127 口減らし
「お前、素直すぎやしないか? 他のお仲間は、もう少し躊躇してたぞ」
兵士は、拘束された魔族に向かってそう質問した。
「知るか。俺は俺だ、言いたかったから、全部言ってやった。疑うな殺すぞ」
「別に、フラストレーションを溜めたかったわけではない。…純粋な一枚岩ではないって、ことか?」
「少なくとも、魔王側の連中は俺たちの口減らしを企んでいた。最低限の魔素結晶を持たせて、ここへ攻め込むように指示するって形でな。
ご丁寧に、翌日以内に出発しなければ、他の魔族がその結晶を奪いに来ると脅しも加えて」
「…やらなくちゃダメな環境だった、ってことか?」
「そんな安っぽい言葉で片付けるな。
俺たちみたいな弱い魔法持ちや、魔法無しの居場所を、あいつらが奪った。
俺たちにとって食料でもあった、魔素を管理するって形でな。
少しずつ足りなくなっていく魔素と共に、俺たち魔族はいずれ滅びる運命ではあった。
だが、俺はそれでよかった。俺は天寿を全うできただろうから、それで十分だったからな」
「クズの理屈だな。お前と話してると本当に安心するよ」
「安心させてやってるんだ。
お前らだって、内に黒いものを秘めているだろうが。それを隠すことに、意味を感じていないだけだ」
「ねぇ、嫌な想像なんだけどさ」
「どうした? ロア」
「時間が経つほど、魔族の軍は完成していくなら。あたしたち人間は、攻める側になるってことだよね」
「そうだろうな」
「でも、どの村も滅びていた。少なくとも、確認できる範囲では」
「…そう、だな」
「つまり、誰かが前線に。魔族の大陸に近い海岸に、拠点を作るってことになるよね」
「…」
「今、少しずつ食糧難になってきてる」
「…口減らしには、十分だな」




