101.5 焦がれた男
「ダメだったかぁ」
くじ引きでハズレを引いた時のような声が口から出てきた。
一世一代の大勝負のつもりではあったが、意外とそういうものなのかもしれない。
「なんて、嘘はよくないよな」
そういえば、告白というのは一種の儀式であって、成功するか分からない状態で挑むのは良くないと聞いたな。
相手にとって、それは嫌がらせのように感じたりするらしい。
俺がしたのは、嫌がらせだったのだろうか。驕りがあったのだろうか。
人通りは少ないが、一応視界は通る場所。グレた連中に絡まれたくないが、かといって1人で部屋にいるのはきつい気がした。
カレーまんの辛さが、涙を誘う。
「いつの間にか、騎士のつもりにでもなってたのか」
騎士は、俺にとってからかいの言葉だ。ずっとそうやって冷やかされてきたし、自分が騎士と呼ばれるようなことを成し遂げた記憶は一切ない。
…いや、国に魔族が攻めてきた時は、ちょっと騎士っぽかったか?
ただ、それとは関係なく。村で得たその称号を、いつの間にか楽しんでたのではないか?
…否定できないのが、辛いな。
でも、俺は、いつもちゃんと助けようとしてたんだ。あいつのためになりたかったし、あいつに笑ってほしかった。
ずっと、何もできなかったくせに。
いや、ちょっと待てよ、恋愛とそれは結びつけちゃダメだ。俺は、そういうのとは関係なく、あいつを助けたかった。
憧れの人で、かっこよくて、誰よりも才能があるのに努力家で。何より、笑った顔が脳に焼き付いてて。
そりゃあ腹立つところも結構あるし、鬱陶しいところもあった。けど、それ以上に、その…、かわいくて。
…恋愛かぁ。
「…しんどい、なぁ」
ちゃんと向き合って、それで思いを伝えたはずだった。
けど、断られて少しだけ安心した。
今、ちゃんと辛い。
何かの感情と勘違いしたわけじゃなくて、俺はちゃんとあいつが好きだった。それが正しかったのは、良かったと思う。




