089 討伐
「…2人ペア、ですか」
「はい、2人ペアです。少々待ち時間が発生しますが、個人登録してお待ちいただく手もあります。
…ただ、風魔法だと、ちょっとお時間かかるかも、しれないです」
「…その、考えてきます」
受付でそんなことを言われてしまった。
サテファ先生、そんな話一つも言ってなかったんだが。…さて、どうしようか。
あまり乗り気ではなさそうだが、ティナを誘ってみるか? トーナとロアは乗り気かどうか以前にちょっと誘いづらいな。
門のすぐ近くに、討伐受付所がある。中央の公共施設と違い、人通りはあまり多くない。
「あの、フェドさん。お久しぶりですわ」
だから、後ろから話しかけられた時は、とても驚いた。
「え、はい、そうですけど。その、どちら様でしょうか?」
「…あら、お忘れでしたか。9ヶ月ほど前、東の門に取り残された私の弟を、助けていただきました。
アレツ・ソーフルトと申します」
確か、トーナがいなくなってから4日後ぐらいだろうか。あの日の少年と共に、感謝のためにわざわざ寮まで来た、おそらく同年代の女子。
「ああ、あの時の。すみません、あの辺りは色々あって、適切な対応ができてなかったです」
「いえ、何があったか存じ上げませんが、私はただ感謝を伝えたかっただけですわ。あの時も、今も。
お元気で、何よりです」
「そう、ですか」
無言の時間は、一瞬だった。
「…さて、真面目な話はすみましたわね! もしかして、フェドさんも討伐でしょうか!」
「…え、はい。…あれ?」
「おっと、失礼いたしました。確か、スーベル魔法学院の生徒さんでしたわよね。その方がここにいる、ということは、討伐と見ました!」
「あってはいます、間違ってないです」
「そして、2人ペアで参加が必須なこの場所で1人。…つまり、仲間を求めている!」
「あんまし大声で言わないで欲しいです」
「それでは、一緒に行きましょう! 私も、1人でしたから。フェドさんが一緒なら、心強いですわ!」




