第百三十七話 「大地を割るモーゼ」
(この場でコイツを仕留める。そしてこの結晶は如月さんに破壊してもらおう。幸い、俺の蒼電剣は如月さんが回収しておいてくれたんだ、この二本でゆっくり進んでいけば……!)
間合いと同じくらいの距離になった思い、ヤツの首めがけて剣を振り下ろした。
「相棒ぉぉぉぉぉぉ!!!!やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」
振り下ろす途中、電撃剣から禍々しい光が零れ始めた。
そして刃が化け物に衝突した瞬間、視界がどんどん真っ黒に染まっていくのがわかった。そして___
ズガァーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
鼓膜が破けそうなほど強い爆発音が鳴ると同時に、腕が何かの強い力で押し返される。そしてアンタレスの様子もわからないまま、自分の体が宙に浮いている感覚がした。
(何が起こった⁉もしかしてアンタレスが何かしたのか……⁉とりあえずこの真っ黒な煙は吸わないようにしておこう。あとは『加速』を使って着地したら周囲の状況を確認しよう)
地に足がつき、黒い煙が晴れてきた。
するとセイエイが恨めしそうに言った。
「相棒、お前やってくれたな」
「俺が何かしたか?」
「アンタレスの様子を見てみろ」
右を向くとアンタレスは大量に血を流して横渡っていた。口からはベロが「デロン」と出ており、息をしている様子も無い。
「俺が倒したのか……⁉」
「はぁ……そこじゃない。アンタレスの死に方を見てみろ」
セイエイの伝えたいことが全く理解できないまま、俺はアンタレスの死体を見渡した。
「?」
「アイツの後ろ半分はどこだってことだよ!」
「!」
「言われてみれば確かに……どこに行ったんだ?」
「相棒があの化け物もろとも吹き飛ばしたんだ!」
少し移動して見ると、アンタレスの後ろ半分から向こうにむかって地面が割れていた。
「まさか、さっきの爆発で割れたのか……⁉」
「その爆発を起こしたのは僕と相棒だ。僕の吸収を無理矢理中断して、まだ電撃剣に取り込まれたエネルギーが安定していない状況で振り回したから、大爆発を起こしたんだ」
「お前は大丈夫なのか?体が崩壊したりはしないよな」
「まあな。水飲んでたら急にビンタされたようなもんだし」
姜椰は少し申し訳なさそうに電撃剣を仕舞う。セイエイはいつも通り俺の隊服の中へと戻っていった。
「如月さんはどこだ。まさか俺のに巻き込まれたりは……!」
「彼女の方にはエネルギーを発散させてないはずだから、多分ヴァリァスを大量に浴びたくらいだと思うぞ。悪くても拒絶反応が起きるくらいだ」
セイエイは全然心配している様子は無いが、俺はまだ拭いきれてなかった。
「地面に落ちたかもしれない……!」
「それはまずいな」
キュオーーーーーーーン!!!!!!
「なんだ……この音……?」
アンタレスの方から静かな掃除機のような音が聞こえてくる。
「まだ生きてるのか……違う!オーバーブレイクしてるんだ!まずい、早く如月さんを見つけなくては」
焦りに突き動かされた俺は周囲を探し回り、そして気がついた時は危機的状況に陥っていた。
「相棒!生き返ったアンタレスがこっちを向いてるぞ!!!」
(体がさっきの一割程度まで小さくなっている。基本的に化け物は大きさなどのフィジカルで己を強くするが、ある一定の強さになると逆に体が小さくなって基礎値が跳ね上がる。つまり今のコイツは、アンタレスよりずっと強いものに進化したはず……)
「光線の類は撃ってこないのか……?」
電撃剣を構え、ついでに『加速』も発動させた。
「行くぞ。サポートは頼んだ」
姜椰は勇猛に突き進んだ。




