027 自己紹介1
「改めて、自己紹介をしよう!」
「6月の中旬だぞ、ロアとティナの初顔合わせからも1ヶ月は経ってる」
「自己紹介ってのは、自分をどう扱って欲しいのかを軽く説明できる場でもある。ちゃんとやった事はないし、良いと思う」
「自己…紹介…」
「…まぁ、やっとこうか。うん」
「じゃあ、こういうのは言い出しっぺの私が!」
「トーナは最後だ、最初…いや、目立つやつが…そう、軸になる、お前のテンションに合わせるのはムズイ」
「あぁぁ! フェドが酷いこと言う! ロア! 身内にガツンと言ってあげて!」
「トーナ、最後の時に備えておきなさい」
「ひど! ティナァァ…、最後の希望、優しく慰めてぇ…」
「最初…目立つ…自己紹介…」
「あー、あー、とりあえず、俺から行くぞ。
5月終わりの試験で41位だった、フェド・アルネスだ。風魔法使い。言ったか忘れたが、アルネス家の養子だ。…他に言うことあるかな」
「はいはい! 多分、フェドってこの国の人じゃないよね、水属性じゃないし」
「すごい雑」
「多分、合ってはいるが…。正直、俺も自分の出自を知らん。村育ち、国に来たのは最近。まぁ、そこらの話はおいおいとして…。そうだ、魔法は結構好きだ。…こんなもんか、今後もよろしく頼む」
「わーぱちぱちー」
「ティナ、行ける?」
「あばばば…」
「じゃあ、あたしね。
ロア・アルネス。50位。初級までの魔術なら誰よりも詳しいと思ってる」
「そうじゃなかったら困る」
「同意見」
「… 後回しにすべき話が多くて、何を言って良いかわからない」
「じゃあ! 質問!」
ちらりと、トーナの方を見る。許可の合図だと解釈した彼女は、一つ投げかける。
「フェドとはいつ知り合ったの?」
「あっ、確かに気になる…かも」
さっきからぶつぶつ言っていた、ティナが現実に戻ってきた。ロアが、どうすべきかとこちらを見ていたので、一言。
「制限はしない、言えるだけ言って良い」
「8歳の誕生日、公式に魔法適性を調べても良いとされる日に、ここからちょっと離れた、カラッタ村の教会に…預けられた。
そこに、フェドがいた。だから、最初に会ったのはその時」
「そっか、ロアも炎魔法だったから」
「…横のつながりが広い家でね、炎の子は、都合が悪かったみたい」
少し、考える様子を見せる。なんらかの答えを見つけたのか、ロアは続けた。
「フェドと話すようになったのは、9歳の頃。当時は、無口でつまらないやつと思ってたから、お互いほとんど話す事はなかったんだけど。
あたしの炎魔法を見て、そんな魔法を使えるようになりたいって言った。だから、気に入った」
「すごぉ…。カッコいい…」
「当時からすごいやつだったのは、確かだ」
「え、あぁそっち? 9歳でしょ? ああ、いや、うん。…私の自己紹介に使うかぁ」
「あ、自己紹介」
「ティナの番。私のはもう十分でしょ」
「わ、私は…。ふぅ…。私は、ティナ・レイベル…です。炎使いで、37位。
…すごいってよく言われてる、魔法使いのお母さんみたいになりたくて、魔法を始めました」
「…ああ! フォン・レイベル! 水魔法で、すごい人!」
「そう、すごい人で…。うん、まだ頑張りたいって思えてるから。だから、その、頑張ります!」
「おーパチパチー。ロアの分もー」
「…ああ! ごめんなさい! 私、ちょっと急ぎすぎて…」
「…? …ああ、これはむしろ、私の繋げ方が悪かった。気にしないで」
一呼吸。全員が、トーナの方へ向く。
「…あちゃー。…あー、ちょっと変な空気になる話があるけど、勘弁ね。
44位! トーナ・パーナ! 風使い! 最初に魔法を使ったのは4歳! その時は、神童って言われてた!」
「…よん、さい」
「随分と、早い」
「…ですね」
「育てのお父さんが、行商人でね。街や村以外だったら、魔法は割と自由に使えるから。なんか、気合い入れたら出せた。
だから、…あー、育ての父さんイコールお父さんね、今後は。
まぁ、別に良いかぁって、村や国、街の近くで使わないことをルールにして、お父さんは自由にさせてくれたんだ」
多分、俺たち3人とも、同じ疑問を抱いている。口にして良いか、あんまり分からないが。
「あー、言い忘れてた。私の家名は、実のお父さんお母さんの方。
ただ、2人とも、開拓者ってやつでね、海だったり、山だったり、川だったり。その近くに大きな村を作れるかの調査で、基本国の外にいるんだ」
ごほんと、一つ咳をする。はーっと、一つため息をつく。
「私の話。…というか、私のお父さんの話に戻るね、育ての方の。
国の近くは、そうでもないんだけど。そこから離れると、魔物もちらほらいるんだよ。だから、目的地によっては、傭兵を連れて行くんだ。
まぁ、そういう時は、お留守番してろって言われるんだ。実際、危ない目に遭わせたくないってのは理解できたし、数日のお留守番ぐらいなら、それはそれで楽しんでた。
どのみちバレずに魔法使えたし、教会に行って、同い年の子と遊んだりもできたし」
「だけど、その時は違った。
名前は忘れたけど、ちょっと遠めの村に行く時。お父さんは、魔法使いの傭兵を雇ったって、言ったんだ。
魔法で戦う傭兵さん。そんなの、見たいに決まってるじゃん。だから、お父さんに頼み込んだんだ。連れて行ってって。
そのとき、傭兵さんが近くにいて、良いじゃんって言ってくれて、なんとか、ついて行けることになった」
「その魔法使いが、フォン・レイベルさんだった」




