099 恋愛
「漫画の感想、聞いていい?」
「ああ、良い。…ただ、完結してない作品を語るって難しいな」
「そう。…主人公について、どう思った?」
「そうだな…。恋ってより、ヒロインへの憧れをとても強く感じた。
だけど、3巻終わりが「どうやら俺は、どうしようもない恋をしてしまっていたらしい」だったから、今後がとても気になるな」
「それは、憧れの行方? それとも、恋の行方?」
「…どっち、だろ。うーん…。どっちも、だな」
「そう、よく分かった」
「おお、これで良いのか。…じゃあ、次。ロアの番。主人公の感想」
「…綺麗な目だと思った。ヒロインは大きなコマで、カッコよく描かれてるシーンが多い。だから、それを見ている人間として、主人公の目も意識して描写してそう」
「なるほど、そう言う見方もあるのか」
「手が込んでる作品は、一種の芸術の域にいる。そもそも、この作家さん、前作から絵や構図が上手いと言われてた」
「ほえー」
「分かっていますわね! そのお方!」
「漫画って奥が深いんだなぁ」
「ええ! そうなんです!」
いつの間にか、討伐終わりに少し寄り道をするのが当たり前になっていた。
「私、この主人公が好きなんですの! 人の凄さをきちんと正面から見れる人って、ものすごく尊敬できます!」
「…確かに、すごいことだ」
人と話すたびに、新たな発見がある。娯楽って、こういう楽しみ方もあるのか。
カレーまんを頬張るアレツさんを、なんとなく眺めた。
「…あの、そんなにじっくり見られると、照れちゃいますわ」
「…ああ、悪い。美味そうに食べるなぁって、思ったから」
「もう、フェドさんの肉まん、冷めちゃいますわよ」
…恋愛、か。




