↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魔の世界  作者: 道草ノ跡
プロローグ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/129

006 強襲・再

「あったかい。すごい、お姉ちゃん」


「ふふん。そうでしょうとも」


 ミラという少女は、すっかりロアに懐いたようだ。免許なしで使用できる魔術を、彼女はコンプリートしている。彼女の多芸さと、そのあり方は人を惹きつける魅力と言えるだろう。


「冷えた夜にこそわかるありがたみじゃのう。送風魔術と加熱魔術の合わせ技かの?」


 この子が噂の師匠かと、小さく小さく呟いた。


「おじさま大正解。冷却魔術と合わせて冷たい風も出せるよ。フェド、ちょっと左によけて」


「俺で実証しようとすんな」



 出発は明日の朝。行商人の馬車に乗せてもらい、3人で発つ。

 ミラは水魔法の使い手で、水の国に連れていくほうが安全という判断らしい。


 彼女の魔法を見せてもらったが、純水を生成する性質を持っていた。

 水鉄砲程度の威力しか出せないため、全くもって戦闘向けではない。しかし、それを忘れさせる特徴がある。

 魔素効率が純水魔術と比べてかなり良い。これは、とんでもなくレアな性質だ。

 基本的に、魔法や魔術の成果は使った魔素の量に比例する。それが常識だ。…その例外が、身近に二人もいるとは。

 

 ともかく、ミラはきっと水の国でもよく扱われるだろう。








 窓の外で、強烈な光。地響きのような振動。どがっ、という音と、キーンと耳鳴り。




 建物の残骸か、風か。何かに吹き飛ばされた俺は、いつの間にか地に倒れ伏していた。




 夜空が、立ち上りゆく黒い煙で覆われている。この黒い煙は吸わないほうがいいんだっけな、人体に悪影響と聞いた。

 自分の脇のすぐ隣、割れた木の扉が、鋭利な刃物と同じようになって地面に突き刺さっている。

 今、俺が五体満足なのは幸運以外の何物でもない。


「ロア! …ミラ。じいさん」


 魔族、そうでなくとも何者かの強襲。大声を出すなんて愚策でしかない。


「フェド。お主は二人を国まで、頼んだぞ」


「おい、じいさん。…いや、頼む。じいさん」


 じいさんは返事なく、森の方へと向かっていった。…二人は、見当たらない。瓦礫の下、だろうか。

 まずいな、俺の治療魔術じゃあちょっとした怪我しか治せないぞ。


 

 ブモ、という特徴的な鳴き声が背後から聞こえた。…一体、はぐれものがいたらしい。


 背中に大きなツノの生えた、猪の魔物。頭からの突進が主体なのに、背中に生えるらしい。魔物学は詳しくないが、奴らの戦い方はちゃんと知ってる。



 まず、魔猪と目を合わせながらゆっくりと建物があった場所から出る。誰かを巻き込む戦いはできない。

 

 痺れを切らしたのか、それとも待っていてくれたのか。土の道に出た瞬間の突撃。



 こいつらの攻撃方法は突撃のみ。ただし、寸前で左右に避けてもちゃんとその動きに合わせてくる。


 なので、風魔法込みでの大きな跳躍。地面と平行に、寝転がるような姿勢で下からの風を受けやすくする。


 空中で、炸裂の風を作成。

 地に着く寸前に軽いコーティング。


 完成と同時に地に足がつく。その頃にはすでに、やつはUターンを決めてこちらに突撃していた。


 近距離なので投擲の要領で射出。近距離戦では発射台よりもこっちの方が色々と楽。速度や射程などを体感で知っているのが特に大きい。



 魔猪の通り道、地面で炸裂。自身の体が宙に舞うことを想定していなかっただろうやつは、勢いをそのままに建物だったものをも追い越して飛んでいく。


 村の門番が丹念に育ててたらしい木に衝突。

 打ちどころが悪かったのか、そのまま意識を失ったようだ。



「…結構派手に戦って、それでも増援はなしか。とりあえず、二人見つける。そんで、村の人も…」


「フェ…ド…」


 瓦礫の中から、声が聞こえた。無事だったか。


「ロア。よく起きた。おかげで探す手間が省けた。体は大丈夫か?」


「体、体は大丈夫。ちょっと、クラクラしてて」


 頭を強く打ったのだろう。しばらく安静の方がいいだろうな。ただ、瓦礫からはさっさと出してやらないと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。