061 適任?
「…できた! やっと、できた!」
「おめでとー! ティナァァ!」
訓練場で、ティナとトーナはそう叫んだ。こちらを見た生徒の一部が、小さく拍手している。
2人はそれに気が付かなかったので、俺は軽く頭を下げておいた。訓練を続けてくれ。
「良い威力だ。よく、ここまで頑張った」
「すごく、時間かかっちゃった…。でも、やっと追いついたよ! フェド君、ロアちゃん、トーナちゃん!」
「まるで自分が後ろで燻ってたみたいな言い方。なんだかんだ、ずっと30位前後だったでしょ」
「炸裂弾は、フェド君に見せてもらってからずっと憧れだったから。順位じゃなくて、この技自体が嬉しいんだ」
「…たとえ、そうだとしても。これなら、上位入りを狙える。頑張れ、ティナ」
ニヤリとした顔のトーナが、こちらを向いて言う。
「照れた顔で言ってもカッコつかないよー! フェ・ド・く・ん?」
「やかましい」
10月試験 入れ替え戦後
21位 ティナ・レイベル
23位 トーナ・パーナ
24位 フェド・アルネス
41位 ロア・アルネス
「今月も、お疲れ様でしたぁ!」
「「「お疲れ様でしたー」」」
屋上で集まるには少し寒くなってきたので、今回は食堂で乾杯をする。授業が休みの日でも空いていて、ジュースを冷やしてくれている。
「ティナ21位! おめでとぉぉ!」
「「おー」」
「お、おー…」
「次の入れ替え戦は、絶対勝てるよ! だから、自信持って!」
「う…ん。あはは、自信はあったんだけどね。みんな、すごかったなぁ」
「完成してすぐで、あそこまで善戦してたんだ。もっと誇って良い」
…でも、それ以上に周りが強くなってる。4月から時間が経ちすぎて、制御が下手だった人たちも追いついてきた。
もし、完成したのが5月だったら。いや、あと1ヶ月でも早かったら。彼女は絶対に上位クラスに戻れていた。
「…フェド君の、おかげだよ。私1人じゃ、ここまで来れなかった」
そうだ、俺は1人じゃなかった。俺である必要性は、まるでないじゃないか。…また、やってしまったな。
「あー。今後なんだけど、トーナ。代わりに教えてくれないか」
「うえっ? 何を?」
「炸裂弾。ティナに」
「そういうの、まずティナに聞くべき」
…どうしてだろうか。その答えが出てくる前に、ティナが口を開く。
「えー…と。…その、トーナちゃん。良いかな?」
「いや良いけども! なんというか、色々と雑だよ君たち! ほとんどフェドだけど!」
「ごめん。どうしても、お前の力が必要なんだ。多分、俺の教え方じゃこれ以上は無理」
「褒められて悪い気はしない! …じゃあ済まないよ! もっとちゃんと色々言って!」
「弟子にあんまり冷たいこと言っちゃダメだよ、フェド」
「弟子って…」
師匠を名乗れるほど、俺はちゃんと教えられたのか?
「…フェドさぁ。流石に怒るよ」
「えっ、急に、トーナ」
「ちょーっとごめんよ、お二人。私はこいつ叱らないといけない。ほら、こっち来い、フェド」
左腕を掴まれて、外へ連行されていく。一体何がどうなってる。
「あ、あの! トーナちゃん! 私、その、別に!」
「ティナ。ここは、送り出してあげて」
「さんきゅー、ロア! …ほら、行くよ!」




