083 砂漠を走る
「いいぃッたぁ!」
「ふむ。そろそろ休憩にしましょう。剣筋が単調になっている。それ以上に、合理性を欠いてる」
「うぐ、…はい。その、ありがとうございました。ガレスさん」
荒くなった呼吸を、少しずつ静める。…最近ずっと、砂の上を走ってるみたいな感覚だ。確かに進んではいる。だが、進んだ距離以上に疲れている。
「フェド様。次の休日、少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか」
「…えっ、はい。良いですけど。えっと、剣の稽古とは別枠で、ですか?」
「そうです。平日は執事としての仕事がありまして、まとまった時間を作るのが難しい」
「それは、すみません。その、いつも、というか今日も、本当に助かってます」
「いえいえ、いい弟子に学びを与える。それそのものが楽しいのです。もちろん、主人の命ではありますがね」
「その、ロアちゃん!」
「ティナ、どうしたの」
「えっと、フェド君の、ことなんだけど…。あのままに、したくなくて」
「あいつなら、多分大丈夫。しばらくは見守ってて。…そろそろ、頭冷えてくるころでしょ」
あんまりにも冷たい言い方。やっぱり、幼馴染だからこそ分かる何かがあるのかな。…それでも。
「待てない。フェド君の、力になりたい」
「…じゃあ、任せる」
「うん、任せて」
「…なんでわざわざ言いにきたの? あたしを通す必要性はない」
「ロアちゃんなら、多分私よりも上手くできるかなぁって、思ったから」




