104 悪趣味な
あの女、かなり綺麗な顔立ちをしていた。表情もコロコロ変わって、愛らしさがある。…高嶺の花のようで、どこか隙があるような、美少女。
…フェドだって、惚れる可能性は全然ある。
「いや、ないだろう」
あるって、ことにする。
あいつは、あたしの友達で、理解者で、弟子で、騎士で、大切な人なんだ。そんな簡単に心変わりなんてするもんか。
「くっそ、黙っとけよ、けっこう焦ってるくせに」
パラパラと漫画を開く。…あった、恋敵がめちゃくちゃ暴走するタイプの作品。こういうの、昔は嫌いだったな。フェドが離れていく想像につながって、すごく怖かった。
…うん、今なら、ちゃんと怖い。ただ、3冊じゃ足りない。
買い足したいが、悪趣味ということで、子供には売らない店が増えた。だから、あたしじゃ手に入れられなくなった。
ティナなら、持ってるんじゃないか?
「え、ロアちゃん。ど、どうし…え、泣い、…え?!」
「説明は後、なんというか、恋愛面で悪趣味な作品、棚にない?」
「わ、分かった! とにかく入って! お母さん今日いないから、その、心配しないで!」
「悪趣味、悪趣味かぁ…。これとかどう?!」
「もう試した」
「試し、…ええっと、これは?!」
「それ、貸して。ここで読む。あと、もうちょっと欲しい」
「うっ、うん。…そ、その、残りは静かに探しとくね」
「ありがとう、本当に」




