086 ガレス
「ふむ、少しだけ顔つきが良くなっている」
「友達に、色々と言ってもらったんで」
「ならば、私からはそこまで難しいことを言わなくても良いでしょう」
「…その、心配させて、すみませんでした」
注文していた、ゴージャスなパフェと小さなプリンが届いた。俺の目の前に置かれたのは、小さなプリン。店員さんは、色々と慣れた様子で下がっていった。
「ここのスイーツは絶品ですよ、フェド様。私が保証します」
「ガレスさんの行きつけの店を疑ったりしませんよ」
お互いに無言のまま、完食。残ったのは、まだ暖かい紅茶と、ガレスさんのコーヒー。
…美味しかったな。落ち着いた雰囲気もいい。また今度、個人的に来るのもありかもしれないな。
「私は、剣と出会って20年です」
「…剣に捧げた人生。みたいなのを想像してました」
「よく、言われます。ですが、実際、私は剣を生業とした仕事をしたことが一切ない。ただの、趣味です」
「信じられねぇ」
「人生は、選択の連続と言われている。貧民として生まれた私には、その選択肢は少なかったですが。
しかし、総括すれば、私はこの人生を後悔していない。楽しい趣味と、それを教えられる弟子がいる。それが、幸せです」
「総括、ですか」
「…剣を磨く自分に、自惚れていた時期があった。それだけです」
「本当に、想像つかないです」




