アカデミーの長い1日②
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
アカデミー生の位置情報はイヤホン型の翻訳装置で把握出来る。自主性を重んじる、若しくは個人情報の保護の観点から、本来は学長のロバートのみが知っている事であったが、避難誘導に際しロバートがハインツに送付していた。
精度は高いが人名は保証されない。アカデミー生同士で交換される事がある上に、複数言語を話す者はほぼ持ち歩かない。加えて、避難に際して普段付ける者でも部屋に置き忘れる事もある。既に避難済みかもしれないのに、無事を確認出来なければ捜索しなければならない。送付メールにはすまないという4文字のみ。
「いつもそうだ」
ハインツは大声で避難を呼び掛けながらも、翻訳機が示す光の点に飛び込まなければならない。
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夜から開場を待っていたアカデミー生のスマホが一斉に鳴り出した。理由のない避難警告だが、彼等にすればそれが最も恐ろしい警告である事はわかる。アカデミー生はあくまでアカデミーに通う各国ギルド所属者であり、アカデミーは彼等に正式命令を出せない。だから、理由があって然るべしなのだがそれが無い。学生達のロバート学長への信頼は厚く、ロバートが故のない警告を出すはずがないのだ。ヤバイ事が起こっている。
「行くぞ、1人も脱落するな」
1番前にいたラガーシャツの男が大きな声を出すと、オウ!と声が上がり一斉に避難を始める。しかし、彼等が駆けるのを妨げるように地鳴りが起こると、そこには誰もいなくなった。
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クロスは成長している。物心ついた時からチヒロのそばに居た。最初は点にしかすぎなかったが、ダンジョン校に入る頃には長さ1メートル程の棒状となり、少しずつ長くなっている。チヒロの他はヒロキと両親にしか見えない。スキル測定の際に、チヒロに備わった他のスキルが判明したが、クロスに関する様なスキルはなかった。
チヒロへの攻撃はクロスが自動で防ぐ。棒状のそれは、魔法を受ける際は面となりチヒロの前に展開するし、チヒロが攻撃する際はサポートに回る。クロスという名はゲームの黒姫の愛刀の名前だ。ゲームの中で黒姫と愛刀は話す事が出来る。だからチヒロもよく話しかけていた。そして今は話が出来る様になったのだ。
「クロス、どうなってるかわかる?」
クロスが声を出す事はないが、チヒロには聞こえる。『わからない、危険、逃げろ』先程と変わらない。前方に見えるアカデミーの建物からは煙が立ち昇っている。
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