058 帰還
「復学ぅー!」
俺の左手と、トーナの右手でハイタッチ。
「まぁまぁかかりましたが、何とか戻って来ましたよ学院生活に!」
「ああ、トーナ。今月は48位ってことになってるからそのつもりで。退院おめでとう、急いでるのでまたな」
横を過ぎ去るついでとばかりに、捲し立てるような言葉。情報圧にクラクラしてたトーナは、徐々に意味を理解して、大声で。
「青春ガールが戻って来たぜぇ、せんせーい!」
「元気があってよろしーい!」
振り向いてそう言ったサテファ先生に、トーナは笑った。
「この空気感! 学院に戻ってこれたって感じがする!」
そう言って、トーナは購買の弁当を広げる。あれ、どうしようと言いたげに首を傾げた。
「…あー! だからフェド、ずっとパン派だったのか!」
「めんどくさいよなぁ、片腕だと色々」
「うぇぇ。…昼はお米食べたいし、今後はおにぎりかなぁ」
「仕方ない。ティナ、あーんしてあげて」
「ええっ! 私!? 良いけど、その…。目を瞑っててトーナちゃん!」
「そんな恋人同士みたいなの、恥ずかしいよぉ…。…ティナちゃんも目を瞑っててね!」
「どうやって食わせるんだよそれで」
「分かった! 頑張る!」
「頑張らなくて良い」
「何を、してたんだろう。私」
「昼休みが消えたな」
「後半はスイカ割りのノリだった」
「結構楽しかったし、美味しかった! 指示役2人がもっと頑張れば、もうちょい早くできるかもね。ということで、次もよろしく! 3人とも!」
「いやだ。素直におにぎり買え。購買で売ってるだろ」
楽しそうに笑うトーナ。徒労感は消えないが、怒りが湧いてくることはなかった。きっと、ロアとティナも同じ気持ちのはずだ。
「そういえば、牛串祭りの結果って聞いたっけ」
「確か、前回優勝チームが二連覇」
「クソつまんねぇ…」




