071 爆発魔術1
「「師匠になってください! ロア先生!」」
「良いよ」
「あれ、ちゃぶ台ある! 前来た時はなかったのに!」
「ああ、買った。トーナの勉強見る時とか、あった方が楽そうだし」
こほんと、師匠は一つ咳払い。
「さて、何が聞きたい? …多分、爆発魔術のことだろうけど」
「勘が鋭い! 使ったことなくても知識としては知ってそうだなって!」
「一部の魔術書を買うためには資格が必要。だから、操作に関わる知識はほとんどない。
話せるとしたら、その歴史とかが軸になる。実用性はあまりない」
「えぇ…マジかぁ…」
「それでも、俺は聞きたい。操作のコツに繋がるかもだし。ロア師匠、よろしくお願いします」
「もはや座学の授業じゃん…」
「じゃあ、核になりそうなところを中心に話す。
爆発魔術…、というより、そもそも戦闘用の中級魔術には共通点がある。
それは、安全機能があり、威力に上限がないということ。上級魔術の場合、ピースのはめ方を間違えると、パズルそのものが起爆するような感じになる」
「それなら上級魔術って必要ないんじゃないの?」
「…授業は、ちゃんと聞こうな」
「安全機能がないってのは、まだ起爆条件が不明ってこと。
安全な使い方が体系化されていない、比較的新しい魔術が上級魔術。もちろん、起爆させなければ割と安全に使えるけどもね。多分」
微妙なリアクションのトーナ。彼女なりに言葉をまとめたのか、こう聞いた。
「そもそも、起爆と暴発の違いって何? 上級が条件次第で起爆して、中級より下はそういうのないってのはわかるけどさ」
「暴発は、安全機能がある術式での制御ミス。未完成のまま作動して、崩れるようなもの。変なところに飛んだり、そもそも打ち出せなかったりする。
起爆は、安全機能がない術式での操作ミス。間違った形で術式が噛み合って、爆発する事故のこと」
「けっこう別モノだ…。…あれ、確かフェドこの前。『最初から、起爆不安は抱えてなかった』って言ってなかった?」
「ああ、言った。爆発魔術は起爆リスクを持っていないのに、上級扱いだった唯一の例外なんだ。あまりに死亡事故が多すぎたからな」
俺の言葉に、ロア師匠が続く。
「使い手が悪い論と、そういう魔術なのがいけないんだ論。この二つが一生争ってる。ただ、今回は中級扱いで5年間固定すると魔術管理局が言い切ったから、ある程度安心して良いと思う」
「そりゃあ良い。少なくとも上級の受験資格を手に入れるまでは、気にしなくても良いってことだ」
「そんな危ない魔術なんだ…」
「ティナの炸裂弾も、十分危ないことをしてる。怖いって思うのは仕方ないかもだけど、そこは忘れないほうがいい」
「確かに…。うん! 覚悟は決まった! なんで死亡事故が多いのか、知ってたら教えて!」
「敢えて言うなら、魔術の組み上げ速度で威力が増減するから」




