075 中級試験3
「今日は、休みにしましょう」
放課後になってすぐ、ロアがそう言った。
「…え?」
そう漏らしたのはトーナだった。
「ちょっ、ちょっと待ってよ! 今は休んでる暇なんてない!」
「正直、思っていた以上に頑張ってる。でも、…いや、だからこそ。今日は、休んで」
「あと二週間だよ!? 時間が足りない!」
「俺も、トーナと同意見だ。休むより頑張った方が、心理的には楽だったりする。続けさせてやって欲しい」
ロアは言うべきか否か、考えているのだろう。俺も、同じ相談を受けた。だから、なにを迷っているのか理解している。
「…ティナが心配してた。最近、お昼の時間も顔を出してなかったから」
…本当は、廊下ですれ違った時の表情を見て心配になったと言っていた。
「嘘でしょ。あの子は、それだけのことで心配はしない」
トーナにそれは通用しなかった。
「…あー、廊下でトーナを見たってさ。ずっと表情がこわばってたからな。そりゃあ心配になって当然だ」
「全身がずっと緊張しっぱなしになってる。
ちゃんとほぐした方が、切羽詰まった感覚が薄れて楽になる」
「一理、あるな」
「でも! そんな時間ない!」
「じゃあ、あと二週間。そのまま持たせられるの?
あたしとしては、ここで一日使って残りの日に備えた方がよっぽど良いと思う」
「もういい! 一人でやる!」
そう言って、トーナは教室から出て行った。クラスメイトも、この状況を完全には無視できないらしい。こちらをチラチラと見て、声をかけようか迷っている。
「…フェド。あとは任せる」
「責任重大だな。…まぁ、任された」




