081 諦めきれない
入れ替え戦まであと一週間。トーナと俺の爆発魔術の威力は、ほぼ互角。
つまり、明暗を分けるのは的まで届ける部分。爆弾が手元から離れると術式を組み込めないので、ここの工夫がキーになる。
トーナは、炸裂の風をドーナツ型にしたらしい。要するに、専用の発射台を作るということ。そうすれば、投擲動作なしで狙ったところに飛ばせると言った。
その上、俺の投擲+風よりも着弾まで早い。
ドーナツ型は軌道の制御目的だろうな。仕掛けはすぐに理解できた。
だが、再現できなかった。
「…あー、お前自身を風魔法で的近くまで吹き飛ばして、そんで設置か。確かに、術式を組み込む時間も増えるかもな。
…逆に聞くが、ありだと思うか?」
「…ダメ、ですよね」
「分かってるなら聞くな。あと、ちゃんと寝ろ」
「寝れないんですよ、寝てないわけじゃない」
サテファ先生は、大きくため息をついた。
「確かに、そういうのは大事だと、前にも言ったがな。いや、もちろん、今でもその意見を変えるつもりはない。
…だが、どうにもならない時はある。全力で足掻くことは良いが、それで燃え尽きるなよ。お前には未来がある」
「そう、ですね」
なにか、見落としはないか。
投擲と風の掛け合わせの練習はしているが、微妙に安定しない。それに、着弾までに時間がかかりすぎてる。
何か、俺にできる工夫はないのか。
炸裂の風の利用。これが大前提だ。他でもないトーナがこれの応用で射出してるんだから、それ以外に手はないはず。
だが、普通に使っても全く安定しなかった。だから、トーナはドーナツ型にしたわけだし。
…発想の転換か? 炸裂の風の利用以外で、何かできることは、本当にないのか。
「こりゃあ、無理だな」
何度も、口から出た言葉。…なのに、諦めきれない。




