068 2人の師匠
「レディを待たせるとは、罪なやつだ! フェド、ロア!」
「悪い。カレーまんが見つからなくて」
「ほほう。なら、店の場所を吐きな! こいつがどうなっても良いのかぁ!」
ティナ、ちょっとこっち来て。と、トーナはこちらから目を逸らさずに、声をかける。名前の主はここにいない。
「…ああ、いなかったそういや!」
「観念しろぉ、悪党め!」
「小癪な手を…。悪党め、このトーナ・パーナが成敗してくれる!」
お互いに、残った自分の肉まんを頬張る。結構熱かったので、ちょっと後悔してる。
咀嚼が終わった俺たちは、お互いに拳を構える。
「決着をつけるなら、やっぱりこれしかないでしょ!」
「受けて立つぜ! トーナ!」
最初はグー! と、遠くから聞こえた。
「何やってるの、あの二人…」
「さぁ? …にしても、ずいぶん買ったね」
「えへへ、美味しそうで」
「食べ終わってから買えば良いのに」
「…確かに!」
「…あのさ。ロア、いないんですけど」
「…置いてかれたな。完全に」
「フェドが二本先取とか言うからぁ!」
「トーナが三本にしようって言ったんだ!」
しばらく頭を冷やしてこい、というお達しなのだろう。仕方ないので、トーナと動くことにした。
「そういや、フェド師範に質問なんだけど」
「…どうした?」
「入れ替え戦のティナって、どう思った?」
「正直、もうちょいやれるはずと思った」
「だよねぇ…。…実際、訓練中ももうちょい威力出てるんだよ。フェドは最近あんま見てないけどさ」
「悪い、自分に必死で。いつも助かるよ、トーナ」
「どうもね。…やっぱり、観客いるとしんどいのかなぁ」
「まぁ、見せ物にされてる感じはあるよな。一回しか立ったことないが、あまり良い気分はしなかった」
「そうだよねぇ…。じゃあ、任せたよ」
「何を?」
「ティナに、実際どうなんって聞いてみて。多分フェドの方が適任でしょ。私は入れ替え戦勝ってるし」
「…まぁ、聞いてみるか」
「頑張れ! 師匠!」
「…へいへい」




