091 連携
「すみません! あの、弁償…って言い方はおかしいですわね、その、何を補填すれば良いのか…!」
「いや、謝るような話じゃないです。すごい威力でした。かっこいい!
…というか、風魔法、風だったんですね!」
「そういうフェドさんこそ!」
「…ああ、確かにハンマーに凹みがある。ここが、風の受け場所ですか」
「はい! 風でハンマーを加速させる、フェドさんの想像通りですわ」
「いや、それでも、まさかあんなに威力が出るものだとは。…威力不足で悩んでたのに、全然思いつかなかったな」
…いや、片腕じゃハンマーは振り回せない。無意識のうちに選択肢から外してしまっていただけか。
「そういうフェドさんは、風魔法で体捌きのサポートですわね。私にはどうにも難しくて…」
「これは受け売りだ。…その、褒めるなら俺の友達を褒めてください」
「できている、使いこなしている。それは、間違いなく誇っても良いことですわ。少なくとも、私にできないことを、フェドさんはできています。
…あと、お互い話しやすい感じでいきましょう! 風の同士ですもの!」
「…それは、どうも」
「それじゃあ、こちらも楽に話しますわね。
…どうしましょう! 私、完全に足手纏いではありませんか! 魔猪をミンチにすることしかできませんわよ、私!」
「…いや、手はある。むしろ、アレツさんのハンマーは欲しい。
魔猪のツノを粉砕して肉体ごとひねりつぶせるパワー、これは利用しない手はない」
「…あんまり可愛くない褒められ方ですわ…。なんて猟奇的な…」
猟奇的なのはアンタのハンマーだよ。…とは、言わないでおいた。
一言でまとめるなら、役割の交代だ。アレツさんが注意を引き、俺がトドメを刺す。
「カウントは3つで! ゼロで!」
「3つ! 分かりましたわ!」
魔猪の方に一直線のアレツさんと、大回りして側面をつく俺。
「ツー、ワン…。ゼロ!」
「せぇいッ!」
魔猪が駆け出す、そのほんの少し前にハンマーを振り下ろす。魔猪へ当てるには2メートルほど足りてないが、それが良い。
これなら、想定通りに行かなくてもハンマーが壁になる。アレツさんが魔猪の突進を受けずに済む。
その衝撃は、地に窪みを作った。崩れた足場は、魔猪にとってあまりに条件が悪い。短い4本足では、動きに支障が出る。
それは、あまりに大きな隙だった。だから、側面から頭を突き刺せた。




