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嘘つき英雄と嘘の妹 ~リメイク版~  作者: 野良犬タロ
アステリオン編
69/70

#68 死霊使い


~ロキウス兵 アステリオン:森林~


不穏因子(イレギュラー)の始末完了、オーバー。」

 通信機で作戦の完了を知らせる。

「・・・。」

 俺達は目の前の男の死体を見下ろす。

「チッ。」

 仲間の一人が男の頭を蹴飛ばす。

「こそこそ嗅ぎまわる鼠が、何様だ!」

 ゴミを見る目で罵倒をする。

「・・・。」

 見た感じ服装が()()()、俺達ロキウスの服屋で売っている若者向けの服、顔のガラの悪さと合わせてチンピラみたいな男だ。

 だがいくら反社会的組織と仮定してもこんな森の中で戦闘服でもない日常的な格好で明らかに常軌を逸している。

 一体こいつは何も



 ダァン!!

「え?」



 銃声が一発響く。

「な・・・! がはぁッ!!」

「え!?」

 先ほど男を罵倒していた仲間の腹部から血が流れて本人が気づいた途端に口から血を吐いてその場に崩れる。



「そう・・・俺らは『鼠』・・・。」



「・・・!」

 声が聞こえる!

 いや、ありえない!!

 なんでそっちから声が聞こえるんだ!?

 ()()から・・・!



「俺らが『R.A.T.S(ラッツ)』だ。」



「!!」

 死体だった男が立っている!

「ああ、ついつい喋っちまった、一応俺ら『秘密組織』なんだけどな。まぁいいや。」

「ひぃッ!!」

 いや、嘘だろ!?

 あんなに銃弾を浴びたんだぞ!!?

 生きてるわけが・・・!

 


「どうせお前ら殺すから大丈夫だよなぁ?」

 目の前の化け物は笑っていた・・・!




~ウルド アステリオン:遺跡~


「ったく、散々だったな。」

「ハイです・・・。」

 いい加減うんざりしながら立ち上がり、辺りを見渡す。

 だが先ほど慌てて逃げていたせいで松明を落としてしまっており、辺りは暗い。



(フラム) (カーン) 発言(エクスプレッション) 停滞(スタグネーション)・・・赤の灯(レッドライト)

 ルタが魔法を詠唱すると再び明かりが灯る。



「・・・なんだ? ここ。」

 どうにも違和感を感じる場所だった。

 さっきまでは試練を通過すると次の試練までの繋ぎのように長い回廊を歩かされていたが、どうにも此処は雰囲気が違う。

 何かの小部屋のようだった。

「!」

 すぐ前方には扉があった。

 次の試練か?

 まぁ、あの長い回廊を歩かされるよりは話が早くて助かるが・・・。

「・・・。」

「あ。」

 ルタが明かりを扉の上にずらすとまた獣文字があった。

 次の試練の内容だろうか。



「『傷を癒したミノス神は戦場に戻った、だが戦場に生きている同志は一人として残っていなかった。この場に戦いは無いと知るとミノス神は母なる地、アステリオンに再び戻る。同志の墓を作り終えるとミノス神は涙を流した。同志と共に戦場に立つ約束を果たせぬ無念で溜めていた全ての涙をその地に流した。いつしかその涙は泉となり、母なる地の聖地となった。』」



「・・・。」

 戦場に置き去りにした仲間を死なせてしまって後悔して泣いた・・・か。

「・・・。」

 何か少し思うことがあったが目を閉じて思いを振り払うようにしてそれを胸の奥にしまった。

「・・・。」

「!」

 ルタが明かりを下にずらすとまだ獣文字が続いていた。



「『聖地アステリオンの戦士として資格を得たものよ、これから汝らは数多の屍を踏み越えて戦地に赴くだろう、だが忘れる無かれ。戦場で涙を流すなかれ、だが同志を想う涙は決して恥ではない、それらは彼らへの鎮魂となり、戦士としての誇りを称える誉れとなるだろう。』」



「・・・。」

「『仲間想い』なんだね、ミノス神様って♪」

「ッ!!」

 鼻で笑うようなルタの茶化しに、俺は図星を突かれて肩が僅かに跳ね上がる。

「仲間が死んだら泣くんですね、獣人も。」

「ああ。」

 メロの拙い感想に軽く相槌を打ちつつ、扉中央の魔石に手を添えると魔力に反応して扉がゴゴゴと物騒な音を立てて開く。



「「「・・・。」」」

 俺たちはもう何も言わず開いた扉を通る。

 この先に何が待ち受けているか分かるからだ。



 それからしばらく長い回廊が続いていた。

「!」

 だが少しすると前方から明かりが見えた!

