040 カラッタ村2
「嘘、魔法が…」
使えなくなった。いつものように構えても、魔素を腕に溜めても、炎は出てこなかった。
一瞬だけ、救われた気分になった。凶器が手から離れてくれたから。
「ああ、そうかい」
村の人は、そう言った。
「役立たずの人殺し」
クラスの人は、そう言った。
「…大丈夫。すぐに、使えるようになるさ」
フェドは、そう言った。
学校には行かなくなった。教科書を見てるだけでも、十分学べる。
フェドは、何も言わなかった。
「やっほ。フェド、炸裂弾だっけ、調子はどう?」
「ロア…。あー、どうにも、あと一歩足りない。弾速が出せない」
「…多分だけど、腕に魔素を溜める感覚にすれば行ける。打ち出すには、ある程度パワーがないと」
「ああ。確かに、その手があった」
炸裂の風、確か彼はそう言っていた。それに、風のコーティング。そして、手のひらからの風魔法をその弾にぶつける。
着弾、音が響く。当たった木の葉が揺れる音。狙いの的からは大きく外れた。でも、ちゃんと飛んだ。
「花? なんで?」
「あー、その、好きだって、言ってたから。
おかげで、炸裂弾のギミックが完成した。だから、ありがとう」
「…はは」
そこからずっと、笑いが止まらない。そんな少女漫画みたいなこと、あるかよ。
「あんまし、笑わないでくれよ。結構、ちゃんと選んだのに」
「いや、いや。そこじゃないよ、あたしがニコの花が好きって、覚えてたんだ」
「覚えてて、悪いかよ」
「全然、だから、面白い」
「このやろう」




