔を上げて目に入ったのは、ついさっき逃げたはずだった形真くんが、木刀を持って立っている姿だった
「す、すいません。流石に…心配で……」
「形真、こっち向くんじゃねぇ!正面向け、正面──」
形真くんの姿と共に、奥でその謎の人物が拳銃をこちらに向けて構えているのが見えた。形真くんはすぐにその方を向いたが、少し遅れた
3発、発砲音がした。形真くんは木刀ですぐに防御の構えを取り、俺はかがんだ
だがそれだけだった。一瞬、遠くから指を鳴らすような音が響いた
形真くんに当たったと思っていた銃弾は、一発も当たってはいなかった。形真くんも流石に一発は当たると思っていたのか、横から見てもはっきり分かるくらい驚いている
ましてや、目の前のその謎の人物ですら困惑の表情を隠せていない。何か、想定外が起こったらしい
「何故当たらない…いや、まさかすでに近くに…?……行かなくては、会わなければ」
その人物はそう呟くと、途端に身を翻して黒い軽自動車に乗り込んだ。そのまますぐにエンジンを稼働させ、まるで嵐のように走り去っていった
俺はその様子を静かに見ていた
「…え?え、翔也さん!?追わなくていいんですか!?」
形真くんが、僕の顔を見てそう叫んでくる。俺は「大丈夫だ」と返す
「もらった銃弾の最初の一発、車体に当たったのは聞こえてただろ?あの時、偽造ナンバーであることに賭けてナンバープレートを撃ったんだ。そんで的中したし、偽造のシールを剥がせた」
左目に垂れてきている血を拭いながら、地面に落ちてある偽造シールを拾う
「本物のナンバーは覚えている。レンタルには見えなかったし、すぐに持ち主の…男は分かるだろ」
「…誰なのか、見当はついてるんですか…?」
形真くんが恐る恐る聞いてくる。俺はそれに大きく頷いて返した
「恐らく…恐らくだ。今のは今回の宝石店強盗事件、逃走者のうちの2人…更にそのうちの間事件に関わっていない方だ」
空閑形真「…翔也さんってどこ住みなんですか?」
小澤翔也「俺か?えーっと、この河川を下流に沿って20キロくらい……あっ」
形真「……」
翔也「…電車で…いっか……」




