067 肉まん祭り
「肉まん祭り、か」
「フェドも行こう! 訓練終わりの肉まんは絶対に美味しいよ!」
「肉まん、肉まん」
「どうするかな。今日は剣の訓練が…」
そう漏らした時、ロアがジッとこちらを見つめてきた。…無表情なのに、なぜか意図は伝わってくるから不思議だ。
「…まぁ、どのみちアルネス家への通り道だしな。俺も行こう」
「よし! ちゃんとお腹空かせといてね!」
「肉まん、肉まん」
入れ替え戦の時以上の火力で的を消し炭にするティナは、そう呟いている。果たして突っ込むべきか否か。
「大盛況だな」
「牛串祭りの時以上だね! さてさて、どこから行こうかなぁ!」
「前回優勝のアルマダに行きたいな! 普段のお店のメニューと味変わってるか気になる!」
「良いねぇ! 行こう! 二人はどうする?」
「俺はせっかくだし別の店に行ってくる。胃袋は有限だし。カレーまんとかのイロモノ枠から攻めるかな」
「じゃあ! 後で合流で!」
「だいぶ時間取られたな。さては、一店舗しかないのか?」
「まぁ、なんとなく優勝候補になりづらいだろうし」
「…あー。まぁ、カレーまんのチームが優勝したら、カレーが強かったんじゃないかってケチがつくか」
かぶりついた跡から、湯気がずっとたちのぼる。
この手の料理は、一口目が難しい。具材まで届かせようと頬張って、あまりの熱さに後悔する。それは、俺だけの話じゃないはず。
だけど、ここのカレーまんは皮にも薄くスパイスがついてる。…たとえケチがついたとしても、こういうお店に優勝してほしいな。
「なかなかにスパイスが効いてる」
「体が温まって、良いな。…そういや、ロアって最近辛いものよく食べてるよな」
「体温調節が楽だから」
「なるほど」
「あと、刺激になると良いなって狙いもある」
「甘い、苦い、酸っぱい。あとは、辛い。まぁこの中じゃ、辛いが1番刺激的か」
また一口、かぶりつく。雑談している間に冷えた、なんてことはなく、まだかなり熱い。
「それで、あれから1ヶ月経ったけど、受け止められた?」
俺の咀嚼が終わってから、ロアは問うた。よぎったのはトーナの顔だけじゃなかった。
「…いや、どうにも。すぐに収まると思ってたんだがな」
「そう。どうしても引っかかるなら、本人達に直接ぶつけちゃうのも手だと思う。というか、フェドはそっち派でしょ」
「…なんでかな、これだけは本人達にバレたくない。多分、惨めな感じになる」
「そう。まぁ、しんどいなら吐き出し口ぐらいにはなる」
「ああ、また頼む」




