再会
あのダンスパーティーの後イザベラ達に呼び出されたり、公爵令嬢のリラという女性に話し掛けられ仲良くなったり色々な出来事が起こった。
(リラ様にはたくさんお世話になってるし何かプレゼントを送ろうかな?リラ様は公爵令嬢だしやっぱり迷惑になってしまうかな?)
リラとはイザベラ達との一件の後仲良くなった。最初に怒鳴り声が聞こえて心配してやって来たのだという。「身分なんか関係ないわ。」とシェルを心配し、よく相談にも乗ってくれている。
最近では
「シェルは侍女になりたいのね。卒業したらどこかの家に雇われて働くんでしょ?じゃあシェルは王都よりもどこかの辺境の地で働いた方がいいかもね。シェルの性格的にもそっちの方がゆっくりと過ごせるし、王都はあなたにとっては華やかすぎると思うの。うん。その方が絶対いいわ。だから頑張ってね。」
とアドバイスもくれる良い相談相手となっている。
そんなシェルは前世での数え切れないほどのアルバイト経験と弟達の面倒や家のことを自分でこなしていたのもあってか料理、裁縫、手芸などをほぼ既にマスターしており侍女としてのマナーも日々の勉強で身につけていた。
そして二ヶ月後ーー
シェルはとっくにパーティーでの事は既に忘れていた。そんな中この学園の理事長に理事長室に来るようにという手紙を受け取り今、理事長室の前の扉の前に立っている。
扉を3回ノックしドアノブを引く。
「失礼します」
「どうぞ」
中には二人の男性が向い掛けのソファに座っている。一人はよく見かける男性、シェルの師匠というべき先生だ。白髪の髪に優しい瞳、顔には皺が刻まれている。しかし端正な顔立ちで昔は多くの女性達に言い寄られていたのだろう。もう一人はこの学園の理事長だ。先生よりは若干若くこちらもまた整った顔をしていた。
「わざわざ呼び出してすまなかったね、さぁ掛けたまえ」
「はい。失礼します。ところで私は何故ここに呼ばれたのでしょうか?……先生もなぜここに?」
「シェル君の優秀振りはよくアレルから聞いてるよ」
「シェルはこの前なんか右手で勉強しながら左手で裁縫してた時はさすがに驚いたよ…。」
余談だが前世では時間が無かったのもあり、右手で学校の宿題をしながら左手で造花を作る内職を同時進行するという技術を極めていた。
「なぜ君を呼んだかというとね、シェル君には王宮で侍女として働いてもらおうと思ってるんだ。もちろん卒業してからだけどね。毎年一番成績の良い生徒が王宮勤めになる事が決まりなんだ。やってくれるかい?」
侍女として王宮に勤めて王族達のお世話をさせて貰えるということは名誉な事でそんないい話が舞い込んで来たのは願っても無いのだがシェルにはある言葉が頭をよぎる。
「とても有難い申し出なのですが、……その…私などで宜しいのでしょうか?…他にもたくさん優秀な方々が…。」
「あぁ。それはシェル君じゃないと駄目なんだ。実は…」
理事長が何かを言いかけたその時勢いよく扉が開かれた。そこにはあのダンスパーティーで踊った男ーカディス王太子がそこに立っていた。
「お前には俺専属の侍女になってもらう。」
達成感の満ちた顔で堂々と宣言する、この国の第一王子。
ーーこれがカディスとの再会になった。




