004 ミラ
「良ければ、ミラの話し相手になってくれんかの」
人慣れしていない子。一目見た時にそう確信できた。
「あー、えっと…。その、可愛い髪飾りだね! すっごく、似合ってるよ!」
「お母さんが、くれたの」
「…お母さん、良いセンスしてるね」
「…うん」
…正直、人と話すのは好きじゃない。フェド以外、誰も目を見てくれなかったから。
「お…ねえさんも、綺麗な、髪」
俯き気味の彼女の瞳は、とても綺麗だった。…肩に乗っかってた重たいのがなくなった気がした。
「…ふふん。そういうあなたも、綺麗な髪。ちゃんと手入れしてるのね」
「そ…そう、かな?」
「良ければ、あなたがどう手入れしてるのか教えて欲しいな。あたしの村は…そういうのに疎くて」
「…そうなの? お姉さんの髪、すごく綺麗なのに」
「本で知ったの。櫛で梳かして、植物の油で…って、あなたも同じだったりする?」
「植物の油…! そういうのもあるんだ! 私はその、髪用の石鹸だけで」
「髪用の石鹸! そんな便利なものあるなんて! …っと、この村の特産品だったりするの?」
「えっとね、近所の…あの、ちょっと前国に引っ越しちゃったんだけど、お姉さんが、詳しくて」
言葉が詰まった瞬間が苦手なようで、そのたびに目を逸らされる。でも、悪意によるものじゃないことは分かる。
だから、大丈夫。
「それで、行商人さんが仕入れてきて、おじさまに買ってもらってるの!」
「行商人…! ってことは、国から仕入れてきてるのかなぁ。うーん、楽しみになってきた!」
「国…。あ、あの…その、お姉さん。わ、たしも国に行くことになってて…、その…」
紡ぐ言葉を遮る必要はないと思った。
「…あの、お姉ちゃんって呼んでも良いですか!」
…ちょっと想定外で面食らったけど、それでも断る理由なんか見つからなかった。
「もちろん!」




