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メタモルフォーゼス  作者: 新町 東
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第21話『あるじゃねぇか、現在進行形で!!』

第21話『あるじゃねぇか、現在進行形で!!』


 翌日の朝。


 いつもの様に登校し、自分の席に着いた俺は昨日の事を再度考え直していた。


 智樹の考え、『アレ』を教えて柄巻先輩を強化しようと言う意見。


 それは理に適っているものであり、それを使用することで生じるリスクも柄巻先輩の魔法を考えれば殆ど無いと言っても過言ではない。


「教える時に柄巻先輩に口止めをしておけばいい訳だしな」


「お、考えがまとまったのか?」


 後ろの席の智樹が話しかけてくる。


「ああ、おまえの意見を尊重にする事にした」


「おっ、そうかそうか、それは良かった」


 一人納得して頷く智樹。


「一応聞いておくけど教えるのは和俊なんだよな?」


「その予定だ。ってか他に教えられる人がいないだろ?」


「いや、ほら、俺が教えても……」


「却下だ」


 不服そうな顔をしているが当然だ。


 先ほど『俺が教えても』と言った時の表情は非常にゲスなものだった。差し詰め、柄巻先輩と二人っきりというシチュエーションに惹かれたのだろう。


 残念ながら智樹の考えていることなど俺にはお見通しだった。


 補足として説明するが、『他に教えられる人がいない』と言ったのは時間が取れる人がいないといった理由からだ。


 俺が知っている『アレ』が使える人が俺を含めて四人。


 その内誰かにそれを教えられるのは俺を入れて二人。


 教える事が出来ない二人は理論で教えるのではなく、気合と根性と感覚だけで習得したため、説明も大雑把で伝わりにくいものになるだろう。


 柄巻先輩がそのタイプであるならば考えなくはないが、とてもじゃないが柄巻先輩がそのタイプには見えなかったのだ。




 そんなこんなでいつもの様に授業をこなし、昼休みになった。


 いつもの様に後ろを向き、智樹と昼食を食べようとした時だった。


「平賀くんいる?」


 教室の扉を開けて声を掛けて来たのは担任の小鳥遊先生だった。


「はい、何でしょうか?」


 俺は席を立ち上り先生の元に向かう。


「あ、いたいた。実は平賀くんに相談があってね」


「相談ですか?」


 何故だか凄く申し訳なさそうな顔でそんな事を言われた。


「そうなの。ああでも今はせっかくのお昼休みだから放課後にしようと思うんだけど時間は大丈夫かな?」


「大丈夫ですよ」


「ありがとう、じゃあ放課後に生徒指導室に来て」


「分かりました」


 そう言うと先生は去って行った。


「どうしたんだ? 何かやらかしたか?」


 席に戻った俺に智樹がニヤつきながら話しかけてくる。


「さぁ? 相談って言ってたし大したことじゃないと思うけど?」


「お、いいのかそんなこと言って? こう言っちゃ悪いがトラブルメーカーの和俊くんはきっとまた面倒事に巻き込まれると俺は推測するね」


「まさかそんな事……」


 俺は智樹の言葉に対して『そんな事は無い』と流そうとした。


 だかそこで声は止まる。その代わりに脳が回り始める。


 このタイミングで何故声が掛かるのか?


 何故申し訳なさそうなのか?

 

 その理由は…………


「もしかして……」


「お、何か反省と謝罪をしなければいけない案件に思い当たる節があったか?」


「あるじゃねぇか、現在進行形で!!」


「あっ!!」


 顔を見合わせた俺と智樹は、口を揃えて声を出す。


「「エスターテ杯!!」」


 


 放課後になり俺は生徒指導室に向かっていた。


 智樹には先輩たちに遅れる事を伝えておいて欲しいとだけ言っておいた。


「さてと、どうしますかねぇ」


 恐らく先生からの相談、と言うか学校側の主張は、『エスターテ杯出場を取り辞めて欲しい』と言った内容である可能性が高い。


 一般的にエスターテ杯は、魔法師を志す者たちにとって一世一代の祭典にして不可侵の領域。


 それをしがない一般校が当たり前の様に参加でもしてみろ、専門校や一般の人からも罵詈雑言を浴びせられ、その矛先は必然とそれを容認した学校側へと向けられるのは必然。


 学校側はそれを危惧したに違いない。


 推測ではあるが、城之崎先輩や柄巻先輩に対しても取り辞めて欲しいと進言したことはあったのだろうがそれを聞き入れてはもらえなかったのだろう。


 それでも手を打たなかったのは現実味が無かったからなのではと考えられる。


 実際に現二年・三年の先輩方はその考えに賛同出来無いが故の現在の生徒会の現状だったのだ。


 それがここに来て突如現実味を帯び始めた。


 それが学校側が楽観しながら決めていた傍観の姿勢を崩したのだろう。


 だからこそ学校側も現実味を帯びる事となった要因である俺を説得……いや多少手荒な真似をすることになっても辞退させる様な手段を取ることにしたんだろう。


「……ふぅ」


 生徒指導室の入り口前にたどり着く。


 深呼吸をし、頭の中を一度スッキリとさせて考えをまとめる。


「よし」


 その扉に手を掛け、


「失礼します」


 俺は戦う決心を胸にし、生徒指導室に入って行った。


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