「出口です!!」

 メロが目を輝かせて走っていく!

「おいおい落ち着けって。」

「何? 認めてもらった戦士としてお行儀よくってこと?」

「うるせぇ、んなわけあるか! 走り疲れてるだけだよ!」

「年は取りたくないねぇ~。」

「勝手にジジイにすんなッ!!」

 ルタに茶化されながらうんざりしつつ、いつもの調子で歩きながらだが俺たちもメロに続いて出口を目指すが・・・。



「な、なんですか・・・!」

「!?」

 前方からメロの声が聞こえた!



 いや、なんかおかしい。

「おいメロ! どうした!?」

 急いで走ってメロの元まで駆けつけると・・・!



「!!」

 そこには夕日を背に大勢の獣人達が立っていた。



 だが・・・。

「・・・。」

「!! 師匠?」

 身構えるメロの前に手を翳して制止を促す。

 獣人達は槍を持っている物の、どいつも杖の様に立ててこちらに向けてくる気配はない。

 だが・・・。

「・・・!」

「?」

 獣人達の様子がおかしい。

 どいつも俺達三人の姿を確認するや否や、何故か俯いて震えていた。



「「「「うおおおおおぉぉぉッ!!!」」」」

「ッ!!?」

 突然獣人達が叫び出した!!



「新たな戦士の誕生だぁぁッ!!」

「我等の同志だぁぁッ!!」

「・・・!」



 獣人達の口々に言う言葉で察した。

 でもまぁ、考えてみれば当然か、試練を乗り越えた俺達を歓迎してくれてるみたいだ。

「よぉ!!」

「!」

 人混みをかき分け、聞き覚えのある声で気さくに話し掛けてくるそいつは・・・!



