120 生物
爆発音は、かなり大きかった。6秒の爆発かな。
風魔法の訓練でいっぱいいっぱいに見えてたけど、ちゃんと頑張ってたんだ。
フェドは兵たちの方へ、壊された土壁の方へ走り出す。風魔法を背に受けた全力疾走。さっすがだね、…あたしもついていかないと。
「…フェド!」
音と、土煙が消えていく。爆発をモロに喰らった魔族は、まだ立っていた。丈夫すぎだろ!
「なんだ、いまの」
そんな呟きをした魔族に、フェドは飛びかかる。無防備なそいつの側頭部へ、レイピアを突き刺す。
刺したレイピアをそのままに、走り抜けるように距離を取る。あたしたちは、魔族をじっと睨みつける。
魔族は刺さったレイピアを引き抜きたいのか、片腕を側頭部に近づける。
しかし、空振り。怒っているようにも、悲しんでいるようにも聞こえるうめき声。諦めきれないのか、両手で引き抜きにいく。途中で、全身の力が抜けて地に倒れた。
「2人とも! 無事で、ほんとうに何よりだ!」
魔族2匹をぐるぐるに縛りつけた兵士3人が、笑顔で出迎える。
「すみません、でかい魔族、生け取りにできませんでした」
「いいさ、いいさ! あいつを捕らえておくのは大変そうだし、雑魚2匹はこっちでちゃんと捕まえた」
「雑魚とはなんだ!」
「…こわい」
「なぁ、口も縛っとこうぜ。なんか腹立つし力が抜ける。こいつらの言葉」
「戦争相手には、クズであってほしいよな…」
フェドは大きく息を吐いた。その分を取り戻すため、息を吸った。
そして、呟くように質問をした。
「すみません、魔族に一つだけ聞きたいことがあって。いいですか?」
「ああ、構わんさ! …もちろん、答えてくれるかはこいつら次第だが」
「なんだよ! 俺たちに会話が必要か?!」
怒りっぽいやつが、フェドに対してそう叫ぶ。
「あんたのお仲間は、俺が殺した。…どう、思った」
「…その、ぼくたちだって、いっぱい殺しました。おあいこ、だと思います」
オドオドとした方が、そう答えた。
「…ケッ!」
怒りっぽいやつは、そう言って地面を睨みつけた。




