024 中位入り
「あー、ヘロツ先生の代わりに、今回の臨時授業を担当するサテファだ、よろしく。いつもは上位クラスの面倒を見ている。
今更だが、教師間にランキング制度みたいなのは導入されていないので、そこらへん勘違いしないように。あくまで、今回の件に関しては私の方が向いているという学長の判断だ」
「さて、ようやく先日の中位と下位の入れ替え戦で起こったことが私にも理解できたので、教師としてちゃんと伝えなければということだ」
名称に多少の違いはあれど、仕組み自体は俺の予想と一致していた。
ただ、その異常を完全に理解できていない奴もいる。魔術に詳しくなければ、この話を聞いても何も思わないだろう。
「そもそも、魔術とは何か。一言で言えば、魔法の代用品だ。魔法との違いは、身体機能であるかどうかだ。
魔法が手足だとするなら、魔術はパズルだとよく言われる。何かを操作して、組み上げるような感じな。
魔術は、マジで偉い人によって作られたものだ。だから、多少バカでも、多少不器用でもある程度安全に使えるように、結構制限をかけてる。
魔術書を見比べれば分かるが、いくつか共通のルールがある。
そのうちの一つが、魔術は完成してからでないと、その処遇を決められない。
処遇、ピッタリな言葉だ、説明が本当に楽になる。
効果は暴発の抑止だ。多分な。
最初に魔術書を作ったやつは、理由を説明せずに墓に行ってしまったから、後追いはそれに倣うことにしたらしい」
手を挙げた生徒。どうしても引っかかることがあったようで、立ち上がって一つ聞いた。
「ルールを守らなかったことってそんなにやばいんですか?」
「あー、質問としてはあまりに程度が低いが、説明には結構影響するな。トータルではややプラスだ。ご苦労、座って良い」
「魔術におけるルールは、パズルのルールとほぼ同じだ。本来、そういうものだ、の一言で済まされる。
説明する側としては、パズルで例えられないのは実に難儀したよ。
ただ、ある意味それが、ヤバいことの証明になるのかもな。
完成していなくても、完成扱いになる場合があるらしい。
そもそもこれは絶対的なルールじゃない。安全機能として組み込まれた制限が、魔術そのものと密接に関わりすぎて、ルールみたいになっているだけだ。
そいつは、どう組めば完成扱いにできるのか、その感覚を持っていた。二週間かけて、実際に誤認させられる形を作った。今回の土魔術に限って、だがな」
「…この説明でも分からんなら、魔術を一つ覚えることを薦める。
正直、無茶苦茶すぎて、私としてもどう受け止めて良いか分からん」
「50位! 中位入り! おめでとぉぉ!」
「おめでとー」
「おー」
「おー」
トーナが拳を突き上げたので、それに全員倣う。教室、休み時間での一幕だ。注目の視線が少し痛い。
「臨時授業のあと改めて審議した結果、49位から50位になっちゃったけど、ともかくおめでとぉぉ!」
「「「おー」」」
二度目、皆もそれに合わせる。
「そういやなんで順位変わったの?」
さっきまで賑やかだったトーナが、神妙な面持ちで、唐突にロアにそう聞いた。
「寒さに関しては、環境の利用扱いだった。だから、減点くらった」
「あー…。言われてみれば」
「おめでとぉぉ!」
「「「おー…」」」
喉大丈夫だろうか。




