アカデミーダンジョン
アカデミーには部外者が入れない。それはこの地域のギルド関係者といえど変わらず、普段は事前連絡を必要としている。今回のトーナメントもアカデミー卒業生のみの観覧が許されているが、以外は変わらずにアカデミーに入る事は出来ない。
犬猿の仲とも言えるライコネンとロバートだが、今はアカデミーの規制区域に一緒にいる。
2人の目の前には地下へと続く階段。
「いったい何をしているんだ」
ロバートが呆れ声を隠さずに尋ねる。
「ロバート、貴殿は居たいと言うからいるだけだ。待つのが嫌なら戻られよ。帰る際に声をかける」
今回で7回目。効率や結果に拘るライコネンが繰り返しているのだ。意味がないと言う事はないはずだ。
「ロバート、学長であればこの中の話しを知っているし、貴殿であれば実際に見ようとしたはずだ」
「それが何だ、歴代の学長は全員が中に入っている」
「中がどうなっているのか、歴代の学長はいずれも口をつぐみ誰も何も言わない」
「既に知ったのではないのか? いや今日も腕利の攻略者を入れているくらいだから、まだわからないのか、ご苦労な事だ」
「強がるなロバート。貴様もわからないのだろう? 学長なのにコアの部屋には辿り着けなかった。それは恥ずべき事ではない」
アカデミーや各国のダンジョン校はその多くがダンジョン跡地に立っている。その多くが攻略者育成に活用されているがアカデミーのダンジョンは特殊なのだ。
今ほどダンジョンへの知識がない時に、コアを破壊したという報告がなされた。確かにモンスターはおらず、制覇後のダンジョンと同じ状態になっているから、その跡地にアカデミーが作られたのだが、このダンジョンでは誰もコアのあった部屋に辿り着けない。どのダンジョンもコアのある部屋は特徴がある。しかし、このダンジョンはそのような部屋が見つかっていない。そして制覇者も姿を消している。
「どうかな、俺は恥ずかしいと思った事はない。元々頭が良いとか知識があるなんて事は俺には無縁だからな。それに俺は辿り着けなかったとしても、知っているかもと思うから粉をかけてきているのだろう?」
「まあ、そうだ。ギルドの副マスターとしては、その様に思慮できる様になったのかと貴殿の成長を嬉しく思うぞ」
「お話は終わったかな?」
背後から声。気配を感じなかった。それだけでかなりの手練れ若しくはスキル持ちとわかる。
「お二人さん私も入るよ。良いよね?」
彼女が歩いても足音ひとつしない。ロバートもライコネンも道を開けると信じて疑わないかの様に、真っ直ぐに歩いてくる。ショートヘアの青髪、防具は身につげず身体のラインが出るほどのピッタリとした服。
「どこから来た?それとここは誰でも入れるというわけではない」
ロバートは入口に続く道を譲るつもりはない。
「ロバート、止めておけ、お前の経歴に傷がつくぞ」
ライコネンの意趣返しの台詞に思い当たる。
「まさか『探索者』か、、」
「その異名は好きじゃないんだけどね。本名をみんなが知ってるよりはマシって思ってる。そういう事だから、入らせて貰います」




