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おっぱいに宿りし魔王と騎士  作者: 焼肉一番


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8/13

ごめんなさい

「晃芽先輩、出会いがしらに告白とかどうかと思いますよ。しかもどこ見て告白してるんですか。せめて目を見てして下さいよ目を見て」


「……ん? その声はろみか?」


「目ぇ見ろって言ってんだ!!」


 ろみのお陰で天花も気が付いた。晃芽はずっと、天花の胸を見ているのだ。天花は慌ててブレザーの上から胸を抱き締めるとくるりと晃芽に背を向けた。そして小声でろみに捲し立てる。


「ろみちゃんろみちゃんろみちゃん何何何何が起きてる?」


「予想通り最低の事が起きてます」


「こっこっこっこっこ……」


「告白されましたね」


「おっおっおっおっお……」


「そう、大きいおっぱいが好きなんですよ」


「むっむっむっむっむ……」


「無理なら自分でちゃんと言って下さい」


 背中を向けて会議をしている天花とろみを、晃芽はただ眺めていた。するとおもむろに、ろみが天花の身体を晃芽の方へ向け、そのまま肩に手を置いた状態で言った。


「天花先輩からの返事が欲しかったら目を見て目を!」


「ああ、分かったよ」


 晃芽は素直に天花を見たが、天花自身は晃芽を見れない。


「ごっごっごっごっご……」


「言いますか?」


 さっきまで天花の言いたい事を的確に当てて来た実績のあるろみが助けようと声を掛けたが天花はぶんぶんと首を横に振って断った。


「ごっ……ごめんなさい!!!」


「……」


 ちゃんと言えた天花に、ろみはホッと胸を撫で下ろす。

 胸が大きいと言う理由だけで、突然おっぱいに向かって告白する様な奴。ろみは幼馴染の晃芽がそんな男だと知っていた。だが、ろみは晃芽と言う男を見くびっていた。


「諦めないから大丈夫」


 彼はそう言ってニッコリほほ笑んだのだ。


「えっ……あのっ……!」


「なんで全然堪えてないの?!」


「やだなぁ、一回断られたくらいで身を引く俺じゃないよ!」


 爽やかに宣言しているがその内容は相当にヤバい。


「これから委員会だよな?! 一緒に行こう!」


 そう言うと晃芽は遠慮なしに天花の腕を掴みグイと自分に引き寄せた。


「あっ……!」


 初めて触れられた所が熱く感じて天花は反射的にそれを拒否する。ろみも加勢し、天花と晃芽の間に自分の身体を割り込ませるとこう言った。


「今日は天花先輩具合悪いから休むって言いに来ただけなんです。晃芽先輩みんなに言っといて下さいね! 付き添いは私がするんで大丈夫ですから! じゃーよろしく!」


 そうして逃げる様にその場を後にする。天花を引きずって。


「大丈夫?! じゃぁ俺も行くよ」


「来ないで下さい! 女子には色々あるんです!」


「へぇ、興味深いね! 何? 何があるの?」


「ワケ分かんなくても女子にそう言われたら引いて下さい!」


「やれやれ分かったよ。また後で言うから、まずはお大事に!」


 何としても参加したかった委員会活動だが、結局天花は図書室に入る前に逃げ帰る事になったのだ。参加したかった理由である、佐々木晃芽によって。

 ふいに晃芽に触れられた腕がまだ熱い。いや、きっと全身が熱を帯びている。そんな天花の様子に気付いて、ろみは足早に歩いた。とにかくどこか、落ち着ける場所へ連れて行かなければと屋上を目指した。解放されていないが故、手前の階段踊り場にはよほど誰も来ない。


「大丈夫ですか天花先輩? ショックだったかも知れないけどこれで分かったでしょ? あの人ほんとに……」


「うわぁぁぁぁ晃芽先輩の告白を断るなんてどうかしてるよぉぉぉ~~」


「え」


「諦めないって言ってくれたけど、でもこんなんじゃ絶対無理! だっていざと言う時におっぱいが喋ったら困るもの! 晃芽先輩には聞こえなくても絶対に気が散るもの! ごめんなさいごめんなさい……! そもそもこれはあたしのおっぱいじゃないし! こんな突然くっついた偽物のおっぱいで晃芽先輩を惑わせたあたしの罪は重い! そうだよねろみちゃん!」 


「……」


 天花の涙の理由に何も言えずにろみが固まる。お似合いだと言ったが改めてそう思った。


「あの……まぁ……うまい言葉が出て来ませんが、とりあえず泣かないで下さい」


 後輩の女の子に慰められる情けなさに気付いた天花がグシグシと乱暴に涙を拭うと、さっきまで大人しかった左右が急に出て来て肩を震わせた。


『バカだな主! 好きなのに断るなんて! だけど自分はナイス判断だったと思う!』


「あんたたちのせいでしょっ!」


 突然自分の胸元に向かって声を荒げた天花に、ろみが状況を察する。


「起きたんですか、おっぱい達」


 ろみの質問に天花が恨めしそうな目をしたまま頷いた。


『何故だ? 何故自分達のせいにする? 最終的に決めたのは主自身じゃないか! 大事な決断を何かのせいにするのは感心しない!』


「だったら……そうなったら……空気読んで大人しくしててくれるの?」


『さぁ? それは約束出来ぬな。そうなったら、と言うのはつまりそう言う事であろう? であれば、我からしたら好きでもない男に揉まれるわけだ。耐えられるか?』


『自分は絶対にイヤだな!』


「いやぁぁぁもぉぉ~! あたし一生一人なんだぁぁ~!」


「天花先輩! 何を言われてるんですか? しっかりして下さい!」


 左右が何を言っているのか想像出来るような気もしたが、ろみは取り乱す天花を宥め、天花はまた情けなくなる。

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