033 研究発表会
「あー、今日は試験の最終日。つまり、他に二種目の点数はあらかた出揃ってる。その上で、私が採点だ。分かったな。フェド、トーナ」
それは、とてもわかりやすい合図だった。点数の調整は私の担当だと、暗に示している。
先にお前からやれと、サテファ先生はこちらをチラリと見たので、いつもの的を立てて、距離を取り宣言する。
「フェド・アルネス。炸裂弾の弾道を曲げて、標的に命中させます」
試験官は、小さく笑った。
「…ほう。やってみせろ」
仕組みは簡単だ。コーティングの圧力に差をつける。曲げたい方向へ、一定の力をかけ続けるよう設定する。
俺の支配から外れた後も、単純な風の動きならしばらく残る。なら、飛んでいる間ずっと横から押してやればいい。
速度を速くしすぎると曲がり幅が狭くなるので、発射台は打ち出し方向の制御だけに留めて、風魔法で押し出す。
想定通り、弧を描く動き。弾速自体あまり速くないため、サテファ先生にもちゃんと見えるはず。
的は、ちゃんと粉々になってくれた。支柱を残して。
威力も、申し分ない。炸裂の風を弄る必要は全くなかったから。
「…まぁまぁ、だな。正直、もっとすごいものを期待していたが。
だがまぁ、ギリギリ曲芸と言ってもいいだろう。そして、技としてもちゃんと良い。風は見えづらいから、曲がるのは実用性ある。
…まいったな、これじゃまるで研究発表会だ。曲芸の趣旨とズレる。
まぁ、"効率"よりははるかにマシだが」
「ともかく、十分だ。学長に礼を言っとけよ、フェド」
こほん、と一つ咳払い。
順番が後ろだったのは、持ってるとしか言いようがないね。
「そんなにアピールせんでも、ちゃんと楽しみにしていたさ。トーナ、君は何を見せる」
「曲がる炸裂弾を、的に命中させます!」
「…おいおい、それはないだろう」
ちっちっち。甘いなぁ。フェドのそれとは、ギミックが違う。
実践して見せた方が早い。立てといた的の、ほんの少し左隣を狙う感覚で。炸裂の風と発射台の出力は、いつも通り。
だけど、打ち出しとコーティングに細工をする。
それは、ほぼまっすぐ飛んだ。
ここだろう。指をパチンと鳴らす。それと同時に、ググッと、弾が右へ食い込むように曲がった。
練習通り、想定通りの動き。
それは、ど真ん中より少し右に着弾した。
「鋭い、変化弾か。フェドのそれとは、性質が違って見える」
「お望みとあらば、ゆるい変化でもいけますよ!」
「…フェドのギミックは、あらかた分かった。圧力だな。コーティングの圧力に偏りをつくり、弾が曲がるように設定した。
しかし、お前のはどうやった。まるで分からんぞ」
「囲い…。えと、コーティングに空気の引っ掛かりみたいなのを作りました! そんで、打ち出しの時、弾に強めの回転を加えた。みたいな感じです!」
「それで、曲がるのか。…いや、確かに曲がるかもしれない。しかし、じゃああの指パッチンは一体?」
「演出です!」