「やっぱり俺が見込んだ通りだったな!!」

「グラ!!」

 気さくに笑いかけるグラにメロは目を輝かせて呼び掛ける。



「よぉチビ助! お前も生きて帰って来たんだな!」

「チビじゃないのですッ!!」

「別に恥ずかしくもねぇだろ!! これからデッカくなりゃ良いんだから!!」

「あッ、頭グリグリ撫でるなですッ!! 縮んじゃうですぅッ!!」

 グラが笑いながらメロを真上から押さえつけるように力一杯撫でてやるとメロが必死に抵抗する。

「ははは!!」

「そうだでっかくなれぇ!! はははは!!」

 他の獣人達も一緒になって笑い出す。

 辺りに和やかな雰囲気が



「ぶべッ!!?」

 起こるのを俺が許さなかった。



「ぐへぇッ!!」

「グラッ!!?」

 俺に殴り飛ばされて吹き飛ばされたグラを見てメロが目を丸くする。

「え?」

「・・・!」

 周りの獣人たちも困惑したり、中には硬直して固まってる奴もいた。

「し、師匠!! 何やってるのですか!!」

 メロは訳も分からず俺を非難する。

「痛ってぇ!! おいッ!! てめぇどういうつもりだ!!」

 グラもすぐに起き上がって俺に罵声を浴びせてくる。

「うるせぇッ!! 何も言わずにいきなりあんな穴の中に突き落としやがって!! 前もって言えよ馬鹿野郎ッ!!」

「言う必要ねぇだろ!! 人様の村に入り込んだならしきたりに従うなんざ当たり前だろうが!!」

「おめぇらの常識なんざ知るかッ!!」

「おぉ!? だったら拳で決着つけっか!?」

「上等だぁッ!!」

 俺とグラは口々に言い争い、今にも殴り合いが始まるかに思われたその時だ。



「「「ワアアアアァァッ!!!」」」

 突然獣人たちが大声を上げる。



「マジかよあの人族(ヒューム)!! グラに喧嘩売るとかすげぇ度胸だ!!」

「お前、名前なんつったっけ?」

「あぁ? ウルドだよ!」

 名前聞かれてつい名前を名乗る。

「うおぉッ!! 面白れぇ!! 負けんじゃねぇぞウルドぉッ!!」



「「「ウルド!! ウルド!! ウルド!!」」」

「・・・。」

 獣人達はすげぇ楽しそうに俺へのエールを始める。



「グラ!! お前俺らの村で二番目に(つえ)ぇだろ!!」

「新入りに舐められんじゃねぇぞ!!」

牙狼(カング)の意地、見せてやれぇ!!」

「おぉッ!! ッたり前だ!!」

 仲間の激にグラも応える。



「「「グゥラ!! グゥラ!! グゥラ!!」」」

 俺に対するコールに負けじとグラコールも湧き上がる。

 完全にこいつらお祭りムードだ。



「へッ!」

 その空気に酔わされてか、グラは楽しそうに拳を構える。

「ぐ、グラ!! やめるのですッ!!」

「うるせぇッ!!」

 メロが慌てて制止に入るがグラは聞く耳持たない。

「・・・。」

 こいつら獣人のノリに乗せられるのは癪だが俺も構える。

「女に手を挙げるなんて鬼畜~♡ さっすがお兄ちゃんだね♡」

「うるせぇッ!!」

 止める気もないルタの挑発交じりの制止(?)に俺は罵声を浴びせる。



「「うおおおおぉぉッ!!!」」

 俺とグラは互いに拳を振り上げて咆哮しながら突撃する!!



 その時だ!!



「「ッ!!?」」

 互いに相手を殴ろうとした拳は何かに止められる!!



「おめぇら何やってる。」

「・・・!」

 拳を止めた犯人は獣人の一際大柄な大男だった!

 突然上から降ってきて俺達の間に入り込んで俺たちの拳を右手、左手それぞれの手のひらで止めていた!

「お、親父・・・!」

 グラは表情を歪ませた。

 ・・・?

 待て?

 なんか若干青ざめてないか?



「こんな楽しそうな事してる場所俺に黙ってるなんてよぉ・・・!」

「ッ!!?」

 大男は突然見開かれた目をギラリと光らせながら化け物のような恐ろしい笑みを浮かべていた!!

 ってか何言ってんのこいつ!!?



「「ッ!!?」」

 突然大男は俺達の拳を止めた手を閉じてそのまま俺達の手を掴んだ!!

 そして・・・。



「うおおおぉぉッ!!?」

「うわああぁぁッ!!」

 大男は突然回転し、俺達はまるで竜巻でも起こそうかってくらいに派手な風を巻き上げながら振り回される!!

 そして・・・!



「むぅんッ!!!」

「うわぁぁッ!!」

「うへぇッ!!?」

 大男はその遠心力を利用して俺、グラと交互に同じ方向へ投げ飛ばした!!



「ぐへッ!!」

「ぐぇッ!!!」

 俺とグラは同じ木に重ねるように叩きつけられる!!

 だがそれだけで終わりじゃなかった!!



「「ぐぉッ!!?」」

 大男はいつの間にか距離を詰めており、グラのどてっ腹を俺ごと殴りぬくと俺達は大木を貫通して更に吹き飛ばされる!!



「ぐわッぐぇッ!!」

「ぐへッごぇッ!!!」

 俺達は後ろの大木を三つ突き抜けて切り倒しながら吹き飛んだあと四つ目の大木に激突してやっと止まり、地面に転がる。



「よぉ、立てよ! なんなら二人でかかって来な!」

 突き抜けた木々の向こうで大男は楽しそうに挑発する・・・!

「く、くそ・・・!」

 立ち上がりたいがあまりに負傷(ダメージ)がでかすぎて立てない・・・!

「くそ親父ぃ・・・!」

 グラも悔しそうだが俺と同じで立てないみたいだ・・・!

 だ、駄目だ・・・もう意識も・・・!



~ライ アステリオン:森林~



「うわあああぁぁぁぁ!!!」

「死ねぇ!! 死ね死ねぇ!!!」

 男達は容赦なく俺に銃弾を浴びせる!!



「くッ!!」

 銃弾の雨が止んで男達が引き金を引いてもカチカチと音がするだけ。

 どいつの銃も弾倉(マガジン)の弾が切れたみたいだ。



「おいおい、一応(いて)ぇんだからやめてくれよ。」

 あれだけ銃弾を喰らったが、俺は平然と立っていた。

「ま、まさかお前・・・!」



「『死霊使い(ネクロマンサー)』・・・!」



「・・・へへ、自己紹介の手間が省けて助かるねぇ。」

「ひぃ!!」

「わッ、わああぁぁッ!!!」

 男達は怯えてやりかけていた弾倉(マガジン)装填(リロード)をやめて逃げていく。

「おいおい、俺の事知ってるんなら分かってんだろ? ()()()()()()だって。」

 俺は右手を通信機に添えて・・・。



「やれ、『イビー』。」

承認(アグリー)。]


