事件の前兆…
「鈴音 煉…ホンットむかつく!!」
「一回痛い目にあわせてやるわ。」
「…おはよう…。…。」
燐は目覚まし時計3つに起こされて、しぶしぶリビングにやってきた。
そこにはすでにお馴染みのゴスロリを着たド派手な少女が朝食を食べていた。
「おはよう、燐。」
「お・ね・え・ちゃ・ん、でしょ!!」
燐はいつもこのセリフを言っているが、煉が自分をそう呼んだためしがない。
煉は燐のことを姉と思っていないから。
「アレ??私のふりかけがないんだけど…煉!!」
「何?もう、朝っぱらからそんなでかい声出さないでよ。うるさいんだけど。」
「むっか~…私のふりかけ盗ったのアンタでしょ!!」
「だから、うるさいって。私がふりかけなんて子供じみた物、かけるわけないでしょ。」
「何言ってんのよ。この家には私とアンタの2人しかいないのよ。」
「はぁ~…」
煉は呆れたように重い溜息をついてみせる。
「私じゃないってこと、証明してさしあげましょうか?」
「い、いいわよ。聞いてやろうじゃない。」
「ズバリ、犯人はア・ナ・タ。」
煉は人差し指をたて、振りながら言った。
燐は背筋がゾクリとした。(別の意味でも…)
「まず、ふりかけはそこの棚の中。」
燐は煉が指差した棚の方に歩み寄った。おそるおそる棚を開けてみる…
「フン、ないじゃない!!」
「そうね、簡単に見つかるようなところにはないわ。棚の中に、本があるはずよ。」
「え、ええ…」
「でも、それは本じゃない。本のように見せかけた入れ物。最近よく雑貨屋で売ってるやつね。きっとその中に入ってる。」
「…なんでこれが本じゃないことを知ってるの…?これを買ったのは私で、アンタはそのときいなかったじゃない…。」
燐はだんだん気味が悪くなってきた。
「まあまあ、落ち着いて。まだ私の推理は続いてる。」
燐はとりあえずその本型の入れ物を開けてみた。
中には毎朝見ている大好きなアレ…
「私の、ふりかけ…。」
「ね?入ってたでしょ??さて、私の推理の続きよ。問題はなぜその中にふりかけが入っていたのか…
それは昨日の朝の事…。」
煉は物語を語るように始めた。
「昨日もふりかけをかけたあなたはふりかけがあと1つしかないことに気付いた。最後のふりかけを妹に盗られたくない…そう思ったあなたは妹でも見つけられないようなところに隠した。それがそこだったてわけ…どう?あたってる??」
「あ・・・昨日、確かに…」
煉は得意げにニコッと笑った。もちろん目は笑っていない。
「それでは、なぜ私が隠した場所がわかったのか…まず本のことについてよ。あなたはその本を買って帰ってきたとき、私に『見て見て!!本買ったのー!!』とわざわざ言ってきた。それは私にこれは本なんだと思わせるため。それにあなたがそんな英語で題名が書かれたような本を買うわけがないし。」
燐はムカッとして何か言おうとしたが、妹の推理の続きを待った。
「きっとその本は私から何かを盗られないために買ってきた物ね。じゃないとあんな本だと思わせるためのアピールをしないものね。だから、あなたが昨日の朝、コソコソしているのを見てすぐにわかったわ。毎朝かけてるんだから、ふりかけがそろそろなくなる頃だっていうのはわかっていたしね。」
「…返す言葉もございません…。」
「ほんと、困ったお・ね・え・ちゃ・んだこと。」
「むっか~~~~!!!!」
いつもならここで姉の権利を使って妹をこてんぱんにしてやろうというところだが、ここまでカンペキに推理されるとどうしようもない。
「は、はやく学校に行きなさ~い!!」
「はいはい。」
煉は似合わないランドセルをからって、なぜか姉よりもはやく家を出た。姉の中学校の方が遠いのに。
きっと燐が遅刻するのだろう…。
煉は真黒なロングの綺麗な髪をなびかせて、フワフワのスカートを揺らしながら廊下を歩いていた。
「おはよう、鈴音さん。」
「あら・・・」
あまりにも珍しい人が挨拶をしてきたので少し止まってしまった。
「…おはよう、上木さん。」
いつものように口元だけに笑みを浮かべて棒読みの挨拶をした。
「珍しいわね。大嫌いな私に挨拶をするなんて。」
そう、挨拶をしてきたのは小学1年生の頃から煉を嫌っていた上木 沙弥だった。
「あらやだ。大嫌いなんて…そんなわけないじゃない…。」
その時の沙弥の顔は全く笑っていないし、煉と同じ棒読み。
あきらかに煉が嫌いだとアピールしている。
沙弥が煉を嫌いになったのは会った瞬間からだった…
小学校入学式。
