031 炸裂弾2
「さて、危険性については概ね伝えられたはずだ。じゃあここからは、実際にどう作ればいいのか、だ。
炎とは勝手が違うし、そもそも魔法は個人差が大きい、だからこれからの話を鵜呑みにしないこと、それを約束してくれ。
だが、それでも間違いなく役には立つはずだ。つい最近、ある生徒の知見で、俺自身の炸裂弾にも新たに改良が加えられた。
独学でやるよりは、間違いなく色々と楽なはずだ」
しんと、聞く姿勢。つかみはバッチリというやつだろう。
「必要なのは、まず炸裂のもと。ギミック的にいうなら、魔法の圧縮物だな。これは刺激によって起爆する。単体だと射出時の衝撃のみで爆発してしまい、大変危険だ。
次に必要なのが、それの囲い。コーティングだ。とりあえず、完璧な球形が第一目標。
炎の場合、割とちゃんとやらないと、空気の流れが刺激になって、炸裂のもとの部分が起爆してしまう。
必須ではないがいずれ必要になるだろう、発射台。方向制御の役割も一応兼ねてるが、飛ばすのが一番の目的だ。鉄砲の筒と火薬の役割。
発射台を使わない場合、おそらく必須になるのは打ち付ける魔法だ。特にギミックはない。
炎の場合は、多分コーティングに炎魔法を打ち付けて、それで飛ばすイメージ」
「ここからは改良点。実戦を想定した場合と違って、さっきの説明では敢えて制作順を入れ替えていた。
理想的な順番は、コーティング、発射台、炸裂のもとだ。炸裂のもとが魔法や何かしらの武器投擲などで攻撃されると、体の近くで被爆して大変危険だ。だから、最後。コーティングと発射台は入れ替えてもいい。
コーティングの中に炸裂のもとを生成する感覚はほんの少し慣れが必要だが、まぁ問題はない程度だ。
もう一つは、コーティングの別の役割だ。飛ばす時の出力を加算させる。例えば風の場合は、後ろ側の圧を上げて、前に押し出す力を加える、とかだ。
すまんが炎でどうやるかは知らん。あと、要訓練だ。慣れないと真っ直ぐ飛ばせない」
「あらかた師匠に言われちまったな…。…いや! そうだ! あれがある!
俺の囲い…コーティングの部分な。弾頭に小さいとんがり帽子をつけてる。なんか真っ直ぐ飛びやすい気がするし、多分おすすめだ!
あと、発射手段。俺は炎魔法に加えて、魔素を直接ぶつけてる。燃費は悪いが、おかげでちゃんと飛ぶようになった!」
「フェド。良い講義だった。学長も呼んどけば良かったな、お前の就職先は決まったも同然だった」
「少なくともこの学校は忙しそうですし、勘弁です。やるならもっと落ち着いた学校が良い」
「概ね同意する。これはこれで楽しいがな。
あと、あいつを選んだお前はなかなか筋が良い。もっとも、トーナ・パーナを推薦すると思ってたがな」
「危険性の話は、風じゃあダメでしたから」
「そっちじゃない。そもそも、お前はこの講師を受けないと思っていた。私的には適任だと思ってたし、ダメ元で頼むのも悪くはないと考えていたから、とりあえず頼んだがな」
言われて、確かにそうだと思ってしまった。
炸裂弾の存在を知っていたとはいえ、ほぼ自力で生み出し、俺の気づけなかった改良点を見つけて、俺に教えてくれたのはトーナだ。
…多分、俺とトーナの立場が逆だったなら、炸裂弾を開発したのは彼女だったろうし、俺はこの学院に入れなかった。
「…結構、しょーもない理由でした」
「意外と大事だと思うぞ。そういうのは」




