097 庶民派お嬢様
「美味しいですわね! これ!」
「ああ、お気に入りなんだ」
討伐以外で行動を共にするのは初めてだった。彼女は箱入りなお嬢様らしく、友達と外で遊ぶという経験をしてみたかったらしい。
「カレーまんって言うんですのね! 漫画でも見たことありませんでしたわ!」
「肉まん祭りの後から、ちょっとブームになってるんだ。もちろん、俺も含めて」
「本当に、美味しいですわね…。ディナーで出てきても違和感ないですわ…」
「…そんな馬鹿な」
「真に美味しいものは、その人自身が好きな食べ物ですわ!」
彼女には食べ歩きがどうにも難しかったようだ。なので、広場のベンチまで来た。
「まだ暖かい! ですわ!」
「犯人が近くに居そうなセリフだな」
この人、多分かなりのお嬢様だが、妙に安い楽しみ方が上手い。感性ってのは、案外生まれつきのものなのかもしれない。
「漫画好きって言ってたよな。良ければ、おすすめ教えて欲しい」
「もちろんですとも! そうですわね、ゆるい日常系、ミステリー…。フェドさんの好きなジャンルはなんでしょう!」
「…うーん。漫画は、あんまし見たことないんだ。小説だと、ミステリーだな」
「ミステリー! 私も好きなんですの! ふむふむ、せっかくなら、漫画慣れにふさわしい作品がいいですわね! …悩みますわぁ」
「単純に、アレツさんが好きな作品はなんだ?」
「…あっ! 確かに、あの作品は基本が4コマ、慣れてなくても読みやすい! …しかし、うーん」
「なにか引っかかるのか?」
「…ラブコメって、好きだったりしますか?」