沙弥はもの凄い目立ちたがりやだった。なのでひときわ目立つラメ入りのフリフリ…いや、どちらかというとブリブリスカートをはいていた。
しかし、皆の視線は沙弥に全く向いていない。皆は真っ赤なリボンを頭に付けたゴスロリの少女に注目していた。そりゃ、そんなド派手な衣装を着ていれば注目されること間違いなし!!だが、それだけではなかった。その少女の美しさといったら…もう言葉にならなかった。皆が、沙弥もその少女に見とれている。だけどもちろん沙弥は気にくわない。それから煉の名は沙弥のブラックリストに載せられた。
クラス表を見たとき、沙弥は心底がっかりした。なぜ、なぜ神はこんなにもたくさんクラスがあるというのに気にくわない少女とクラスを一緒にしたのか?いや、これは神が私にチャンスをあたえてくれたのかもしれない…あの少女を見返してやるチャンスを!!沙弥はクラス表の前で一人、決意表明をしていた。鈴音 煉より目立ってやると。
しかし、そううまくはいかない。あるとき沙弥はクラス男子の話を耳にした。
「上木 沙弥もけっこう可愛いよなぁ…俺は好みかも。」
それを聞いた瞬間ひとりでガッツポーズ。
「でもレン様には勝てないだろー。」
「そりゃあ、レン様に勝てるヤツなんていねーよ!!」
「上木も、せいぜいクラスで2番目に可愛いってとこか。」
「ああ、レン様は宇宙一だけどな!アハハハハハ。」
沙弥はもう、覚悟を決めた。
ある日、仲のいい女子5人をひきつれて、煉を脅してみた(もちろんダメ元)。しかし…
「あなた達、そんなことして楽しいの? っふ、なんか悲しくなってきちゃうわね。そこの…上木…だっけ?あなたって女子何人かとつるんでなきゃ私に文句の一つも言えない臆病ものだったの??はぁ…呆れた…もう二度と話しかけないでくれる?」
沙弥はこのセリフを今でも覚えている。
次に、煉が大切そうにしている黒ネコの柄がついた筆箱を隠してやった。しかし、すぐに見つけてしまう。そしてこちらをチラッと見ると、
「あなたが隠しそうな場所よね。もっと上手に隠せないの??」
・・・もうさすがに限界だった。
今度はヤツの筆箱をハサミで切り刻んでやった。しかも目の前で。それでも泣かないだろうと思っていた。が、その無残な筆箱を両手で持ってほろほろ泣きだした。沙弥もさすがに焦ったが、次の瞬間、絶望で満ちた。教室のドアがガラッと開き、自分たち以外は誰もいなかった教室に男子3人が入ってくる。
「どうしたんですか、レン様ー?急に呼び出して・・・って、レン様!?」
男子3人組(喧嘩、負けたことありません’ズ)は泣いている煉を見るなり、あわてて煉に駆け寄った。
「レン様?大丈夫ですか??…その筆箱…」
喧嘩、負けたことありません’ズは煉が持っている筆箱を見て、女子6人組み(イジワル’ズ)を見た。
「お前ら…やっていいことと、いけないことがあんだろ!!」
キレる喧嘩、負けたことありません’ズに煉は
「い、いいの…今はとりあえず出て行ってくれるかな?」
「あ、はい!!承知しました…お前ら、覚えとけよ!!」
さすがに喧嘩、負けたことありません’ズなのでイジワル’ズもビビる。
イジワル’ズもやりすぎたかな…と思ったので、泣いている煉に近寄った。が、
「あーあ、私の嘘泣きに騙されるなんて、まだまだね。あら?あなた達も騙されちゃった??」
「えっ・・・」
イジワル’ズ、皆目がテン。
「よかったー。ちょうどあの男子を呼んでおいて。あなたたち、ばればれなのよ。だって女子6人が一気に人目の付かないようなところに行くのよ?そんな大人数だったらすぐに気付いちゃうじゃない。だから私はあなた達のあとをつけて作戦を聞いちゃったわけ。ちなみにこの筆箱は先生のよ。誰のかしらね?
先生全員に訊いて回ってみたら??ま、そんなことしたら訊いた先生全員にあなた達がしたこと、ばれちゃうけれど。」
ハメられた…おかしいと思った。コイツが自分たちの前で泣くわけがないと。
イジワル’ズはいかってまた何かをするかと思っていたが、もうする気もおきなかったらしい。
なんせこの件のせいで先生にも、男子にもサイアクな印象をあたえてしまったのだから。
まあ、そんなわけで沙弥はずっと昔から煉のことが嫌いだった。
だけどそのせいで、沙弥は災難にあうことなど、沙弥も煉も知らなかった。
2人に黒い影がちかづいている。
どこかで謎がうずめいている。
読んでくれた方々、ありがとうございました!!
今回は煉と沙弥の出会いの話でいっぱいになってしましましたが、次話でついに!
煉が天才的な頭脳を使って謎を解き明かします!!
お楽しみに。




