096 追いかけっこの末
「…すっごく、疲れた」
「お水! いっぱい出すので、いっぱい飲んでくださいまし!」
結局、決着は追いかけっこだった。魔猪は深く刺さった傷から少しずつ動きが鈍くなっていき、ようやく仕留められた。
「呼吸が、しんどい」
「私が、私が不甲斐ないばっかりにぃ!」
「い、いや、速い動きの、魔猪を、横からちゃんと、刺せたのは、すごい、よ、マジで」
「お言葉はありがたいですが、まずフェドさんは呼吸をちゃんと整えてください!」
無茶ではなかったが、しばらく動けそうにない。
「見つかりましたわ! フェドさんのレイピア!」
「おお、よく見つけた!」
走りまくった直後は、とにかく終わった、という気持ちだった。
しかし、落ち着いて考えれば、失ったもののある戦いだった。
「…その、アレツさんのレイピアって、いくらぐらいなんだ…? 俺の判断で始まった戦闘だし、責任は俺にある」
「いえいえ! 武器とは、いずれ壊れてしまうもの! 弁償する必要なんてありませんわ! …両親に買ってもらった身で、こう言ってしまうのはどうかと思いますが…」
「それでは、親御さんにも申し訳ないな…」
「い、いえ! 私は多少裕福な生まれなので、フェドさんがお気になさることではございませんわ! …多分」
「いや、どうにも割り切るのが難しいな…」
「それなら! 私は、私の意思でフェドさんを助けたのです! その結果の責任は、誰がなんと言おうと私のものですわ!」
「…かっこいい、ですね」
「照れますわ!」




