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人魔の世界  作者: 道草ノ跡
スーベル魔法学院編

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103/132

101.5 焦がれた男

「ダメだったかぁ」


 くじ引きでハズレを引いた時のような声が口から出てきた。

 一世一代の大勝負のつもりではあったが、意外とそういうものなのかもしれない。

 


「なんて、嘘はよくないよな」


 そういえば、告白というのは一種の儀式であって、成功するか分からない状態で挑むのは良くないと聞いたな。

 相手にとって、それは嫌がらせのように感じたりするらしい。 

 

 俺がしたのは、嫌がらせだったのだろうか。驕りがあったのだろうか。



 人通りは少ないが、一応視界は通る場所。グレた連中に絡まれたくないが、かといって1人で部屋にいるのはきつい気がした。

 カレーまんの辛さが、涙を誘う。



「いつの間にか、騎士のつもりにでもなってたのか」


 騎士は、俺にとってからかいの言葉だ。ずっとそうやって冷やかされてきたし、自分が騎士と呼ばれるようなことを成し遂げた記憶は一切ない。

 …いや、国に魔族が攻めてきた時は、ちょっと騎士っぽかったか? 


 ただ、それとは関係なく。村で得たその称号を、いつの間にか楽しんでたのではないか?


 …否定できないのが、辛いな。

 でも、俺は、いつもちゃんと助けようとしてたんだ。あいつのためになりたかったし、あいつに笑ってほしかった。



 ずっと、何もできなかったくせに。



 いや、ちょっと待てよ、恋愛とそれは結びつけちゃダメだ。俺は、そういうのとは関係なく、あいつを助けたかった。


 憧れの人で、かっこよくて、誰よりも才能があるのに努力家で。何より、笑った顔が脳に焼き付いてて。

 そりゃあ腹立つところも結構あるし、鬱陶しいところもあった。けど、それ以上に、その…、かわいくて。



 …恋愛かぁ。


 

「…しんどい、なぁ」




 ちゃんと向き合って、それで思いを伝えたはずだった。

 けど、断られて少しだけ安心した。


 今、ちゃんと辛い。

 何かの感情と勘違いしたわけじゃなくて、俺はちゃんとあいつが好きだった。それが正しかったのは、良かったと思う。

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