 

~ルタ アステリオン:遺跡前~


「・・・。」

 獣人の大男は彼とグラの元まで歩み寄る。

「・・・ふぅむ。」

 近くに立つと二人を観察するように覗き込む。



「がぁっはっはっはっはっはっは!!!!」

 突然大男は笑い出す。


 

「いけねぇいけねぇ!! 流石に不意討ちは駄目だったなぁ!! 遊ぶ前に終わっちまった!!」

 自分の失態を笑い飛ばすように男は笑う。

「で? そいつらも試練を突破してきたクチか。」

「ッ!!」

 男が振り返って私たちの方を見るとメロはびくっと肩を跳ね上げる。

「・・・。」

 男は大きな足でのしのし歩いて来ると私たちの目の前に立つ。

「ッ!」

 メロは冷や汗を流しながら身構える。

「・・・ふぅむ。」

 男は前のめりになって頭を私と同じくらいの高さまで下げて私たちを観察するように見る。

「な、なんですか・・・!」

「・・・。」

 メロが弱々しく食って掛かるが私は男を静観している。

「他所から来た奴が試練の遺跡に挑んだって聞いたから来て見りゃ、妙に細い奴らだな、ちゃんと肉食ってんのか?」

「・・・。」

 どうにも男は私たちが気に召さないらしい。

 無理もないかもしれない。

 獣人達は戦士気質な連中が多い。

 外部の人間と言うだけでも不利性(ハンデ)が在るのにこのままでは協力関係を持つのは難しいかもしれない。

「・・・でもまぁ。」

 男は私の顔を見ると口元をニヤつかせる。

「『女』としては優秀かもしれんな。」

 私の全身を下から上に舐め回すように眺めながら悪びれも無く男は口走った。

「俺は強そうな女を抱くのが趣味だが、たまにはお前みたいな弱そうな女も



ッ!!?」

 男は急に眼を見開いた!



「くッ!!」

 男は瞬時に地面を蹴って私から距離を取った!



「へぇ・・・。」

 私は口元をニヤつかせながら感心する。



()()()()んですね。」

 答えは私と男の間にあった。



 地面に落ちていた枝や葉っぱが真っ二つになっていた。

 まるで一本の線を境に斬られたかのように・・・。

「・・・。」

 男は汗を一筋流すが、その表情は驚くような表情は見せず、寧ろ表情を殺し、冷静に観察するように私を見ていた。

 これだけでも分かる。

 この男はかなり戦場を経験した歴戦の猛者だ。



「がぁっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 男はまた笑い出した。


 

「?」

『何故笑う?』

 不可解な行動を目の当たりにして一瞬そう思ってしまったせいで片目の目元がひくつく。

(したた)かな女は嫌いじゃねぇぞ!! 気に入った!!」

 そう言いながら男は再び私に歩み寄る。

 先程攻撃を仕掛けたのに無防備すぎる。

「・・・。」

 だが敢えて私は攻撃をやめた。

「お前、名前は?」

 男は私に尋ねる。

「ルタです。」

「ルタ、で、お前は?」

「ッ!?」

 急にメロに視線を切り替えて来たのでまたメロは肩を跳ね上げる。

「め、メロです。」

「メロか、うん!! よく試練を乗り越えた!! マカ村の牙狼(カング)族としてお前らを村の戦士と認めよう!!」

 男は満面の笑みで両手を大きく広げる。

 友好的な態度だがその動きはただでさえ大きな体を余計に大きく見せるせいで威嚇のように見えなくもない。



牙狼(カング)族、長のゾルガだ。」

「・・・。」

 ゾルガが差し出した手を黙って取り、握手を交わした。



~ライ アステリオン:森林~



[ライ兄?]

「オーケー聞こえてるよ、オーバー。」



 通信機の奥から聞こえる相方の声に軽返事を返す。

[そんな事は分かってるよ?]

 その声はどこかしらトゲのある感じの鋭い声だ。

「へえへえ、悪ぅござんした。これで満足か?」

[僕らの名前が外部に漏れるのはマズいの分かってるよね?]

