101 幼馴染と焦がす恋。
「ごめん。俺、好きな人がいる。…と、思う」
「…そう、でしたか。迷って、いらっしゃるんですの?」
「いや、色々考えた。考えるきっかけがあったから。
好きなのは、本当なはずだ。…だから、少なくとも、その誘いは受けられない」
「それなら、仕方ありませんわね。…後悔しない恋を、過ごしてください。友達として、応援します」
「…ああ、ありがとう」
迷っているのは、この想いをどうするか。だと思う。
…身を焦がす恋にして、良いのか? 果たして、俺はそれを受け入れられるのか?
彼女にとっては、俺以外でも良いのではないか。
「…いや、それは、俺が無理だな。納得できない」
ズキリと痛んだ心臓を左手で叩く。それでも、ちゃんと考える時間は欲しい。
「…もしかして、待たせた?」
「いや、俺が早くきただけだ。気にするな」
あれから、二週間経った。
「ロア。…その。…ずっと前から、好きでした」
「そう」
「付き合って、ください」
「今のあたしに、伝えるべき言葉じゃないと思うけど」
「…正直、そこは最後まで悩んだ。感情を失った今のロアに、告白するのは迷惑じゃないかって」
「じゃあ、どうして?」
「今のロアが好きだから」
「あなたが好きなのは、村の少女のロアでしょ。あたしとあいつを混ぜて考えてる」
「ああ、あの日のロアも、好きだった」
「じゃあ、せめてあたしが感情を取り戻すまで待つべき」
…確かに、そうなのかも知れない。
だが、もう散々悩んできた。自分なりに、向き合ってきた。
だから、答えは準備してきてる。
「もし別人として考えるなら、両方好きになると思う。でも、あの日のロアはもういない。あいつは、もう、過去なんだ。
だから、過去も今も一緒に過ごした、今のロアが好きだ」
「両方好きって、浮気者の発想じゃない?」
「本当に二人いたなら、そうかもしれない。だが、二重人格ってわけでもないんだろ?」
「お互いの感情が一致していない以上、関係は続かない。だから、その告白は受けられない」
用意していた言葉を読み上げるように、淀みなくそう言った。




