051 冥土の土産
「そろそろ魔素切れか? 風魔法とはいえ、そんなに吹かせば燃料が持たねぇだろ」
「魔素切れで斬られるか、ケチって斬られるかなら前者を選ぶ」
「そりゃそうだがな。迷いがねぇ」
「…なぁ、あんたの名前聞いても良いか。冥土の土産が欲しくてな」
「引き伸ばしたいなら、もっと上手くやれよ」
「…おっしゃる通り」
「へっ、ラージーだ。…俺は名乗ったぜ」
「俺は、フェド・アルネスだ」
「そうか、フェド・アルネス。せっかくだ、遺言も聞いてやる。内容次第ではしばらく覚えててやっても良い」
「……あー。そう、…だな。うーん…」
やべぇ、特に思いつかない。
…どうしよう、伝言を頼むにしても、名前を知ってることが発動条件の魔法とかあるかもしれないしな…。
「時間切れだ。ここでも引き伸ばしを選ぶとはな。お前は筋金入りだ」
「まてまて、あと20秒。いや30秒!」
「流石に待たん。それを遺言にしてもらう。じゃあな、フェド・アルネス」
見慣れた突撃の構え。しかし、予想とは裏腹にその場にとどまる。
大剣を、俺以外の誰かに向けて振るった。
剣と剣が、火花を散らす。
「よく、持ち堪えました」
「ガレスさん! ほんとうに、良いタイミング!」
「あとは私にお任せを」
「トーナちゃん! 前線の援護に行ってくる!」
「死なないでよ! 絶対!」
…とうとう、前線が崩れて来た。私は遠距離で火力を出せない。だから、治療魔術での応急処置と、前衛を抜けてきた魔猪を倒す役割をこなしていた。
だけど、そうも言ってられなくなった。漏れてくる魔猪に対処して、まだ生きている兵士さんも助けないと。




