020 ランキング
「ねーねー! ランキング表見た?」
「非公式の、悪趣味なやつのことなら見たことない」
「うぐ。…そう言われると、なんかちょっと罪悪感。私、良くない界隈の盛り上がりに加担しちゃってたのかも」
…うぐぐ。と、うめくトーナ。彼女が言っているのは、下位順自己紹介を丁寧にメモった有志の人を軸に作られたランキングのことだろう。
順位、属性、名前が上から下にずらっと並んでいるらしい。
「それはそれとして、話のタネとしては優秀すぎるんだよね。ランキング。
…って、本題はそこじゃなくてね。
2位って風使いらしいんよ。私と同じ」
「知ってた。私の身内だし」
「身内…? あっ、家名! アルネス! おんなじじゃん!」
わざわざ、100位と2位を比べて顔ごと目線を上下上下。
「マジかぁ。ちょっと会ってみたいなそいつ。…いや、そうでもなくてさぁ」
「属性が風だから、しゃーないかって諦めてたの?」
「もはやエスパーじゃん…。こわぁ…」
沈黙。少し俯いた彼女がかなり珍しかったので、そのままにしておくことにした。
「…ねぇ。ぶっちゃけ何が違うの? その人と、私」
「…全部?」
「うぐ、確かに上から2番目と下から2番目じゃ、被ってる所がある方が不思議か…」
「そうやって、苦しさをちゃんと表に出せるのは、貴女の長所だと思う」
「…褒められてる? これ」
「珍しく、ちゃんと褒めたつもり」
「なら、良し」
1秒、2秒と時が流れる。唐突に、笑顔が困惑に変わり出した。
「いや良かねーよ」
意外と似てるところもあるらしい。
ティナの訓練に付き合って、2週間が過ぎた。
…状況は、あまり良くない。どうにもコーティングが安定せず、弾の軌道が逸れてしまう欠点がある。
今はとりあえず、丁寧に球形を作る特訓。…もしかして、炎だと難しいのか、完全な球形は。
「やっぱり、フェド君のようにはいかないなぁ」
「これに関しては、年季が違うからなぁ。近くにお手本がいたのも大きかった」
「私にも、フェド君がいるよ?」
「…言葉のあやだ。そいつは俺にとって、お手本であり、ライバルであり、目標だったんだ。そう簡単に、代わりになれてたまるか」
「でも、絶対に、良いお手本だよ」
このまま切り上げるという話だったが、彼女はすぐに訓練を再開した。…まぁ、やる気がある時にやるのが一番だよな。こういうのは。
…問題は、月一の試験だ。4月の終わり、つまりあと1週間後が試験当日。
威力、遠距離射撃、早撃ち、効率、曲芸。このうち三つを選び、試験に臨む。
効率は威力と同じ条件で、的に当てることを何回繰り返せるかの試験。ただし、板にひび割れ以上のダメージが必須条件。風魔法とは相性が悪い。
曲芸。威力と同じ青天井枠で、今の俺にとっては攻略の糸口になる。
「お前の魔法が、曲芸として扱われるかどうかだと? …ナンセンスな質問だな、フェド。試験の点に直接関わることを、教師に聞くとは」
「それは…そうですね。すみません、甘い考えでした」
「扱われない。工夫の範疇だ。…悪いな、文句は学長に言ってくれ。お前の魔法についてじゃないぞ?
私としては、皆で全部の項目を受けさせて、そこから優秀なのを上から三つ。そうした方が、こういう問題は出ないと思うんだがな」
「時間と、人手不足ですか」
「そうだ」
ありがとうございましたと、頭を下げて場を離れようとしたが、呼び止められた。
「こっちからも一つ質問だ。
お前、次の試験で、自分は何位になると思ってる?」
「15位、ぐらいですかね」
「私もそれぐらいだと思う。いやぁ、君とは実に気が合う」
「学長は19位予想だ。
精度は私より高いぞ」




