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人魔の世界  作者: 道草ノ跡
スーベル魔法学院編

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114/132

112 動く世界

「本日14時から、南平原で魔物の討伐をしていた学生が消息を断ちました!

 現在、望遠魔術でその学生を捜索中です!」


「まだ日が出ている。ただの遭難や事故なら、望遠魔術で見つかるはずだ。ひとまず、魔族の犯行と仮定する。国から逃げた罪人の犯行も考えられるがな。

 討伐依頼は打ち切りだ。明朝までに学院側へ伝わるようにしろ。受付も停止だ。間違っても、犠牲者を増やすなよ」


 頭を深く下げて、その兵士は部屋から出て行った。







「…ねぇ、あたし達付き合ってるよね」


「ああ、もちろんだ」


 2人での帰り道。唐突に投げかけられたそれに、なんとなく答えた。

 …いや、何か伝えたいことをぼかしたんだ。なら、真意を探らないと。


 答えを見つける前に、彼女はため息をついた。

 

「いや、ごめん。ちゃんと言う。ただ、恥ずかしいのでちょっと待て」


「お、おう」


 夕暮れ、日に照らされた彼女の顔はほんの少し赤く見えた。そう思った瞬間、顔を隠すように、こちらに手のひらを伸ばしてくる。

 …久々というか、あんまり見たことないな、こういうロア。


「あんまり、見ないで」


「…かわ、いいな」


「うっさい。そっちがもっと男らしく…いや、フェドにそういうの期待しすぎるのも、良くなかったな」


「悪態をつくか恥ずかしがるか、どっちかにしてくれ。色々と過剰摂取だ」


「うっさい」


 男らしく、か。男子寮と女子寮の分かれ道はすぐそこだ。

 今は人通りもない。


「えっと、その…。キスってしていいか?」


「聞き方! ロマンなさすぎでしょ! フェド!」


 …やはり、笑われるのは気分が良くない。


「…全く。ほんと、変わらないなぁ。知ってたけど」


「変わったところも、好きだよ、ロア」


「はいはい、あたしもだよ。…その、良いよ」


「…じゃあ、その、遠慮なく?」


「なんで疑問系」


 息を呑んで、覚悟を決めようとした。その時、ロアが何かに気づいたように目を見開いた。


「…やっぱり今日はなし! ちょっとあの2人ボコボコに…いや、焼き入れてくる!」


「物騒すぎる。…えっ、見られてたのか?!」


 ロアが走り出した先、見慣れた顔が二つ、一瞬だけ見えた。

 1人は、背中を向けて全力疾走。もう1人は、遅れてその後を追う。


 トーナは、逃げ切れたらしい。




 翌日、トーナはロアに向かって「風魔法って良いね」と笑顔で言った。

 その直後、教室から引っ張り出されていたので、どうなったかは知らない。

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