「だから悪かったって! 鉛玉喰らいまくってちょっとハイになってたんだよ。でもいいじゃねぇか。」

 耳の通信機に手を添えたまま俺は足元を見る。



「全員片づけて、一人も逃がしちゃいねぇ。」

 話す俺の足元には死体が転がっていた。



 全員それぞれ脳天に一発ずつ弾丸を喰らって・・・。

「ナイスよナイス、いつもありがとよ♪ イビーちゃん♪」

[呼称に誤りを確認、私の通常呼称コードは『EB-003』、略称『イビー』、『イビーちゃん』と言う呼称コードは存在致しません。]

「・・・おいおい。」

 通信機越しの無機質な声に俺は呆れる。

「ちったぁジョークの一つくらい覚えたらどうだよ、なぁ? ディグさんよぉ。」

[無茶言わないでよ、大体こいつは

「分ぁってるっつの、へぇ・・・。」

 いい加減なため息で呆れながらゴーグルを装着しつつ、木の上に登る。

「さぁて、あいつらの動向は~っと・・・。」

 ゴーグルの電子スコープを操作すると視界がズームアップされ、再び例の現場が見えるようになる。

「・・・ん?」

[どうしたの? ライ兄?]

「いやこれ・・・どういう状況?」

[え? どうなってんの?] 

「えぇっとぉ・・・。」

 うん、取り敢えず分かってる事は・・・連中、どうやら試練を抜けて獣人共と合流出来て村に帰るところみたいだ。

 子供はなんか獣人連中に頭わしゃわしゃやられて本人は怒ってるけど可愛がられてるみたいだ。

 これは普通、普通だ。



 だけど男はなんか両肩担がれて運ばれて・・・死んでる?



 いや、気絶してるだけか?

 さっき待ってた獣人連中のリーダーっぽい女獣人も同じように担がれてるし、なんかこいつらでひと悶着あったのか?

 あと確か人間連中は女が一人居たはずだけど・・・何処だ?

「?」

 見つけたには見つけたが妙だ。

 もう連中は村に向かって歩きだしてかなり距離を離れてるのに()()()()()()()()()

「・・・!」

 丁度カメラの視点が上がって顔が見えた瞬間、すぐに血の気が引いた。



 女と()()()()()()()()



 あり得ない。

 ゴーグルに映ってる画像データの中にはズームアップしてる場所との距離が数字で載ってるから分かる。

 表示されてる数値は『600M』、六百メートルだ。

 目の良い狙撃主(スナイパー)だってスコープ無しじゃ絶対に見えない距離、それをただの裸眼でしっかり捉えてきてる。

 ただ俺を視認せずこっちを向いてるだけって考える奴も居るかもしれんが俺には確実にそれが無いってのがありありと分かる。

 だって・・・。



 ()()()()()からだ。



 しかも無邪気なもんじゃ断じてない。

 口はうっすら開いてるけど、口角が頬が裂けるんじゃねぇかってくらい上がってる。

 そんで目はもっとヤバい。

 まず笑ってる眼じゃない。

 鷹のように鋭く、射貫く様でありながら蛇の様に動きを封じて来るような威圧感。

『殺す』と言う殺気じゃない。

『もうお前の死は確定している』と言うような冷たくなるような殺気だった。



「・・・!」

 女は杖を持ってこっちに向けながら何か言っている!

 まさか・・・!


 

「くそッ!!」

 すぐにゴーグルを外して木から飛び降りる!

 すると・・・!

 


「うおッ!!?」

 ちょうど俺の真後ろスレスレ、俺の居た辺りの木の幹に赤く光る何かが通り過ぎたかと思ったら貫通した!



「ぐッ!」

 下手な受け身を取って地面に転がりつつ、現場に視線を戻すとそこは・・・!



「・・・!」

 人間の二人くらいは余裕で通れそうな穴が空いていた!



「ディグ、ちょい場所変える。此処はヤバい。」

[ライ兄!? どうしたの!!?]

「理由は後で話す、この場は撤退だ。」

[え、なんで!?]

「だから、一旦出直す!!」

 急いでこの場を離れた。



~ルタ アステリオン:遺跡前~



「・・・チッ。」



 杖を降ろした。

 だが・・・。

「・・・ふふ。」

 思わず笑いが込み上げてくる。

 成る程。

 案外今、私達が立っている戦場は面白い事になっているのかも知れない。


 


~リメイク前との変更点~

・試練の遺跡のくだりは省略

理由:試練の遺跡自体がリメイクオリジナルの為

・ライの戦闘シーン追加

理由:ざっと『そういう戦闘があった』と言う描写はあったが実際に戦ってるシーンが無かったため

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