079 合格発表
合格者の試験番号が、掲示板に張り出されている。ずらっと並んだそれに、俺の番号はあった。
「…よし、なんとか通った」
「あたしも、あった」
トーナは探し始めるのが遅かったのもあって、手間取っているようだ。…番号は覚えているが、先に見つけてしまうってのは風情がない。
「あ…った! あったぁぁ! やったよ二人ともぉぉ!」
「…さて、なんとか最初の関門は突破できたな」
「…あっ! 爆発魔術を覚えるって話だった!」
「覚えること自体は、結構簡単。爆発魔術は構築が洗練されすぎて、開発時点から無駄があまりにも少なかった。
だから、もっとも完成された魔術とも呼ばれてる」
「…死人が出る魔術なのに!」
ペラペラと、術式の例が大量に書かれた魔術書を開く。
…確かに、少ないピースを掛け合わせて出力になるような術式ばかりだ。それに、使う形も偏ってない。狙った形のピースがないよぉ! って事故も起こりづらいようになってる。
「一回。試してみるか」
「随分気が早いな。ヤバい魔術なんだし、もうちょい魔術書読み込もうぜ」
「この術式なら、威力の調整は簡単。それに、図解より実物見た方が早いでしょ。師匠だし、それぐらいはする」
「良いじゃん! 見てみたい! 師匠! 頼みます!」
「じゃあ、3秒」
少し遅れて、ロアの手のひらに爆弾が乗っかる。
黒くて、丸い。ただそれだけの物体。重力にちゃんと従う程度には重いようだ。
「3」
おそらく、生成が完了したタイミングからカウントスタートなんだろう。
爆弾にカウントを設定する都合上、爆弾本体にその機能があると考える方がいかにもそれっぽい。
ぼんやりとそんなことを考えている俺をよそに、ロアは組み上げた術式を次々と爆弾へ送り込んでいく。
「2」
右手を振りかぶる。その途中、左手で風魔術を発動。ズレで発現が遅れるその場所へ、振り抜く右手を通す。ほぼ同時、風が吹き抜けた。
黒いのは風に乗って遠くまで飛んでいき、訓練室の壁に当たって跳ね返る。
カウントが尽きたのだろう。パァン、と破裂音が響いた。想像していたより弱々しい音で、逆にびっくりした。…いや、あくまで試しだから、威力上げすぎてもおかしいか。
「おお! 風魔術!」
「魔素の消費が少ないから。水での射出と違って飛ばす力の調整は難しいけど、ここはコスト優先」
「3秒…いや、手元から離れるまでって意味では1秒か。それでも、威力低すぎないか? …ああ、かなり手を抜いたのか」
「うん。やろうと思えば、石の壁ぐらいなら吹き飛ぶ威力にできた」
「…それは、ロアがおかしいんじゃない?」




