002 作戦会議
「やっほ。フェド」
「ロア…。あー、この村の希望の星だよ、あんたは。すごいすごい」
「そういうのはもっと心を込めて言いなさい。もっとも、褒め言葉はもう聞き飽きちゃったし必要ないけど」
ふふんと胸を張る彼女を無視して、自主訓練に戻る。
「でもぉ、どうしてもっていうなら聞いてあげても良いけどねぇ?
魔法の天才、ロアを崇める言葉を!」
脳天チョップしたいほど鬱陶しいが、それを表に出したらそれこそ負けな気がする。
だが、それ以上に、自分の感情に嘘はつきたくない。たとえ笑われたとしても。
「…今日の、あれさ。…すごい魔法だった。俺も、あんな魔法が使えるようになりたいって思った。だから、頑張る」
帰ってきたのは、その日一番の笑顔だった。
「起きた?」
目が覚めて、ぼーっと現状整理をしていたら、焚き火越しに聞き慣れた声。
洞穴。…どうやら、あの後寝てしまったようだ。
「お、う…。やべ、寝過ぎたか」
「3時間ぐらいかな。もう日は昇ってる」
昨日の夜、村から1時間の移動で一度も魔物に出会わなかった。
東の森に集まっている。監視役の言葉どおり、村の周囲の魔物たちが徒党を組んで動いていたということだろう。
「なら、早く動こう。少しでも魔物とのエンカウントを減らしたい」
「それは賛成だけど、どこに行くの?」
村は崩壊してるだろうし、主犯がいる可能性もある。近所に他の村もあるけど、そこが襲われてない保証はない。それに、同じぐらいの距離に、国がある。
「とりあえず、最終目的地はセレアだ」
ロアの生まれ故郷で、両親が住んでいるところ。水の国。
「…あー。いや、うん。確かに、そこしかないか」
「よし、それなら早く行こう」
「まず、腹ごしらえからでしょ。フェド」
ずいっと、火の通った木の実やきのこが目の前に差し出される。いつのまに真横に来たんだこいつ。
「あと、飲み水が欲しかったら言って。純水魔術使うから」
「…ああ、なるほど、助かる。その分、戦闘は任せて」
「…うん。任せた」
「そういえばコップなくない? お皿はデカ目の葉っぱで代用してるけど、これじゃ水入れられない」
「…おっ、喉乾いたのかぁ。じゃあ口を大きく開けて、軽く上を向く」
とりあえず従う。…なんか間抜けな自分が想像ついて、ちょっぴり微妙な気分。
そんなことを考えていると、口に人差し指を突っ込まれる。指先から数センチ伸ばした座標から、割と良い勢いで水が喉奥へ射出。
わざと高威力で出しやがった。
「ごっほ…おえ。…このシリアスな時に!」
「ごめんごめん! いやー良いリアクションするよね、フェドって!」




